2012年をブランドで振り返る

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今年のブランドに関する話題を4つ取り上げます。

ひとつ目は、日本ブランドのステータスと商品力です。

今年は、オバマ大統領が再選しましたが、
フランス、ギリシャ、日本、韓国で政権が代わり、
中国でも指導者が代わりました。

経済、財政、為替、竹島や尖閣諸島をめぐる問題も、
これらの政権交代の影響を大きく受けました。

尖閣諸島をめぐる中国での破壊・略奪行為は、たいへん遺憾でした。
日本企業の店舗や工場、日本車などが破壊されました。

日本車の売上も一時期半減してしまいました。

自動車は人の目につくものだけに、ステータスを表す要素が
ありますが、これが裏目になってしまった印象があります。

一方で、哺乳瓶など育児用品を扱うピジョンは、
反日機運の高まりの影響は軽微であると会社は説明しています。

ユニチャームも不買運動はないそうです。

これらの商品は、高品質が評価されていることに加えて、
外から目につかないものであることも
影響を小さくした要因と思われます。

イメージは購買への意思決定に対する影響が大きく、
追い風でも向かい風でも強いものです。

イメージ戦略の実行は大切ですが、基礎となる
商品力をしっかり充実させていくことがやはり大切です。


二点目は、中小企業のブランドも、
好むと好まざるとにかかわらず、日本ブランドを背負っていることです。

企業は政治とは別にそれぞれ意思決定をして活動しています。

しかし、その企業活動は外国人から見た日本という国家への
イメージの影響を受けます。決して無関係ではいられません。

国家ほど影響は大きくありませんが、他の日本企業の活動も
自社に影響を与えます。

日本が高品質な商品・サービスのイメージを獲得しているのは、
日本企業の努力の積み重ねのおかげでもあります。

中国でたくましく事業を続ける企業を見ながら、
あらためてそのようなことを感じた年になりました。

海外展開をする日本の中小企業は、日本や日本企業の良い
イメージを活かしつつ、自分たちが日本を、日本ブランドを、
背負っていることも認識した方がよいでしょう。

良いビジネスを積み重ねていきたいものです。


三点目として、今年の印象深い言葉として
「われわれは本業で負け組になっていると言わざるを得ない」
というパナソニックの津賀一宏社長の発言がありました。

他の日本企業が勝ち組なら、まだよいのですが、
日本ブランド全体を考えると、デジタル家電メーカーの状況は深刻です。

発言への賛否もさまざまありましたが、
これからの巻き返しに期待するしかありません。


最後は、金子哲雄さんが亡くなってしまったことです。

流通ジャーナリストの肩書きで活動されていましたが、
金子さんも中小企業診断士でした。

ご病気だとも思わず、たまたま今年の企業診断5月号の特集
「セルフブランディングが診断士を変える!」で、
私は金子哲雄さんの名前を挙げて、セルフブランディングを
を解説していました。

最前線で活躍され、これからの活動も楽しみでした。
若くして亡くなられた事は本当に残念でなりません。

最後の著書「僕の死に方」も読みました。
最後の最後まで人を喜ばせようとする気持ちが
にじみ出ている一冊です。

僕の死に方.jpg

残された者として、生かされている者として、
日本経済、世界経済、人々の暮らしのために、
頑張らなくてはならないと思いました。

本年も当ブログをご覧いただき誠にありがとうございました。
明年もよろしくお願いいたします。

2012年をデザインで振り返る

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。
デザインで2012年を振り返ります。

話題は3つです。

ひとつ目はホンダの「N BOX(エヌボックス)」と
N BOX+(エヌボックスプラス)」です。

「N BOX」は昨年12月に発売開始されたのですが、
ホンダのクルマづくりの原点でもある
「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」を具現化した
デザインで、軽自動車でここまで広いのかと驚かされました。

「マン・マキシマム/メカ・ミニマム」は、
人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小にという
ホンダのクルマづくりの基本思想です。

軽自動車のカテゴリーでギリギリまで
普通の自動車に近づけた感じです。

ファミリー層に人気で、今年4月から軽自動車販売台数の首位です。

使い勝手にとことんこだわった商品企画が
燃料タンクの位置や衝突安全性の向上など技術面の進歩を
促した商品です。とても日本らしいデザインです。

使い勝手にこだわるデザインから技術開発への流れは
中小企業にとっても参考にすべき流れだと思います。

ふたつ目は「JINS PC」です。

パソコンなどから発せられるブルーライトをカットする
いままでのメガネの視力矯正という役割を超えた商品です。

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jinspc.jpg

画面を見る時間が増えた現代のニーズをとらえた商品です。

グーグルがメガネ型コンピュータを開発しているニュースが
今年ありましたが、眼が果たしている役割を考えると
新しいメガネデザインの可能性はまだありそうです。

最後は「LINE(ライン)」です。
スマートフォン向けの無料通話、無料メールアプリです。

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LINEはコミュニケーションツールですが、
オールアバウトの記事が分かりやすく伝えていると思います。
http://allabout.co.jp/gm/gc/397679/

無料という価格面での強みもあるのですが、
スタンプというイラストや、インターフェイスのデザイン、
使い勝手の良さなど総合的なデザインの強さが
このサービスの魅力でしょう。

ただ、アドレス帳のデータに関するセキュリティ面の問題は
かなり気になります。他者の重要な個人データですからね。

海外でも使われだしているそうですが、
セキュリティについて十分に理解されている方以外には
アドレス帳を送信させない仕組みが良いと思います。

そのあたりまで利用者への配慮が考えられていると
もっと素晴らしいデザインになりますね。

以上、今年のデザイン3点をご紹介しました。
デザインのヒントにしていただければ幸いです。

「森と湖の国フィンランド・デザイン」展

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。
今日は展覧会「森と湖の国フィンランド・デザイン」についてです。
サントリー美術館で開催しています。

フィンランドデザイン.jpg

サントリー美術館は日本美術の展示が多い印象がありますが、
本展覧会はフィンランドのガラス工芸が中心の展示です。

展示作品は純粋な芸術性だけでなく、機能性もあるデザインです。

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「アールトの花瓶」なんて素敵です。

どんなものか気になる方のために、
センプレのwebページですがご紹介します。
http://www.sempre.jp/item/342003/

大量生産できる、大衆とともにある芸術です。

写真撮影が許されているポイントがいくつかありました。
デザイナーの新作を中心に撮影できました。

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木型の展示もあり、歴史も認識できます。

フィンランドデザイン木型.jpg

光と形、素材がもたらすデザインの果てしない可能性を
感じさせる展示会です。

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ビジネス、デザイン、ブランド、芸術、風土、歴史、
どの視点で見ても楽しめる展覧会です。

鑑賞後は清々しい気持ちになれます。1月20日までの会期です。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2012(2)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

昨日に続き、GOOD DESIGN EXHIBITION 2012のレポートです。
中小企業に焦点を当ててご紹介します。

株式会社キクイシザースの理美容はさみです。

セラミックシリーズ.jpg

写真では見にくいのですが、
手前の刃がジルコニア(セラミックス)です。白色をしています。
奥の刃は鍛造鋼です。銀色をしています。

セラミックスはよく切れるのですが、
セラミックス同士を合わせると刃がダメになってしまうそうで、
鋼と組み合わせたはさみができあがったそうです。

プロ向けの道具らしい美しさがあり、
よく切れるだけでなく、耐久性も優れているそうです。

職人の技術がもたらすデザインです。

次は、株式会社飛鳥公房の「DONGURI」です。
木のおもちゃです。下の動画をご覧ください。



これも動画では、その良さが半分くらいしか
伝わらないのですが、実際に触って遊ぶと、木の肌触りや
カタコトゆっくり落ちていく音のとりこになってしまいます。

webサイトを見たら、かなりの人気で
注文から1~2か月待ちのようです。

ぬくもりや癒しも感じられる見事なおもちゃです。
手にとって遊ぶ来場者が多かったです。

奈良ブランド開発支援事業は、優れた支援メニューで
パネルだけの展示でしたが、とても興味深かったです。

従来の自治体のブランド支援には、
産地の企業をまるごと支援するものや、
「○○ブランド」として認定してマークをつけるものが多く見られます。

私は有効であると思いますが、その限界も感じていました。

奈良ブランド開発支援は、個々の企業のブランド創出を通じて
奈良ブランドを作り上げていくスタンスで、

・使い手と作り手の双方が愛着を感じる、ロングセラーを目指す製品
・消費者の生活を豊かにし、時代の感性にマッチした製品
といった条件を満たそうとするブランドづくりを支援しています。

個々の想いがやはり重要だと思っていますので、
このような考え方はとても良いですね。

事業を企画したコンセプターだけでなく、
ブランディングアドバイザーも優れているのでしょう。
成果も出ているように思います。

そのひとつが、坪岡林業の「聖山」で吉野杉を使った折敷も
グッドデザイン賞を受賞していました。
形の美しさだけでなく、使い勝手や肌触りも良さそうな一品です。

聖山.jpg

中小企業からは離れますが、
他にスマートフォン向けアプリ「LINE」や、
触覚表現の技術研究なども受賞していました。

デザインの領域は広がっており、受賞デザインからは
日本の技術や文化の一面を再認識できます。

グッドデザイン大賞への投票を来場者がする試みも面白かったです。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2012

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日はGOOD DESIGN EXHIBITION 2012のレポートです。
11月23日から25日にかけて東京ビッグサイトで開催されました。

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昨年まで8月に開催されていたグッドデザインエキスポが
リニューアルされたイベントです。

昨年まではグッドデザインの2次審査後に
2次審査のデザインを展示したイベントでしたが、
今年はグッドデザイン賞を受賞したデザインを展示しています。

そのため展示規模・会場は小さくなりましたが、
それでもまともに全部見ようとすると丸一日かかります。
今年も多くの方が来場されていました。

素晴らしいデザインがたくさんありましたが、
私の目に留まったものをいくつかご紹介します。

最も驚いたのはナイキのFuelBandです。
日常のあらゆる運動量を測定できる電子ブレスレットです。

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加速度センサーが運動量を本当にどこまで測定できるのか
わかりませんが、歩数やカロリーなどを把握できるようです。

これで本当に高い精度で測定できるなら、
ファッション、形態、重量のデザインはとても優れていて、
生活シーンのデザインが見事にできた製品です。

時計にもなりますし、USBでつないでデータ管理もできるようです。

日本での販売はこれからのようですが、ヒットの予感がします。

次の驚きはYKKのエクセラカーブです。

エクセラカーブ.jpg

百聞は一見しに如かずで、写真で説明は十分だと思います。

日本らしい高度な技術がデザインを支えています。
洋服やバッグのほか、さまざまな利用が見込めそうです。

面白いディスプレイが目を引いたのはトヨタです。

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ポルテとスペイドの展示なのですが、2台の車の間に
鏡を格子状に置いてあり、どの位置から鏡を見ても縞模様の車を
楽しめるディスプレイで、来場者の関心を集めていました。

まだまだたくさんご紹介したいデザインがあります。
続きは明日です。