2010年をブランドで振り返る

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今年最後のブログ更新です。

今年、企業ブランドに劇的な変化は感じませんでしたが、
イメージを大きく変えたものとして4つ挙げます。

まず今年は小惑星探査機「はやぶさ」でしょう。

打ち上げから7年、地球に帰還するまでは、
あまり注目を集めていなかったように思います。

日本の宇宙開発に対する国民の視線も
厳しいものが少なくなかったように思います。

しかし、「はやぶさ」は幾度の困難を乗り越え、
火星ほど離れた小惑星から帰る世界初の快挙を成し遂げました。

大気圏に突入し、流れ星のように燃え尽きていく姿は、
使命を果たした人生のようであり、
カプセルを守り届ける愛の形のようでした。

技術、努力、情熱、愛情・・・、
さまざまな要素が日本中に大きな感動をもたらし、
宇宙開発への視線も変わったように思います。

次に、B級グルメについてです。

数年前から地域ブランド、まちおこしとして注目を
集めていましたが、今年一気に話題が広がったと思います。

B-1グランプリ初の首都圏開催が影響したのでしょうか。

他のグルメイベントも開催されました。
地域ならではの料理、買いやすい値段が人気の原因でしょう。

自分たちが持っているものが、他の土地の人には、
新しい、面白い、と思ってもらえるかもしれません。

自分たちが持つ良さを再探索させるキッカケになっています。

イベントそのもののはお祭りですが、競争は本格志向です。

企画・アイデアだけではダメで、
味や価格でも高いレベルが求められています。

三つ目は青森新幹線のCF(コマーシャルフィルム)です。

JR東日本に乗車されている方は、よく目にされている
と思いますが、「MY FIRST AOMIORI」キャンペーンのCFと
ポスターが秀逸でした。

ドラマ仕立ての連続ストーリーでできていますが、
青森の良さや、地元の人や駅員の気持ちに共感し、憧れます。

青森の人と公共交通の魅力を自然と伝えています。
大きくイメージアップに貢献したのではないでしょうか。

四つ目に表参道と赤坂のイルミネーションです。

昨年復活した表参道のイルミネーションは、
LED90万個とパワーアップして今年も登場しました。

街が明るいと人の気持ちも明るくなります。

環境保護の見地から異論もあるでしょうが、
都市らしい地域があっても良いと思います。

表参道のけやき並木の電飾は都市のシンボルでしょう。

表参道2010イルミ.jpg

下の写真はグランドプリンスホテル赤坂のクリスマスツリーです。
この点灯は今年が最後でした。これも街と時代の象徴でした。

赤プリクリスマスツリー.jpg

何かひとつの出来事、象徴が人の気持ちを大きく動かします。

地道な努力とともにブランドには大切なことです。

最後に、私が住んでいる近所にあった花月園競輪場が
今年の3月に閉鎖されました。

特段、競輪に思い入れがあるわけではないのですが、
ずっと近くにあったものがなくなる寂しさはあります。

この場所で競輪も60年開催されたそうです。

最後の開催時の写真と、閉鎖後の桜と一緒に撮影した写真を、
今年を振り返る最後に持ってきます。

一年間、当ブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。
よいお年を迎えくださいませ。

花月園競輪.jpg
花月園競輪場.jpg

2010年をデザインで振り返る(2)

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。
デザインで今年を振り返る昨日の続きです。

三つ目はBOPビジネス向けデザインです。

BOP(Base of the Economic Pyramid)とは、
一人当たり年間所得が3000ドル以下の世帯に属する人たちと
言われています。世界で40億人いらっしゃるようです。

今年は、BOP層の社会課題を解決するビジネスへの関心が高まりました。

企業の社会的責任や、日本国内市場の縮小を見越して、
企業の海外展開はどんどん進んでいくでしょう。

中間所得層向けの先にあるビジネスという見方もあります。

そんな中、5月、6月に開催された
世界を変えるデザイン展」は大きな反響を呼びました。

QDrum.jpg

社会問題一般に関心のある方が多く来場していました。

受け手のニーズを満たす「ものづくり設計」「ことづくり設計」
としてのデザインの役割に、デザイン分野に日頃から
関わっていない方から大きな期待が寄せられた年だと思います。

松下幸之助さんが話した「水道哲学」と
「これからはデザインの時代や」が結び付き、
商人の本分を再認識します。

四つ目は目に見えないものと家族愛への共感です。

NHKのドラマ「ゲゲゲの女房」と、
植村花菜さんの歌「トイレの神様」がヒットしました。

見えないものと家族愛への共感がニーズとして存在するから
デザインした、というわけではないでしょうが、
両作品とも作った人の感謝や感受性が表現されていました。

ドラマも歌も「私」は一見、不遇とも受け取れる環境にありながら、
妖怪や神様といった目に見えないものを説く
家族に支えられて暮らします。

日常の何気ない暮らしの中で、
見えないものをおもんぱかり、家族を愛することが、
支持されました。

それは、見る人、聴く人が、自身を振り返った時に
「良いとわかっていたけれども、あらためて良いと認識できた」
からなのかもしれません。

私も目先のこと、目に見えることだけを追いかけてしまう
時があります。あらためなくてはいけません。

人には、家族や知人、友人、地域や環境への感謝が
必要だと伝えてくれた作品でした。

次週は今年をブランドで振り返ります。

2010年をデザインで振り返る(1)

こんばんは。中小企業診断士の山口達也です。
デザインで今年を振り返ります。

話題は四つです。

一つ目は、グッドデザイン大賞を受賞したダイソンの「エアマルチプライアー」です。

エアマルチプライアー.jpg

一見して扇風機とは思えない、あっと驚く形状です。
しかし、奇をてらったデザインではありません。
機能性を追求した扇風機です。

ムラのないスムーズな風と機械の安定性や安全性で優れています。

扇風機は長い間大きな変化がなかった製品と言えるでしょう。

市場規模の観点や経営資源の集中によって、
製品開発への投入資源が小さくなっていたのでしょう。

しかし、ダイソンに技術とデザインの力を見せつけられました。

あらゆる製品に、技術とデザインでビジネスチャンスが
まだあることを再認識しました。

エアマルチプライアーはロングセラー商品になるでしょう。
ダイソンのブランド力も上がります。

ニつ目は、3D画像が話題になりました。

映画「アバター」が火付け役となり、
3Dテレビが発売されるようになりました。

今年の日経MJのヒット商品番付でも西大関になりました。

テレビ電話と結び付くと、人と会っているような感覚が
もうすぐ体験できるのかもしれません。

人の感覚に技術を近づけていく競争です。

残りの二つは明日書きます。お楽しみに。

東京ミッドタウンアワードデザインコンペ2010

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。

本日は東京ミッドタウンアワードのデザインコンペのレポートです。
デザインタッチの期間中、受賞作品が展示されていました。

東京ミッドタウンアワード201.jpg

今年のテーマは「On the Green」です。
過去2年のお土産から変わりました。

今年も1,354作品の応募があったそうです。
入賞作品を3つご紹介します。

私が一番気に入ったのが「dissue」です。
小山薫堂賞を受賞しました。

dissue.jpg

ご覧の通り、ティッシュと皿が組み合わさっています。

お皿がない時に、ティッシュをお皿の替わりにした経験の
ある方も多いと思います。その行為をデザインしています。

これなら堂々と食べ物を乗せられますし、
何かを拭くこともできますので便利ですね。
かさばらず、アウトドアにぴったりです。

準グランプリは「パラシュートカメラ」です。

空に向かって投げて、落下傘が落ちてくる時に、
みんなでカメラに写る楽しい情景が浮かびます。

パラシュートカメラ.jpg

グランプリは「Tokyo Green Dictionary」です。

ビニールシートに緑に関する情報が詰まっています。
百科事典のような感じでしょうか。

TokyoGreenDictionary.jpg

何気なく寝転がったところに自然に関する知識があります。
自然を感じながら、知識欲も満たせる一品ですね。
外装のケースデザインもおしゃれです。

今年も素晴らしい作品でした。来年にも期待したいです。

(過去の東京ミッドタウンアワードの記事)

2009年の東京ミッドタウンアワード
日本のおみやげデザインから学ぶ(1)
http://brand-design.seesaa.net/article/109831946.html
日本のおみやげデザインから学ぶ(2)
http://brand-design.seesaa.net/article/109881387.html

Tokyo Midtown Award 2008
http://brand-design.seesaa.net/article/109780180.html

デザインタッチ2010

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

遅くなってしまいましたが、
今日はデザインタッチ2010のレポートです。

デザインタッチ2010.jpg

10月28日から11月3日まで東京ミッドタウンで行われました。

時間が取れたのが唯一、台風が来た30日で、
外のイベントは中止になっていました。

室内で行われた「未来のつくりかた展」をじっくり見ました。
最新技術を用いた面白い展示がたくさんありました。

未来のつくりかた展.jpg

アルスエレクトロニカという文化機関が協力して
実現した展示だそうです。

今年のデザインタッチのテーマ「未来の手ざわり」に
合わせたのか、五感を使うものが多かったです。

電気・電子、機械の技術の進歩によって、
人の感じること、思うことを五感に伝わるように
形にしたり、表現できるようようになっています。

音楽や演劇も人の気持ちを表現するものですが、
技術進歩によって、機械を通じて芸術も含めた
表現ができるようになっている、そんな印象を受けました。

近年のロボットは、生き物らしいしぐさや
言葉を発するようになっていますが、

今回の展示は、あらかじめインプットさせておくのではなく、
人のその時の感情に、まるで脳神経や筋肉が反応するように
機械が動く姿を示した、そんな印象を持ちました。

アートを表現するためのデザインの可能性を見ました。

その他、ミッドタウン内のショップも特別な催しを行っていました。
来週はミッドタウンアワードの様子をご紹介しようと思います。
お楽しみに。

デザインタッチ過去の記事
デザインタッチ2009

http://brand-design.seesaa.net/article/134575405.html

デザインタッチ2008
http://brand-design.seesaa.net/article/109647965.html