コカ・コーラ瓶の立体商標

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

昨日、知的財産高裁はコカ・コーラの瓶を
立体商標として認定し、商標登録を認めなかった特許庁の
審決を取り消しました。

日本コカ・コーラ株式会社によると、

今回の判決は、日本において、
文字や図形が付されていない容器について
初めて立体商標登録を認められたものだそうです。

日本コカ・コーラ株式会社のサイト
http://www.cocacola.co.jp/corporate/news/news_000453.html


立体商標の例に、
不二家のペコちゃんがよく挙げられますが、
容器だけを登録するのは、かなり難しいようです。


今朝の日本経済新聞によると、これまで
サントリーのウイスキー「角瓶」や
ヤクルトの容器は認められなかったそうです。

そのため今回の判決は画期的です。


形状の独自性については、
裁判長は「コーラ飲料の容器として予測可能の範囲内」
と否定したそうですが、

「多くの人が形状だけでコカ・コーラと認識できる」
と認定したそうです。


共同通信(47NEWS)では、
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008052901000600.html

判決は、

(1)同じ形状の無色容器を示した原告側の調査で
6-8割の人が商品名を「コカ・コーラ」と回答した

(2)形状に関する歴史やエピソードなどを解説した本が
多く出版されている

(3)同じ特徴を持つ容器の清涼飲料水は流通していない

などを識別能力がある理由として挙げた、と報じています。



日本経済新聞によると、長期間の使用で
他社製品と識別可能になったと認めた例は、
懐中電灯「マグライト」に続いて2例目だそうです。


形だけで多くの人が認識できるまで、
約50年使い続けたことが実を結んだということでしょうか。

約50年のブランドの重みがあって、
それが認められたということですね。


「マグライト」や、立体商標を登録する意義についても、
以前このブログでも取り上げました。参考にしてください。


2007年7月4日「立体商標を認める判決」
http://brand-design.seesaa.net/article/46766703.html

2007年7月7日「意匠だけでなく立体商標も考える」
http://brand-design.seesaa.net/article/47014885.html

21_21 DESIGN SIGHT 21世紀人

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

先日、東京ミッドタウン内の21_21 DESIGN SIGHT
第3回企画展「ⅩⅩⅠc.」(21世紀人)に行ってきました。

21_21 DESIGN SIGHTは、三宅一生さん、佐藤 卓さん、
深澤直人さんの3人のディレクターによって作られていますが、
今回の企画展で3人が一巡したことになります。


21世紀人は、人の身体とものづくりの関係を
モチーフにした展示で、かなり芸術的でした。

21世紀人

それぞれの作品をじっと見て、
作品に込められた思いを感じる展示です。

デザイン展より美術展に近い印象を私はもちました。

人の身体と環境を感じたい人は、楽しめると思います。
展示を最後まで見ると、さわやかな気分になれます。

21世紀人は7月6日までです。

CIの目的と実施の背景

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日は、特許庁が実施した平成18年度商標出願動向調査
「企業等のブランド戦略におけるCI等と商標出願の関連
についての動向調査」についてお話します。

この調査では、企業へのアンケートなどを通じて、
日本企業のCI(コーポレート・アイデンティティ)活動
の実態、CI・CB(コーポレートブランド)における
商標出願・活用の戦略がわかります。


「CIとは?」という方は下記リンクをご覧ください。
2007年7月16日の記事「CI(コーポレート・アイデンティティ)」
http://brand-design.seesaa.net/article/48008631.html


報告書は、かなりボリュームがありますが、
ここでは、CI活動の目的と
CI活動を実施する背景について取り上げます。


CI活動の目的は?という質問に対し、
回答は多い順に以下のようになっています。
(複数回答可)

企業イメージの向上
社員の意識改革
企業認知度の向上
企業グループの求心力向上
顧客の評価向上
売上高の向上


また、CI実施の背景として、

企業イメージと時代背景のギャップ
国際化の進展
経営理念の変更
カンパニー制、分社化など企業形態の変更
企業体質の沈滞による社員のモチベーション低下

などの回答結果が挙げられています。
(こちらも複数回答可)


CIは、顧客、社員、グループ会社へ
経営理念、企業文化を浸透させるために行うのですが、

今回注目したいのは、

CI活動の目的の2番目に「社員の意識改革」があり、
CI実施の背景の5番目に「企業体質の沈滞による
社員のモチベーション低下」があることです。

企業文化、組織風土の改革、
社員の貢献意欲増大にCI活動が位置づけられています。

これらが目的として明示され、
CI実施の背景として認識されていたというのは、

経営改革の手法として、
かなりCIの考え方が浸透してきていると思いました。

また「企業体質の沈滞による社員のモチベーション低下」
という回答が近年増加している結果は、
時代を写しているように思います。



この調査は報告書(要約版)がwebサイトに掲載されています。

特許庁 意匠・商標出願動向調査報告のページ
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/isyou_syouhyou-houkoku.htm


アンケート回答企業は、大企業が多いようですが、
中小企業にも共通するところが多いと思われます。

上記のような課題や問題をもっていると感じる経営者の方は、
CI活動の実施を考えてみてはいかがでしょうか。

グッドデザイン賞の審査基準

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

昨日の「よいデザインとは」というテーマの
延長線上として、

グッドデザイン賞の2007年度の審査基準と
今年度の2008年の審査理念を紹介します。


以下(財)日本産業デザイン振興会のwebサイトより引用

・・・・・

グッドデザイン賞の2007年度審査基準

審査基準は、以下の3階層から構成します。

「1.良いデザインであるか」
「2.優れたデザインであるか」
「3.未来を拓くデザインであるか」

「1.良いデザインであるか」に示す10項目について、
一定以上の水準にあると判断される審査対象を
「グッドデザイン賞」の受賞対象とします。

受賞対象については「2. 優れたデザインであるか」、
「3.未来を拓くデザインであるか」に示す言葉を用い、
優れているポイントを明らかにします。



1.良いデザインであるか
グッドデザインに求められる基本的要素

美しさがある
誠実である
独創的である
機能・性能がよい
使いやすさ・親切さがある
安全への配慮がなされている
使用環境への配慮が行き届いている
生活者のニーズに答えている
価値に見合う価格である
魅力が感じられる


2. 優れたデザインであるか
特に優れた点を明らかにするポイント

デザイン
 デザインコンセプトが優れている
 デザインのプロセス、マネージメントが優れている
 斬新な造形表現がなされている
 デザインの総合的な完成度に優れている

生活
 ユーザーのかかえている問題を高い次元で解決している
 「ユニバーサルデザイン」を実践している
 新しい作法、マナーを提案している
 多機能・高機能をわかりやすく伝えている
 使いはじめてからの維持、改良、発展に配慮している

産業
 新技術・新素材をたくみに利用している
 システム化による解決を提案している
 高い技能を活用している
 新しいものづくりを提案している
 新しい売り方、提供の仕方を実現している
 地域の産業の発展を導いている

社会
 人と人の新しいコミュニケーションを提案している
 長く使えるデザインがなされている
 「エコロジーデザイン」を実践している
 調和のとれた景観を提案している
 

3.未来を拓くデザインであるか
 デザインが生活・産業・社会の未来に向けて積極的に取り組んでいることを評価するポイント

デザイン
 時代をリードする表現が発見されている
 次世代のグローバルスタンダードを誘発している
 日本的アイデンティティの形成を導いている

生活
 生活者の創造性を誘発している
 次世代のライフスタイルを創造している

産業
 新しい技術を誘発している
 技術の人間化を導いている
 新産業、新ビジネスの創出に貢献している

社会
 社会・文化的な価値を誘発している
 社会基盤の拡充に貢献している
 持続可能な社会の実現に貢献している

*このポイント以外に審査の段階で新しいポイントが発見される場合もあります。

・・・・・

私が昨日書いた内容に比べてかなり細かいですよね。

やはり、それだけデザインの価値が
多岐にわたるということでしょう。



そして、2008年度のグッドデザイン賞は、
審査基準から審査理念へと、大きく変わるようです。

そこには、一定の基準を超えたものがグッドデザインではなく、
審査理念に照らして、優れたデザインをグッドデザインとしたい
という考えがあるようです。


再び(財)日本産業デザイン振興会のwebサイトより引用

・・・・・

2008年度のグッドデザイン賞審査は、近未来の生活者の立場から審査をすることにより、生活者のあるべき時空間を予感させ、デザインを通じて、豊かさと持続可能性に満ちた生活、産業、社会の実現をめざします。

グッドデザイン賞審査委員会は、応募された対象ごとに、下記に記載する「グッドデザイン賞の審査理念」に基づいて審査をおこない、総合的な見地から「グッドデザイン賞受賞対象」を確定します。


グッドデザイン賞の審査理念
人間(HUMANITY) もの・ことづくりへの創発力
本質(HONESTY) 現代社会への洞察力
創造(INNOVATION) 未来を切り開く構想力
魅力(ESTHETICS) 豊かな生活文化への想像力
倫理(ETHICS) 社会・環境への思考力

・・・・・

2007年度に比べて、審査基準は抽象的になりましたが、

グッドデザイン賞をサプライサイド(生産者)から
生活者視点へ変えていくことを考えているようです。


今年の審査は注目です。
今年度のグッドデザイン賞の応募は5月8日から始まりました。


よいデザインとは

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日のテーマは「よいデザインとは何か」です。

かなり深いテーマですが、
私が考える「よいデザインとは」をお話します。


まず、よいデザインとは「誰にとって」よいのか。

私は、その主体には生産者、流通者、消費者だけでなく、
社会、環境もあてはまると思います。

そして「よいデザイン」とは、大きく分けて
次の4つの視点のどれか(いくつか)が優れている
デザインだと考えています。

「感性」美しい・心地よい
「働き」使いやすい・効果が高い
「経済」経済性が高い
「社会」社会・地球環境によい

4つすべて揃っていないくても、
よいデザインという場合もあるでしょうが、
やはり4つとも一定水準まで欲しいですね。

さまざまな価値観があり、良し悪しの評価が難しいのが
デザインの面白さであり、難しさなのでしょう。


「よいデザイン」は英語にすると「グッドデザイン」(笑)。

ということで、明日は2007年度のグッドデザイン賞審査基準と
今年度のグッドデザイン賞審査理念をご紹介します。

IKEA訪問レポート

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日の横浜は快晴です。連休で一番の天気です。

ゴールデンウィーク真っ只中に、
IKEA(イケア)港北店に行ってきました。
今日はその報告です。


IKEAはスウェーデンの家具店で、
低価格やデザインなどが話題になっています。

商品は買った人が自分で組み立てるということで、
低価格を実現しています。


オープンから1年半経ち、
ゴールデンウィークでも人出は少し落ち着いたかなと
思いましたが、とんでもなかったです。

新横浜からのシャトルバスはすぐに満員になりました。
IKEA1.JPG

店内もにぎわっており、
私が入店後しばらくして入場制限が行われました。
駐車場も満車が続いていました。

店舗はかなり広く、
ぐるっと見て回るだけで1~2時間はかかると思います。
家具やキッチン用品・雑貨などがあります。
IKEA2.JPG


IKEAは商品のカラーリングと陳列方法に特徴があります。

陳列は、例えば机というカテゴリーで、
机だけを並べるのではなく、ひとつの空間を提案します。

空間には机も椅子も棚もマットもカーテンもあって、
空間の世界観(商品の使い方)を伝えています。
IKEA3.JPG

机だけ、ベッドだけを比較検討したい方には
見づらいデメリットもありますが、

来店客がコーディネートを考えやすいことや、
まとめて購入してくれる(客単価が上昇しやすい)
メリットがあると思われます。
IKEA4.JPG

客層としては、子供を連れた家族が目立ちました。
若い女性も比較的多かったですね。
30代が一番多かったのではないかと思います。


低価格だけど、デザインもいい。

これからの時代に合っていると思います。
IKEAはオープン景気だけでなく、
今後も支持されるでしょう。

ドコモのブランド戦略

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日はNTTドコモのコーポレートブランド戦略です。
前回の続きです。

ドコモには、前回お話した通り、
社内に危機感があったようです。

昨年8月にコーポレートブランディング本部を設置し、
議論をする中で、社長からのトップダウンだけでなく、
社員の考えもまとめたボトムアップも取り入れて、
今回のブランド一新となったようです。


私が今日お伝えしたいのは、
ブランドリニューアルのベースに、
マーケティング戦略の転換がある
ことです。


ドコモのマーケティング戦略は、

新規顧客獲得から既存顧客のロイヤリティ重視
技術や電話機機能主導から、サービス主導

へと転換します。


今後の成長戦略としては、新規顧客獲得より、
定額制データ通信の契約拡大、周辺産業との連携、
海外への展開を挙げています。

国内の携帯電話契約が1億を突破し、
成熟産業になりつつある中、この判断は正しいと思います。

ロゴも、これまでの質実剛健のような堅いイメージから
やわらかいものへと変わるのは、そのためでしょう。


このようにブランド、経営戦略、ロゴデザインは
一体であること
が重要なのです。


またブランド一新にともない、1年間続いた
「DoCoMo2.0」のキャンペーンは終わるようです。

「そろそろ反撃してもいいですか?」
という刺激的なキャッチコピーと、
大掛かりなCFキャンペーンで、話題になりました。


Web2.0のように、技術革新を伴ったまったく
新しい携帯電話のイメージをアピールしたものの、

結果として、消費者にはその新しさが
それほど受け入れられなかったのでしょう。


Web2.0が、技術革新でみんなでつくるWeb世界を
示したのに対して、

「DoCoMo2.0」は、他社に比べた技術・機能面のアピールを
ドコモが派手にキャンペーンしただけの「空回り」
という印象を私は持ちました。


一歩先を行く技術、企業を目指すのもよいことですが、

「DoCoMo」「DoCoMo2.0」から「docomo」への転換では、
対ライバル、技術主導から、顧客が求めるサービス提供に
着実に転換してほしいと思います。


新しい「docomo」ロゴや、新ブランドステートメント、
スローガン「手のひらに、明日をのせて。」は、
DoCoMo2.0の力強さの対極とも言えるほどの大転換です。


ただ「docomo」は、まだビジョン・理念だけです。

他社との差別化や、現場の対応など具体的なところは
まだ見えていないところがあります。

auやSoftbankとどう違う携帯電話会社になるか。
これから大きく変わる「docomo」に注目です。



PS.新ロゴ「docomo」を見ると、撤退した「vodafone」を
連想してしまうのは私だけでしょうか・・・。