2013年をブランドで振り返る

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今年の話題は2つです。

ひとつ目は食品偽装の問題です。

今年もホテルなどでの食事メニューに
誤表記、偽装表示があった問題が大きく取り上げられました。

あらためて論評するまでもなく、許しがたいことです。

私が気になったのは、優良ブランドとして名前が挙がる
東京ディズニーリゾート内のレストランや、
ザ・リッツ・カールトン大阪、ホテルオークラでも
この問題が発生したということです。

誰がどう判断して、偽装表示に至ったのか、
止めようとする者がいなかったのか、
それぞれのケースで異なるとは思いますが、

経営者としては、ブランドを守っていくことの
難しさをを考えなければなりません。

経営陣が自ら偽装を指示したのなら論外ですが、
従業員の誰かが間違った利益追求で行うこともありえます。

ブランドをつくり、守るには、
ブランドアイデンティティ(理念)をつくり、
日頃からスタッフ全員に徹底して浸透させなくてはなりません。

これらの企業では、偽装の発覚によって
お客様の信頼を失ったことでしょう。

それだけではありません。
これらの企業は気付いていなかったのでしょうが、
偽装が発覚する前から、実は大きなものを失っていたのです。

スタッフが仕事に対する誇りを失い、
サービス意欲の低下、会社への帰属意識の低下を招きました。
長年にわたって企業の力を大きく劣化させていたのです。

サービス業にとって、特に重要な従業員満足を
下げてしまったのです。

数字に夢中になりすぎて、一番大切なもののマネジメントが
おろそかになってしまったのでしょうか。

もう一度書きますが、これはブランド構築が
よくできているとされる企業で起こったことです。

徹底したブランドアイデンティティの浸透が
重要であることにあらためて気付かされる年となりました。


もうひとつの話題は、雑誌「広告批評」を創刊した
天野祐吉さんが10月20日に亡くなったことです。

天野さんは私が大好きな批評家、コラムニストでした。

学生時代は朝日新聞の連載コラム「CM天気図」を
毎週読んでいました。

亡くなる直前まで書き続け、
29年も続いた人気連載コラムだったそうです。

朝日新聞デジタルには、山田佳奈さんが、
以下のように書かれています。的確に表現されていると思います。

「軽妙洒脱(しゃだつ)な中にも、
さらりと核心をつくトゲをしのばす語りが特徴だった。」
http://www.asahi.com/articles/TKY201310200289.html

決して、居丈高ではなく、
広告や権力者、マスコミに“こんな考え方はどうだろうか”と
投げかけ続けていました。

粋で人間臭くて、教養がありました。
でも説教臭くない、魅力あふれる方でした。

NHKの追悼番組
「天野祐吉さん 時代に野次(やじ)を飛ばし続けて」
も拝見しました。

天野さんの生い立ちや人生観の源流をたどる場面もありました。

若い時に、わかりやすく短い言葉で野次を飛ばす人を見て、
ご自身も「野次リスト」になろうと思ったそうです。

多面的に見る、人間的に見る、そしてやさしい言葉で伝えていく、
どんどん流されて進んでいきがちな私達に、
常に立ち止まって物事を考えさせてくれました。

希望や愛情、深い洞察なしには書けない批評ばかりでした。

当ブログでもコラムを一部引用させていただいたことがありました。
http://brand-design.seesaa.net/article/126353097.html

天野さんの最後の著書「成長から成熟へ さよなら経済大国
(集英社新書)も読みました。
http://www.amazon.co.jp/dp/4087207137

成長から成熟へ.jpg

私の好きな映画、チャップリンの「モダンタイムス」の
ワンシーンと思われる写真も載っています。

モダンタイムス.jpg

同書の「おわりに」には、こう書いてあります。

日本は一位とか二位とかを争う野暮な国じゃなくていい。
「別品」の国でありたいと思うのです。

天野さん自身が別品の生き方を体現されていらっしゃったように思います。

経営コンサルタントとして、耳の痛いこともありましたが、
もうお叱りを受けられないことを悲しんでいるのは
私だけではないでしょう。

12月20日には朝日新聞出版から
天野祐吉のCM天気図 傑作選―経済大国から「別品」の国へ
も発売されたようです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4022511540

CM天気図も読み直して、胸に刻み、
いい社会を作れるようバトンを受け継いでいきます。

企業は何のためにあるのか、うちのブランドは何のためにあるのか、
自問自答するのに生活者や文化の視点は大切です。

広告を見つめ続けた天野さんの言葉は、格好の教科書になります。


読者の皆様に支えられて、今年一年も執筆を続けられました。
ありがとうございました。
来年もお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

2013年をデザインで振り返る

こんばんは。中小企業診断士の山口達也です。
デザインで2013年を振り返ります。

話題はグーグルマップと3Dプリンターの2つです。

グーグルマップが、
グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)とならず、
グローバルデザイン2013(日本デザイン振興会会長賞)に
なりました。

審査員や来場者投票で最も評価を受けたのですが、
政府が内閣総理大臣賞の授与を拒否をしたため、
該当なしとなり、急きょ新設した賞が授与されました。

政府が拒否した理由は明らかになっていませんが、
グーグルマップの利便性や見やすさ、
操作性は優れていると私は思います。

日本全体に与えた影響度も
他のデザインより大きいでしょう。

グーグルマップは従来からありましたが、
スマートフォン(スマホ)向けの
モバイルアプリが今年の受賞対象です。

スマホアプリは、端末の大きさや文字入力などで
制約がある一方、通信やセンサー技術などの
活用可能性は高く、デザイン性が特に求められます。

今後もプロダクトデザイン、グラフィックデザイン、
webデザイン、ライフスタイルデザインなどが融合された
新たなデザインが生まれていくでしょう。

3Dプリンターも今年は話題になりました。

3Dプリンターそのものは以前からあったのですが、
価格が数万円のものが発売されるなど
かなり安くなり、身近になってきました。

ただ、3Dプリンターに入力するデータを作るのが難しく、
一般の生活者が使いこなすところまでは
まだなっていないと思います。

しかし、小ロットのものづくりや、
モックアップ制作に利用しやすくなりました。

今年の話題となったデータサイエンティストと同様、
設計エンジニアの需要も近い将来高まると考えます。

来年はどんなデザインが出てくるでしょうか。
楽しみですね。

講演「自分で作るチラシデザインのイロハ」

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は講演のご案内です。

テーマ:「自分で作るチラシデザインのイロハ」
サブタイトル デザインを活用した販促戦略

日時:平成26年1月29日(水)午後7時~午後9時
場所:小田原市民会館 5階第1会議室
主催:おだわら街なか起業家支援センタ-
受講料:無料

お客様を集めたい。
でもお金はあまりかけられない…。
そんな起業家のためのチラシ講座です。

デザインの基本原則(文字・色・レイアウト)や
チラシづくりのポイントをマスターして、
デザイナーに依頼せずに自分で売れるチラシを作りましょう!

新商品・サービスを開発した企業にもお勧めです。

チラシはスピーディーに頻繁に制作するものなので、
その都度、外部のデザイナーに頼むのは大変です。

デザイナーや印刷会社に頼むとしても、
原稿やデザインの大まかな構想は、
経営者が考えた方がよいでしょう。

良いデザインを学んでおくことで、
印刷会社やデザイナーが作ったものを
適切に評価することもできます。

お申し込みは、おだわら街なか起業家支援センターまで。
電話:0465-23-6660

チラシのPDFファイルです。
起業家応援セミナーチラシ.pdf

目次(0401~0420)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は目次をお届けします。

2013年7月26日~2013年12月6日分
記事ナンバーとタイトル

420 目次(0401~0420)

419 G展2013(2)
418 G展2013(1)
417 東京デザイナーズウィーク2013
416 特許庁のデザイン・意匠専門家派遣
415 国立と私立の初の共同展覧会「モネ、風景をみる眼」
414 ビジネスマンのための「行動観察」入門
413 ブランド拡張するスターバックス
412 CasaBRUTUSの特集がルーブルランスを取り上げる
411 進化するランチパックデザイン
410 歩く時間が楽しい蔦屋書店
409 講演「アベノミクス時代の経営の新常識!物価高に備える手法はこれだ!」

402、403、404、407、408はパリに関する記事、405、406は展覧会のレポートです。

408 プランタン・パリはデザインヒントの見本市
407 集まってビジネスチャンスを生み出そう
406 21_21DESIGN SIGHT カラーハンティング展
405 LOVE展 アートにみる愛のかたち
404 マルシェの陳列に学ぶ
403 フランスの菓子店のディスプレイに学ぶ
402 装飾芸術美術館

401 榮九庵憲司とGKの世界 鳳が翔く

400 目次(0001~0400)

前回の目次(0001~0400)に、当ブログの全記事のリンクを追記しました。
タイトルから読みたい記事を探せます。

今後ともよろしくお願いいたします。