「プロフェッショナル広報戦略」
著者は世耕弘成(せこうひろしげ)さんです。

著者は自民党の参議院議員です。
安倍内閣では首相補佐官も務めていました。
この本は、2006年1月(つまり安倍内閣が発足する前)に
出版されましたが、広報、政治に興味がある方は
必読だと思います。
この本は、2005年9月の郵政解散総選挙の時に、
広報本部長代理となった世耕氏の行動が中心に書かれています。
総選挙では、外部のコンサルタントも加えた
コミュニケーション戦略チーム(通称「コミ戦」)の
リーダーとして行動しています。
しかし、この本は単なる政治や選挙の裏話ではありません。
広報がどうあるべきかを書いた本であり、選挙は
その実例として題材となったと考えたほうがよいでしょう。
言い方を換えると、事例を通じて広報戦略を
学ぶことができる素晴らしい本です。
選挙には多くの人が関心を持ち、投票したのですから
とてもわかりやすいテーマが題材になっています。
世耕氏は、NTT入社の約1年後から広報を担当し、
報道担当課長の経験を持っています。
NTT時代にボストン大学のコミュニケーション学部大学院
に留学した経験もあります。
広報のプロであり、NTT時代や政界での広報への
取り組みは、学問を実践に活かしている好例でしょう。
本の中で、広報で最も重要なのはトップ回りの
コミュニケーション戦略だと主張し、
データを重視した広報戦略を行います。
内容はかなり具体的で、メッセージの選び方や
イメージ戦略、広報の組織づくり、
プロの広報マンに必要な要素まで書かれています。
もちろん、この一冊だけで広報戦略がすべて理解できる
ほど、広報も簡単なものではありませんが、
広報戦略の重要性はよくわかります。
自民党やNTTが題材ですが、
中小企業も使えることが多くあります。
本の文字も大きく、文章も読みやすいです。
ストーリー性もあり、引き込まれているうちに
2~3時間で読めました。
ブランディング、デザインのあり方としても
勉強になります。