小林繁さんと江川卓さんのCM

今日はあの話題のCMでのブランディングについてです。

日本酒の黄桜が、小林繁さんと江川卓さんが対面して
日本酒を手に言葉を交わすCMを流しています。


黄桜のWEBサイト(CMキャンペーンのページへのリンクも)
黄桜のニュースリリース(CMについて)


私はこれを新聞広告で見たときに衝撃を受けました。
テレビCMもその後、あらためて食い入るように見てしまいました。

小林繁さんと江川卓さんについては、
説明不要の方も多いと思いますが、
「空白の一日」と呼ばれる問題を発端に、
プロ野球の巨人と阪神との間で選手を移籍した2人です。

2人は因縁をもって語られ、ライバルとして戦いました。

注目され、比べられ、ドラマチックな運命として
語られる2人の28年ぶりの対面です。


このCMの背景にある「空白の一日」を知らないと、
このCMの凄さは、わかりにくいかもしれません。

しかし、知らない人であっても、
複雑な事情を抱えた2人だ、とだけ理解して見れば
伝わるCMになっていると思います。


このCMに黄桜(日本酒)は「時を結ぶ 人を結ぶ」という
メッセージを込めています。

28年を経て出会った時の2人の硬い表情が、
徐々に打ち解けていく感じが見て取れます。
ずっと心の奥底にしまっておいた感情があふれ出てきています。

そして日本酒が似合っています。

酒の持つ魅力を、存分に引き出せているCMだと思います。
この企画、着想力には参りました。脱帽です!


あなたの商品が持つ魅力とは何ですか?
あなたの商品が消費されるシーンはどんな状況ですか?


それらを突き詰めて、このCMができたのでしょう。

日本酒は焼酎に比べて、近年は勢いがないようですが、
他の酒と比べて「うまい」「安い」などを訴えずに、
商品の魅力をストレートに訴えたことで、
黄桜(日本酒)の強烈なブランディングになりました。

ライバルにだけ注目して自分を見失わないことが大切です。

ブランド作りにおいても
本質や原点を突き詰めたときの強さがわかる事例だと思います。