おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
横浜は雨です。今日から梅雨入りしそうです。
さて、4回にわたってお届けしたマクドナルドの新世代デザイン店舗
の視察レポートの続編です。
4回分の記事を書いた5月8日以降も渋谷センター街店と
渋谷新南口店にできるだけ行って観察を続けました。
ハンバーガーをたくさんいただきました。
過去4回の記事へのリンクは以下の通りです。
客単価と客数増を目指すマクドナルドの新世代デザイン店舗(1)客単価と客数増を目指すマクドナルドの新世代デザイン店舗(2)客単価と客数増を目指すマクドナルドの新世代デザイン店舗(3)客単価と客数増を目指すマクドナルドの新世代デザイン店舗(4)どんな変化があったか見ていきましょう。
5月中旬にはホールのクルー(店員)が減少以前の記事では、ホールにクルーが多く配置されており、
人件費増が懸念されると指摘しましたが、今では2店舗とも
通常のマクドナルドとほぼ同じクルーの配置です。
オープン直後は、食べた後のゴミ片づけについて、
原則セルフサービスではあるものの、クルーが気を利かせて、
ほどんどの客に声をかけて代わりにやっていました。
しかし今では、ほとんど客が自身でゴミを片づけて帰ります。
ホールにクルーがほとんどいないからです。
この変化の理由は、
リニューアル直後のスムーズな運営のために特別に増員していたか、
もしくはオープン後2週間程度で人員配置の方針を変更したか、
のどちらかでしょう。
私が新世代デザイン店舗の最大の特徴と考えていた、
クルーの手厚いサービスは特徴ではなくなっていました。
したがって、以前に指摘した
「新世代デザイン店舗からマクドナルドのファンになった客が、
通常の店舗ではクルーのサービスが少なくてマクドナルドブランドに
失望してしまうリスク」もなくなりました。
5月下旬と6月にメニューを書いた紙が変化各テーブルに当初は三つ折りのメニューが置いてありました。

このメニュー、2人で向かい合って座ると、置くところがなく
邪魔になると指摘していましたが、その後2度変わりました。
まず、5月下旬にはサイズが小さくなり、
三角にくっついた形になりました。

そして6月にはサイズは変わりませんが、
写真が大きく載ったレイアウトのメニューに変わりました。

2面を写すため、2つ並べて撮影しています。
どんどん改善されていきます。
これらの変化のスピードは、さすがにマクドナルドだと感じます。
変化の方向も効率性・収益性の観点ではプラスでしょう。
しかし、この変化の方向性は、新世代型デザイン店舗が
通常店舗と差別化して、とんがっていくのではなく、
通常店舗に似る方向への変化です。
出店前の計画時に、原田社長が以下のように話していた
コンセプトが実現しているのか疑問に思います。
「ブランド資産をさらに構築していくための新しいデザイン」
「お客様に今まで以上の素晴らしい店舗体験を
していただくための新しいデザイン」
現状の新世代デザイン店舗は、クルーの制服が変わり、
店舗デザインはカフェ風(席はわずかに広く)になっただけで、
価格が多少値上がりしたという印象です。
サービス面での変化は、ほとんど認識できません。
外見のデザインの変化だけで値上げが受け入れられるのか、
客数の増減に注目です。
新世代デザイン店舗は、店内の美しさを維持することが難しいインテリアです。
ソファや壁紙などの設備更新の費用を賄える収益を獲得しなければ、
新世代デザイン店舗は増えていかないでしょう。
現場ではメンテナンスがしにくく、効率を妨げるインテリアの
飾り要素は消え始め、店舗の“通常化”が進んでいます。
今は試行錯誤の段階にあると思われますが、
マクドナルドがどんな最適解を出すのか今後も目が離せません。