今日は書籍の紹介です。
「ブランド優位の戦略」
ダイヤモンド社、著者はデービッド・A. アーカー教授です。

第1章では前著「ブランド・エクイティ戦略」の内容を概観し、
新しい研究を加えています。
そのうえで本書は、ブランド・アイデンティティ(BI)
という概念を提示しています。
前著が、ブランドとは何か、ブランドが有用なのはなぜか、
を解説したのと比べ、本書はブランド構築のポイントに
重点が置かれているでしょう。
ブランド・アイデンティティとは、簡単に言うと、
ブランドが何を表しているかを示し、
組織が顧客に与える約束を意味します。
ブランド・イメージと異なり、ブランドをどう思われたいか
というブランド戦略策定者の意思を含んでいます。
ブランディングで、製品属性や機能的便益だけにとらわれると、
強いブランドができにくくなることを指摘しています。
ブランディングを進めるにあたって、情緒的便益や
自己表現的便益、ブランド・パーソナリティといった
人間的、感情的側面にも目を向ける重要性を説いています。
ブランド・パーソナリティは、
ブランドから連想される人間的特性の集合です。
例えばブランドに、若くて男性的なイメージや、
寄り添うようなやさしいイメージがついているということです。
ブランド・パーソナリティによって、ブランドの購入者は、
なりたい(そのように見られたい)自分になれたり、
消費によって得られる感情がより豊かになったりするわけです。
よいブランド・パーソナリティが形成されると、
真似されにくく持続的な競争優位が生まれます。
優良なロイヤルティの高い顧客を持つことができます。
価格が高めの専門書ですが、消費財を扱っていて、
機能面での差別化が難しくて価格競争に陥っていると
お考えの企業は手に取ってほしい一冊です。
経営戦略のヒントになると思います。
また、後半ではブランドの長期戦略や、
ブランド構築のための組織づくりにも言及しています。