GOOD DESIGN EXHIBITION 2014(4)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
GOOD DESIGN EXHIBITION 2014
(グッドデザイン賞受賞展)のレポート最終回です。

JR東日本アプリ」も受賞しました。

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これはかなりの優れもので、私もよく使っています。

電車の運行情報が見られるのですが、
京浜東北線のリアルタイム列車位置情報と、
山手線トレインネットを初めて見たときは驚きました。

山手線トレインネットは、リアルタイムで
山手線内で走行している電車の位置がわかり、
それぞれの車両の混雑度合いもわかります。

前の方の車両が空いていることや、
真ん中の車両が混んでいる、といったこともわかります。

どうやって情報を集めているのか、
いつも不思議に思っています。

混雑した電車を避けることができて快適です。
私みたいな人が増えると満員電車も減るでしょう。

グラフィックスもよくできていて、
情報がわかりやすいです。

アプリが無料であることも嬉しいです。

次にご紹介するのは「rinkak」(りんかく)です。

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3Dプリンターのデータがあれば製造できるサービスです。

出力を受託するサービスは他にもあるのですが、
扱っている素材が多いです。

フルカラー石膏、ナイロン、ABS、アクリル、ステンレス、
銅、銀、金、プラチナ、チタン、陶器が可能です。

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驚きました。3Dプリンターも進化しているようです。

3Dデータを送って、見積もりをもらって製造するのですが、
その先にマーケットプレイスに出品・販売もできます。

単品もしくは少数しか作らないデザイナーやアーティスト、
クリエイターにはチャンスが広がりますね。

東南アジア諸国へのグッドデザインの浸透や連携も
進んでいます。

メコンデザインセレクションという新しい取り組みもありました。

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カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナムの21社の
グッドデザイン賞を受賞した製品が展示されていました。
バッグや衣類などが多かったです。

単に表彰して展示するだけでなく、これらの製品・技術・素材に、
さらに日本のデザイナーからのブランディング提案や用途提案を
募り、優れた事業に発展させる取り組みです。

どんな事業になるのか楽しみです。

また、タイのデザインエクセレンスアワードの展示も
行われていました。

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こちらは数年前から行われています。
同じ東南アジアでも、タイの工業・技術レベルは高いです。
家具や台所、自転車などの展示が目立ちました。

やはりタイの文化・風土がデザインから感じられ、
こちらも楽しめました。

お互いの国でデザインプロモーションが進むと
文化・産業面でのメリットがありますね。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2014(3)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日もGOOD DESIGN EXHIBITION 2014
(グッドデザイン賞受賞展)のレポートです。

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私が気にいったデザインをご紹介していきます。

パナソニックの「電池がどれでもライト」です。

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単1電池から単4電池のどれかひとつを入れるだけで
懐中電灯として使えます。

他の種類の電池はあるのに、
必要な型の電池がないことはよくあるので、
非常時などへの対応力を考えるとよいですね。

写真のモデルは仕組みがわかりやすくするために、
電池の内臓部が透明になっていますが、
実際は写真右のように白く覆われています。

ランタンとしても使用でき、
手ごろな大きさに収まっていて扱いやすいです。

次はソニーのレンズスタイルカメラです。

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スマートフォンと一緒に使うデジタルカメラです。

スマートフォン自体のカメラ機能も進化していますが、
暗い所での撮影やズームなどは、
本格的なカメラと性能に差があるようです。

このレンズスタイルカメラは、
スマートフォンに取り付けて撮影することもできますし、
スマートフォンと離して、
スマートフォンをリモコンのようにして撮影することもできます。

撮影画像はスマートフォンで確認できます。

レンズスタイルカメラは、
本格デジカメのモニター液晶部がないものと
考えた方がわかりやすいかもしれません。

本格的なカメラでの撮影画像を、
ネットにすぐにアップできるのも
スマートフォンと連動した良さですね。

カメラのサイズも4タイプあります。
スマートフォンなしでも撮影できるようです。

カメラが趣味で、すぐに外出先からアップしたい人には
魅力的な商品でしょう。

今までにない楽しみ方の可能性を感じさせます。

タブレット端末とこのカメラがあると、
いわば本格的なデジカメとパソコンが一体化するわけで、
私が思いつかない新しい楽しみ方を
ユーザーが見つけるような気がします。

次回のレポートが最終回です。

タートルタクシーのイノベーション_GOOD DESIGN EXHIBITION 2014(2)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
グッドデザイン賞受賞展のレポート続編です。

今日は三和交通の「タートルタクシー」に
焦点を当ててご紹介します。
グッドデザイン・未来づくりデザイン賞を受賞しました。

先週ご紹介した「東北食べる通信」と並んで、
私が強く感動したデザインでした。

タートルタクシーは、助手席裏にあるボタンを押すと
いつもよりゆっくり快適な運転を提供するサービスです。

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お年寄りや妊婦など、ゆっくりでもいいから安全で
快適に移動したい方々から喜ばれているようです。

電話での予約本数が13%増加しています。

動画をご覧になると、とてもわかりやすいです。
前半の2分40秒の紹介動画だけでもよいです。
動画の質もとても高いです。



タクシー運転手は、乗客から
「急いで」と言われることが多く、
日頃は急いで運転しようと思いがちだそうです。

一方、利用者に調査をしたところ、76%の人が
「ゆっくり運転してほしいと思ったことがある」
と回答しました。

しかし今まで、乗客は「急いでいない」ことを
運転手に伝えることはありませんでした。

タートルタクシーの助手席裏にあるボタンを押す行為は、
今まで潜在的だった「急いでいない」思いを
伝えることを簡単にして、
顧客満足を上げることができるようになりました。


ボタンが押されるとフロントガラスに
「ゆっくり走行中」と表記されたパネルが掲示され、
車外からでもゆっくり走行中であることが伝えられます。

ゆっくり走ると燃費が良くなり、コスト削減になります。
環境にもやさしいです。

さらにタクシーは時間でも料金をもらえるので、
増収にもなりやすいです。

タートルタクシーは従来の視点から脱却し、
顧客の潜在ニーズをつかまえ、
新しい価値を提供しています。

アイデア、リサーチ、ビジョン、ネーミング、
ビジネスの実行、運用、収益改善、環境、
説明動画の質、いずれも素晴らしいです。

素晴らしいイノベーションに、芸術的な美しさを感じました。
世界に広がってほしいです。

次週もGOOD DESIGN EXHIBITION 2014のレポートは続きます。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2014(1)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日はGOOD DESIGN EXHIBITION 2014
(グッドデザイン賞受賞展)のレポートです。

今年も10月31日から11月4日まで
東京ミッドタウンで開催されました。

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素晴らしいデザインをご紹介します。

今年のグッドデザイン大賞は、デンソーウェーブの
「医療医薬用ロボットVS050 SⅡ」です。

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クリーンルームなど滅菌環境下での作業を想定した
産業用垂直多関節ロボットです。

滅菌洗浄に耐性があり洗浄が行いやすいロボットです。
関節部断面を正円にして、段差や隙間を消し去っているそうです。

展示会場では、ロボットを実際に動かしており、
多くの人の目をひきつけていました。

デザイン・クリエイティブ情報「JDN」は、
デンソーウェーブの担当者がプレゼンで、
「(クリーンルームという特殊な場所で使うため)
皆さんがこの実物をご覧になるのはこれが最初で最後かもしれません」
と話した、と報じています。

意外と貴重な機会だったみたいで、
それならもっとじっくり見ればよかったと思いました。

このロボットとグッドデザイン大賞を僅差で争ったのが、
NPO法人東北開墾の「東北食べる通信」です。

「東北食べる通信」は、東北の熱心な農家や漁師を
取材した月刊の情報誌です。

タブロイド誌と一緒に、彼らが収穫した食べ物が会員宅に毎月届きます。
会費は月1,980円です。

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写真の左上にはホタテ貝が写っています。

会員はFacebookページで、
届いた食べ物を使った料理を見せ合ったり、
生産者と直接コメントを交わしたり、
SNSを通じた交流も楽しめます。

また、追加で食べ物を注文することもできます。

生産者と消費者をつなぎ、交流する仕掛けが素晴らしいですし、
生産者を発掘し、取材する編集者の努力や、
落とし込まれた紙面も素晴らしいです。

東北から他の地方に広がっていくようです。
私は今年のグッドデザイン賞で一番嬉しくなったデザインです。

毎月、産地直送で届いて、
作り手の思いを知ることができるなんて素敵ですよね。

生産者も消費者に声を届けられる機会は望んでいると思います。

似たような仕組みはこれまでもあったかもしれませんが、
このタブロイド誌のデザイン、取材力が
大きな付加価値になっています。

次ももグッドデザイン金賞を受賞した
ヤマハ発動機の電動アシスト車いす 「JWスウィング」です。

電動アシスト自転車の実績があるヤマハが作った
単なるアシスト機能つきより進化した製品です。

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付属の専用ソフトで使用者の身体状況や使用環境に合わせて
最適なアシスト力を設定できるほか、
2種類のパラメーターを記憶させてボタンひとつで切り替えられます。

異なる左右の腕力に合わせて設定ができることや、
上り坂やでこぼこ道にあわせて、
ボタンひとつでアシスト力を高められるのはよいですね。

アシスト駆動、バッテリー付きなのに、
折り畳むことができ、軽量化を図っていることも素晴らしいです。

他にもご紹介したいデザインがありました。次回に。