西日本での豪雨が気になりますね。
横浜も突然、強い雨が降ります。注意しなくていけません。
今日は久しぶりに本をご紹介します。
奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。
中川 淳
日経BP社
昨年10月に出版されて、すぐに私も読みました。
ご紹介が遅くなりましたが、
中小企業経営者にはぜひ読んでいただきたい一冊です。
著者は、高級麻織物を扱う300年の伝統を持つ老舗
株式会社中川政七商店の代表取締役です。
中小メーカーのブランディングには小売をやることが
最も現実的で有効である、と結論付けています。
社員約100名のメーカーの経営者が、小売店を始め、
運営するまでの考え方や事業展開を語っています。
中小企業経営者にとって等身大の内容です。
「中小企業には中小企業なりの『やるべきこと』
と『やるべき手順』がある」という主張は私と同じです。
多くのビジネス書同様、ブランドやデザインに関する書籍も
大企業を対象としたものが多く、中小企業の現場では、
本に書いてある通りのブランディングやデザイン活用は
そのまま使えないことがほとんどです。
前提となる状況が異なるので当たり前なのですが、
その点をしっかり主張し、その手順まで
詳細に書いた本は意外と少ないです。
著者がブランディングに取り組んだ理由として、
「私がデザイナーではないから」という理由を
挙げていたのも面白かったです。
著者は、ブランドには差別化が必要と説いた上で、
後半の対談編で、以下のように語っています。
「経営者から見れば、調査や分析を基に理論を積み上げて
答えを出すことはそう難しくない。しかし、積み上げで
得られる答えは『違い』を生まないんです。
理論を積み上げたうえで、その理論から“飛ぶ”ことが
大切なのです。“飛ぶ”ことが『違い』を生みます。」
著者は“飛ぶ”ことはデザインに近いとも語っています。
この本から「経営そのものもデザイン」
と考える著者の感覚をぜひ感じ取ってください。