小林製薬のマーケティング戦略に学ぼう

「サワデー」「熱さまシート」「アンメルツヨコヨコ」
と言えば小林製薬です。

小林製薬は「あったらいいなをカタチにする」を
ブランドスローガンに掲げ、ユニークな商品を多く
発売しています。

私が昔から注目している企業のひとつです。


小林製薬の小林豊社長が、

6月4日放送のテレビ東京「カンブリア宮殿」と
雑誌「日経デザイン」6月号にそれぞれ登場して、

小林製薬のブランド、デザイン、マーケティングを
語っていました。


(6月4日のカンブリア宮殿)
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/bn/070604.html
(日経デザイン)
http://nd.nikkeibp.co.jp/
(日経BP社のサイト・坂井直樹のデザイン経営談義)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20070622/128160/

時間が少し経ってしまいましたが、
中小企業が目指すブランド、デザイン、マーケティング戦略
として素晴らしい見本ですので、3回にわたってご紹介します。



小林製薬のマーケティング戦略では、
次のフローを狙っているようです。

1.「あったらいいな」というニーズに応える商品を開発します。
2.CMで「こんな商品あったらどうですか?」と投げかけます。
3.そして店頭で手に取ってもらい、買ってもらいます。


さっそく、1の商品開発からご紹介します。

小林社長は、持っている技術シーズではなく、社員へ
買いたいと思うニーズに合わせた商品開発を行うよう、
常々話しているそうです。


そのニーズ探しですが、
「あったらいいな」というニーズを日常から集めるために、
確か全社員からアイデアを出させていました。

一般的に、アイデアはつまらないものでも、なんでも
とにかく多く出すことがよいとされています。

小林製薬でも、アイデアを数多く出すことを社員に求め、
良いアイデアに対しては評価し、賞金まで出すそうです。

企業として、こうした仕組みを設けることは良いことですよね。


そして、常にアイデアをたくさん出さなくては・・、
という意識が社員の日常生活への感度を
上げているようにも思えました。

企業文化もアットホームな感じで、
自由闊達に発想しやすい雰囲気が感じられました。

平社員でも自由に意見が言いやすい雰囲気に見えました。


次回は、小林製薬がマーケティングで最重要視している
「分かりやすさ」についてご紹介します。


小林繁さんと江川卓さんのCM

今日はあの話題のCMでのブランディングについてです。

日本酒の黄桜が、小林繁さんと江川卓さんが対面して
日本酒を手に言葉を交わすCMを流しています。


黄桜のWEBサイト(CMキャンペーンのページへのリンクも)
黄桜のニュースリリース(CMについて)


私はこれを新聞広告で見たときに衝撃を受けました。
テレビCMもその後、あらためて食い入るように見てしまいました。

小林繁さんと江川卓さんについては、
説明不要の方も多いと思いますが、
「空白の一日」と呼ばれる問題を発端に、
プロ野球の巨人と阪神との間で選手を移籍した2人です。

2人は因縁をもって語られ、ライバルとして戦いました。

注目され、比べられ、ドラマチックな運命として
語られる2人の28年ぶりの対面です。


このCMの背景にある「空白の一日」を知らないと、
このCMの凄さは、わかりにくいかもしれません。

しかし、知らない人であっても、
複雑な事情を抱えた2人だ、とだけ理解して見れば
伝わるCMになっていると思います。


このCMに黄桜(日本酒)は「時を結ぶ 人を結ぶ」という
メッセージを込めています。

28年を経て出会った時の2人の硬い表情が、
徐々に打ち解けていく感じが見て取れます。
ずっと心の奥底にしまっておいた感情があふれ出てきています。

そして日本酒が似合っています。

酒の持つ魅力を、存分に引き出せているCMだと思います。
この企画、着想力には参りました。脱帽です!


あなたの商品が持つ魅力とは何ですか?
あなたの商品が消費されるシーンはどんな状況ですか?


それらを突き詰めて、このCMができたのでしょう。

日本酒は焼酎に比べて、近年は勢いがないようですが、
他の酒と比べて「うまい」「安い」などを訴えずに、
商品の魅力をストレートに訴えたことで、
黄桜(日本酒)の強烈なブランディングになりました。

ライバルにだけ注目して自分を見失わないことが大切です。

ブランド作りにおいても
本質や原点を突き詰めたときの強さがわかる事例だと思います。



21_21 DESIGN SIGHT「water」

21_21 DESIGN SIGHTの第2回企画展「water」に
行ってきました。

「water」は、グラフィックデザイナーの佐藤卓さんが
ディレクションをしています。

(参考:六本木経済新聞のサイト)
http://roppongi.keizai.biz/headline/1163/index.html

この日の天気は、この展示会にふさわしく(!?)「雨」です。

water01.JPG
water02.JPG

客層は20~30代の女性が多いですね。

かけがえのない水のさまざまな様態が表現されています。
視覚、聴覚、触覚に訴えかけます。

前回の企画展「Chocolate」もそうでしたが、
21_21 DESIGN SIGHTに来ると多くの切り口を体感できます。
触発されます。

アイデアを探している方は湧きますよ!

今回の展示会は、水に関するお仕事をされている方や、
外食産業の方は、特に面白いと思います。

「Chocolate」より少し堅め(真面目)な内容という
印象を持ちました。

これは、地球環境や人体などを考えることが多かったことや、
チョコレートの甘い感じがないためかもしれません。

開催は来年1月14日まで。足を運んでみてはいかがでしょうか。

(おまけ)
佐藤卓さんについては、このブログで2本記事を書いています。
興味ある方はご覧になってください。
10月20日 情熱大陸 佐藤卓さんが目指すデザイン
10月21日 デザイン発注者の認識レベルも求められる

深澤直人さんの課外授業

10月20日に放送されたNHKの「課外授業ようこそ先輩」
深澤直人さんが登場していました。

今日の話題は、番組の中で取り上げられた
デザインという行為、プロセスについてです。


この番組は、社会の第一線で活躍している方が、
ご自身の母校の小学校に行き、自分の仕事のエッセンスを
子供に体験させ、伝える課外授業の番組です。


工業デザイナーが行っていることを、
小学生に体験してもらい、そのプロセスから
ものごとを学んでもらっていました。

深澤さんは、子供たちに「人が考えずにやってしまうこと」を
探す課題を出しました。

深澤さんは、例として、傘たてがない玄関で、
傘の先端をタイルの目地に合わせて、
傘を少しでも安定させて立てておこうとする
ことを挙げました。


人がなにげなく行ってしまうことを観察し、
その行為からデザインを生み出していくのです。

玄関に一本溝を掘ってあるデザインがそこから生まれました。


子供たちは、学校や街の中を観察して、
「考えずにやってしまうこと」を集めてきます。

そして、その行為のネタから、
使う人が幸せになれるデザインアイデアを考えてくるのです。


子供たちのアイデアも素晴らしいものでした。

玄関脇の下駄箱上に無造作に置かれる鍵を見て、

鍵に花の形のキーホルダーをつけ、
その花の形のチップが、たくさん置いてある
小型のプランターのようなデザインをした小物入れ(鍵入れ)
なんてデザインアイデアもあり、素敵でした。


家から帰ってきて、小物入れに鍵をポンと置く。
すると花に中に鍵がまぎれて、心も和みますよね。
キーホルダーとしてもおしゃれです。


子供たちも立派でしたが、
デザインは、使う人の行為を観察すること、
そして、使う人を幸せにすること
、というポイントを
わかりやすく教えてくれる深澤さん、お見事でした。