ボストン美術館展とオルセー美術館展2010

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
横浜は、ぐずついた天気が続いています。

アートの街として浸透しつつある六本木で、
「ボストン美術館展」と「オルセー美術館展」の
2つの美術展が開催されていました。

ボストン美術館展は、20日に森アーツセンターギャラリーでの
開催が終了し、7月から京都市美術館で開催されます。

ボストン美術館展.jpg

16~20世紀の西洋絵画が見られるとあって、
森アーツセンターギャラリーには、4月17日~6月20日の会期に
約32万人の来場があったそうです。

私も平日の午後に行きましたが、多くの方で賑わっていました。

モネの絵がずらっと10点並んでいる部屋や、
肖像画や宗教画などの切り口で時代を超えた展示の仕方など
見せ方も面白かったです。

一方、国立新美術館で5月26日~8月16日まで開催している
オルセー美術館展は、ボストン美術館よりさらに人が多い印象です。

オルセー美術館展.jpg

ゴッホやゴーギャン、ルソーの絵が印象的でした。

私は美術の知識はほとんどありませんが、
それぞれの画家がさまざまな表現の仕方をしていることを
見比べることができたのは面白かったです。

展示品数も多く、まるで教科書の世界でした。

表現の仕方はテレビや書籍でもわかるでしょうが、
本物を見て、感度をあげることも価値のあることだと思います。

これらの絵画、もちろん販売されていないのですが、
もし値段がつくなら数百億円以上するのだろうと思います。

それらが3,000円で見られるのですから、お値打ちとも言えますよね。

できるだけ空いている時間帯に行かれることをお勧めします。

「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日は21_21 DESIGN SIGHTで開催されている
「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展の訪問レポートです。

ポストフォッシル.jpg

フォッシルとは化石のことで、
今後の未来を見据え、化石燃料ではない「ものづくり」や
「デザイン」を考える展示です。

トレンド予測を仕事とするリー・エデルコートさんが
企画・ディレクションをしています。

将来、石油や石炭は枯渇してしまうかもしれません。

展示ではプラスチックなどがない世界を見せられます。
骨や皮、土や木などを材質につくられたものが多く並んでいます。

展示点数もいつもの21_21 DESIGN SIGHTの展示より多めです。

欲しい人に向けた造った商品デザインというより、見る人へ
メッセージを発する、かなり芸術的な要素が強い内容でした。

中小企業経営にすぐに活かせる内容とは
言いにくいところもありますが、
地球や人類の未来を考えるひとつのヒントがあります。

いわゆる文明の発展を見せるSFとは
異なる視点のSFの世界を楽しめるでしょう。

会期は27日の日曜日までです。

セミナー「デザイン導入に活用できる助成金・補助金」

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

サッカーワールドカップが盛り上がっています。昨日のオランダ戦は
残念でしたが、次のデンマークとの試合も応援しましょう。

セミナー「デザイン導入に活用できる助成金・補助金」のご案内です。

東京都・東京都中小企業振興公社が主催するセミナーです。
私が代表を務めるデザイン経営研究会に講師依頼がありました。

講師は中小企業診断士の内藤博さんが担当します。
私も会場に行く予定です。
東京都内の中小企業はぜひご参加ください。

日 時 6月29日(火)13:30~15:30
受講料 無料
会 場 東京都産業労働局秋葉原庁舎 3階 第1会議室

以下、東京都中小企業振興公社の告知文からの引用です。

デザイン導入にかかる費用について、インターネットで「補助金・デザイン」で検索しても該当するものはほとんどありません。

しかし、ちょっと見方を変えれば、デザイン導入に活用できる助成金・補助金は見つかります。

今回は助成金・補助金の情報だけではなく、
デザイン導入にうまく行政の補助を活用するコツもお伝えします。

デザイン導入をお考えの企業様だけでなく、
企業様へアドバイスするデザイナーの方にもお勧めの内容です。

東京都中小企業振興公社の当セミナー案内ページ
http://www.tokyo-kosha.or.jp/topics/1005/0013.html

客単価と客数増を目指すマクドナルドの新世代デザイン店舗(その後の変化編)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
横浜は雨です。今日から梅雨入りしそうです。

さて、4回にわたってお届けしたマクドナルドの新世代デザイン店舗
の視察レポートの続編です。

4回分の記事を書いた5月8日以降も渋谷センター街店と
渋谷新南口店にできるだけ行って観察を続けました。
ハンバーガーをたくさんいただきました。

過去4回の記事へのリンクは以下の通りです。

客単価と客数増を目指すマクドナルドの新世代デザイン店舗(1)
客単価と客数増を目指すマクドナルドの新世代デザイン店舗(2)
客単価と客数増を目指すマクドナルドの新世代デザイン店舗(3)
客単価と客数増を目指すマクドナルドの新世代デザイン店舗(4)

どんな変化があったか見ていきましょう。

5月中旬にはホールのクルー(店員)が減少

以前の記事では、ホールにクルーが多く配置されており、
人件費増が懸念されると指摘しましたが、今では2店舗とも
通常のマクドナルドとほぼ同じクルーの配置です。

オープン直後は、食べた後のゴミ片づけについて、
原則セルフサービスではあるものの、クルーが気を利かせて、
ほどんどの客に声をかけて代わりにやっていました。

しかし今では、ほとんど客が自身でゴミを片づけて帰ります。
ホールにクルーがほとんどいないからです。

この変化の理由は、
リニューアル直後のスムーズな運営のために特別に増員していたか、
もしくはオープン後2週間程度で人員配置の方針を変更したか、
のどちらかでしょう。

私が新世代デザイン店舗の最大の特徴と考えていた、
クルーの手厚いサービスは特徴ではなくなっていました。

したがって、以前に指摘した
「新世代デザイン店舗からマクドナルドのファンになった客が、
通常の店舗ではクルーのサービスが少なくてマクドナルドブランドに
失望してしまうリスク」もなくなりました。

5月下旬と6月にメニューを書いた紙が変化

各テーブルに当初は三つ折りのメニューが置いてありました。

メニュー紙.jpg

このメニュー、2人で向かい合って座ると、置くところがなく
邪魔になると指摘していましたが、その後2度変わりました。

まず、5月下旬にはサイズが小さくなり、
三角にくっついた形になりました。

新メニュー紙.jpg

そして6月にはサイズは変わりませんが、
写真が大きく載ったレイアウトのメニューに変わりました。

新新メニュー紙.jpg
2面を写すため、2つ並べて撮影しています。

どんどん改善されていきます。
これらの変化のスピードは、さすがにマクドナルドだと感じます。

変化の方向も効率性・収益性の観点ではプラスでしょう。

しかし、この変化の方向性は、新世代型デザイン店舗が
通常店舗と差別化して、とんがっていくのではなく、
通常店舗に似る方向への変化です。

出店前の計画時に、原田社長が以下のように話していた
コンセプトが実現しているのか疑問に思います。

「ブランド資産をさらに構築していくための新しいデザイン」

「お客様に今まで以上の素晴らしい店舗体験を
していただくための新しいデザイン」

現状の新世代デザイン店舗は、クルーの制服が変わり、
店舗デザインはカフェ風(席はわずかに広く)になっただけで、
価格が多少値上がりしたという印象です。

サービス面での変化は、ほとんど認識できません。

外見のデザインの変化だけで値上げが受け入れられるのか、
客数の増減に注目です。

新世代デザイン店舗は、店内の美しさを維持することが難しいインテリアです。

ソファや壁紙などの設備更新の費用を賄える収益を獲得しなければ、
新世代デザイン店舗は増えていかないでしょう。

現場ではメンテナンスがしにくく、効率を妨げるインテリアの
飾り要素は消え始め、店舗の“通常化”が進んでいます。

今は試行錯誤の段階にあると思われますが、
マクドナルドがどんな最適解を出すのか今後も目が離せません。

世界を変えるデザイン展でBOP向けビジネスを考える

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日は「世界を変えるデザイン展」の訪問レポートです。

世界を変えるデザイン展1.jpg

BOP(Bottom of the PyramidもしくはBase of the Pyramid)と
呼ばれる発展途上国にいる低所得者層を対象としたデザイン展示です。

東京ミッドタウンのデザインハブでは5月13日から6月13日まで、
六本木のアクシスギャラリーでは5月28日から6月13日まで
開催されています。

世界を変えるデザイン展axis.jpg

今までデザインや“ものづくり”は
高所得者を対象の中心に行ってきたきらいがあります。

しかし、高所得者の数よりもはるかに多い人々へ
価値を届けていくことも考えていく時代でしょう。

デザインハブへの来場者もいつもよりかなり多いです。
貧困問題や社会貢献などに関心が高い方の来場が多いようです。

私が一番感心した展示が度が変えられる眼鏡です。

Adspecs.jpg

眼鏡のテンプルについているピストンを調整することで、
レンズ部分の水分の量を調整して視力を矯正します。

眼鏡は人によってレンズ度数が異なるものですし、
同じ人でも度数がきつくなっていくこともあります。

度数が簡単に変えられるのはいいですよね。
私も実際にかけて試しましたが、きれいに見えました。

次は大量の水を簡単に運ぶ容器です。
手前にあるペットボトル分の水が運べます。

QDrum.jpg

単純なデザインだと思われるかもしれませんが、
相手に合わせた素晴らしいデザインです。

現場に適しているのはリアカーでも自動車でもないのです。

相手に合わせた良いデザインは人を幸せにしますね。

展示では、先進国で作って輸出するのではなく、
現地で入手しやすい材料を使い、製造もしやすい製品が
多く見られました。良いことです。

しかし、日本の中小企業がビジネスとして取り組むには
容易ではなさそうです。

入手しやすい、製造しやすいということは、模倣されるリスクが
高くなりますし、低価格競争にも陥りやすくなります。

慈善事業と割り切れば別ですが、ビジネスとして
継続させるためには、優れた価値を適切な価格で提供し続けられる
工夫が必要になるでしょう。