おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
書籍のご紹介です。
「ブランド・リーダーシップ」
ダイヤモンド社、デービッド・A・アーカーさんと
エーリッヒ ヨアヒムスターラーさんの共著です。

同書は次のような問題意識から生まれたと捉えています。
ひとつのブランドが、複数の製品や市場を
対象としていることは少なくありません。
複数の国でブランドを展開する場合もあります。
また、複数のブランドを持っている企業も多いでしょう。
その状況で製品や市場、ブランド、国といった単位でそれぞれに、
バラバラに事業活動を行うと、全体として
ブランド・エクイティが損なわれる恐れがあります。
同書は長期的なブランド価値の向上のために、
それぞれの事業活動をどこまで調整・統合すべきか
という観点で書かれています。
全体をまとめるリーダシップが必要ということです。
しかし、ここまでこのように管理すべきだという解が
書いてあるわけではありません。
置かれた状況によって、解は異なりますので、
さまざまな事例や方法論を挙げています。
アーカー教授のブランド3部作の完結編とされる同書は、
中小企業よりも大企業をイメージしたブランド論です。
しかし、中小企業でも応用が効く内容はあります。
例えば、広告以外のブランド構築手法として、
スポンサー活動やwebについても述べた章は
参考になると思います。
私が考える3部作の前2作の特徴を簡単にまとめます。
3部作のどれから読もうかと迷われた方は参考にしてください。
「
ブランド・エクイティ戦略」
ブランドが企業に価値をもたらすことを解説している。
ブランドエクイティを説明している。
どのようにブランドイメージを創るか。
名前やシンボルマークとブランドとの関わりを述べている。
「
ブランド優位の戦略」
ブランド・イメージはすでに顧客に持たれているものだが、
ブランド・アイデンティティは、そのブランドがどうありたいか
という長期的な信念であり、その点を解説している。
情緒的便益や自己表現的便益ついて解説している。
企業組織とブランドの関係について解説している。
なお、複数のブランド間の関係をどうするかは、
「ブランド・リーダーシップ」にも記述がありますが、
その後に出版された「ブランド・ポートフォリオ戦略」の方が
記述は充実していると思います。