川崎和男さんのカンブリア宮殿を見て

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
この1週間で横浜でもマスクをする方が急増しました。

さて、先週の月曜日18日に川崎和男さんが
テレビ東京の番組「カンブリア宮殿」に出演していました。

川崎和男さんは日本を代表する工業デザイナーです。

番組を見て大変な努力家・勉強家だなとまず感じました。

もしデザイナー以外の仕事に就かれていても、
成功されたのではないかと思います。

勉強されている分野が幅広く、教養や論理も鋭いように感じました。
(若輩浅学の私には、その深さが判断できません)

番組では、川崎さんがデザインをしているナナオ(東証一部上場)の
売上が150億から900億へと6倍になったと放送していました。

売上が150億円だったのが、いつかはわかりませんでした。
私の手元の資料では少なくとも10年以上前のようです。

他にも中小企業の製品デザインの例が多く紹介されていました。

このように活躍されている川崎さんですが、
番組の中で次のように話しているのが印象的でした。

「僕は80%以上できるまで妥協できない」

現実として、デザイナーが提案したデザインは、
考え抜かれたデザインであっても、資金や技術面など
さまざまな制約によって実現することは難しいわけです。

川崎さんであっても妥協することがあるんだ、という感想と
川崎さんは80%以上に実現するまで妥協しないんだ、
という感想の両方をもちました。

川崎さんほど経験・知識が豊富なデザイナーでも
妥協せざるを得ないことがあるのが、現実の難しさです。

ただ、80%以上実現できてしまうのも、本当にすごいことです。
80%以上できれば、もともとのデザインの肝は保たれているのでは
ないでしょうか。

私は以前、現実味のないデザイン提案を自信満々に語られる
デザイナーに困ったことがありました。

デザイナーが「妥協しない」と言えば格好よいですが、
事業リスクを負っているのは経営者です。

経営コンサルタントという仕事柄もありますが、
ネガティブな意味合いを含んで使われる「妥協」という表現を
私はあまり好みません。

さまざまな現実とのバランスをとることは、
前へ進む価値を生む行為と、
ポジティブに考えるべきケースも多いと私は思っています。

経営は総合的に考えることも多く、
そういった意味で「妥協」の連続です。

川崎さんほどの知識・見識を持つ方でも
提案したデザインに「妥協」するのです。

経営資源が多くない中小企業は、
いきなり理想のデザインに飛び込んでいくのではなく、
現時点でのベストのデザインに取り組むべきだと思います。

私はデザインの価値を消すことなく、経営とのバランスを
取ろうとする経営者の判断を支援していきます。