2014年をブランドで振り返る(2)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
ブランドで2014年を振り返る続編です。

話題の3つ目は「値上げと向き合う」年でした。

消費者物価指数は昨年から上昇しはじめ、
4月には消費税率が8%に引き上げられました。

値上げについて、久しぶりに考えた中小企業も
少なくなかったと思います。

価格の安さで支持されているブランドも変わってきています。

ユニクロやニトリ、吉野家も価格帯を引き上げました。

足下では原油安になっているものの、円安は続いています。
来年も値上げを検討する状況が続くかもしれません。

価格戦略がブランドに与える影響は大きく、
企業の損益に与える影響も大きいので、
慎重な判断が求めらます。

4つ目はスコットランドです。

スコットランドの独立を問う国民投票、
NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」でのスコッチウイスキー、
は話題となりました。

当ブログで伊勢丹のショッピングバッグを取り上げます。

昨年秋に伊勢丹がショッピングバッグを一新したことが
話題となりました。

伊勢丹ニュースリリース
http://pdf.irpocket.com/C3099/YWWN/W2Ib/gz0g.pdf

伊勢丹バッグ.jpg

長年親しまれていたタータンチェックの柄を変えたのですが、
良い評価が多いようです。

グッドデザイン賞の応募に際して、
伊勢丹がコメントしている内容や審査委員の評価は、
ブランド・デザインのリニューアルの参考になります。
http://www.g-mark.org/award/describe/41719

今年はイセタンメンズでもリニューアルしました。
http://pdf.irpocket.com/C3099/XN1V/luTq/fssP.pdf

さて、最後にご挨拶を。

今年の私の年明けは、
高倉健さんの映画「八甲田山」を見て始まりました。

当ブログにも新年早々にそのことを書きました。
高倉健さんが亡くなってしまったのは寂しいです。

南極物語、鉄道員もそうでしたが、
厳しい寒さの中で「思い」を感じさせる役が多かった気がします。

私も見習って来年も頑張ります。
今年一年、当ブログにお付き合いいただきありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

2014年をブランドで振り返る(1)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
ブランドで2014年を振り返ります。

話題は4つです。今日は前半編の2つです。

1つ目は、ホンダの「スーパーカブ」が
立体商標として認められたことです。

商標登録5674666号です。
スーパーカブの立体商標見本の画像です。
スーパーカブ立体商標.jpg

意匠権と異なり、商標権は更新し続けれられます。
立体商標のブランド、デザイン面での利点は大きいです。

ホンダのニュースリリースによると、
乗り物自体の形状が立体商標登録されるのは
日本で初めてだそうです。

一貫したデザインコンセプトを守り続けた結果です。

立体商標ではカーネルサンダース人形、ペコちゃん、
コカ・コーラやヤクルトの容器などの事例が有名ですが、
商品そのものが登録されることは少ないです。

ブランドを守る道筋がひとつ切り開かれました。

2つ目はベネッセの個人情報漏えいです。

情報漏えいがブランドに与える影響は厳しくなっています。
中小企業も大企業の話だと考えてはいけません。

確かに大企業と違いマスコミは大きく報道しないでしょう。
しかし、既存顧客を大きく失う危険性は中小企業も同じです。

情報漏えいの原因は、紛失などの管理ミスが多いので、
予防策はできるだけ講じましょう。

簡単に学べる資料として、IPA(情報処理推進機構)の
情報漏えい対策のしおりをご紹介します。

このしおりの内容を実行するのも大変だと思います。

しかし、ベネッセの件では、
企業側に被害者意識があるかのような話しぶりに、
厳しい意見が目立ちました。

誰かの犯罪行為が原因で漏えいしても、
企業のとってきた管理に不備があれば、
世間の目は厳しい時代に変わったことを象徴する一件でした。

後半編の2件は明日に。

2014年をデザインで振り返る

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
全国的に冬の嵐です。
横浜も寒いですが、大雪の地域よりは恵まれています。

デザインで2014年を振り返ります。
今年はロボットを取り上げます。

サイバーダインというベンチャー企業があります。

ロボットスーツ「HAL」を開発、レンタルしています。
今年3月26日に東証マザーズに上場しました。

身体の不自由な方や大きな力を出すことを
助けてくれるロボットです。

医療や介護など現場で使われ始めています。

力を出しやすくなるだけでなく、
うまく動かせたことを脳が学習するシステムになっています。

身体の一部となって助けてくれる製品は、
豊かな着想や、技術への知見、人間工学や見た目も
考慮した総合的で高度なデザイン力が求められます。

クボタの農業用アシストスーツ「ラクベスト」は、
腕を支えて、腕を上げたままの作業負担を軽減します。

椅子の肘かけのような役割を果たします。

腕を下ろしたいときには簡単に下ろせるよう、
単三電池で駆動する電磁弁で
腕を支持する部分の固定と解除をします。

モーターを使わず軽量化し、12万9600円と廉価です。

昨年秋から発売されたようですが、
今年、メディアに多く取り上げられました。

菊池製作所の介護ロボットも注目されました。
ものづくりメカトロ研究所や
マッスルスーツのwebページに詳しく載っています。

「マッスルスーツ」は、
圧縮空気やゴムチューブなどによる人工筋肉で
介護の負担を軽減します。
11月から本格的に発売されます。

力強そうなスーツですが、美しさやカッコよさ、
安全面では、デザインとして
いろいろ考えられるポイントがありそうです。

ソフトバンクの「Pepper」(ペッパー)
人の感情を認識するロボットです。

ソフトバンクが6月に新製品発表しました。
一般販売は来年の予定です。

こちらは力を貸してくれるのではなく、
表情や声から人の感情を認識して、
会話で楽しませてくれるようです。

インターネットに接続されていて、
データもクラウドで蓄積して学習もするそうです。
価格は198,000円。一般家庭でも買える金額です。

Pepperは日本人が考える、
いかにもロボットらしい素材感ながら、
人形のような顔やスタイルでもあります。

顔や体型が人間そっくりだとかえって気味が悪く、
ロボットらしさがあった方が
愛嬌を感じるのかもしれません。

このあたりの心理の研究も
デザインの進歩に求められそうです。

ロボットのどこかに人間に寄りそう部分や
人間らしさがある限り、ロボットの発展には
技術だけなく、優れたデザインも求められます。

人型のロボットは、日本が優位とされている分野です。
これからのロボットの進歩にも期待しましょう。

Tokyo Midtown Award 2014

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。
今日は「東京ミッドタウンアワード2014のご紹介です。

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先週ご紹介したデザインタッチで受賞作が展示されていました。
アートコンペ357件、デザインコンペ1072件の応募がありました。

デザインコンペの受賞作の中から4点ご紹介します。
今年のデザインコンペのテーマは和えるでした。

グランプリは「和網」(わあみ)です。
麻の葉、三崩し、青海波の文様とした焼き網です。

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製造するのは大変そうですが、
青海波や麻の葉は縁起が良い文様なので、
商品化されたら喜ばれそうです。

準グランプリは「鎧カッパ」です。
子どもが喜びそうです。

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私が気に行ったのは、小山薫堂賞の「origami tale」です。
物語のある折り紙です。

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例えば、鶴の恩返しを折ると鶴に、
白雪姫を折るとりんごが完成します。

折り紙のデザインと折り方の研究の両方とも素晴らしいです。

何もないところから形をつくっていく折り紙の魅力とは、
また別の魅力が提示されたと思います。視点も新しいです。

考え方は折り紙がプラモデルに近づいた感じです。

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蛙の王子さまや不思議の国のアリスなど作品数も多いです。

絵本とセットで販売すると面白いでしょうし、
このアイデアは他にももっと展開できそうです。

最後は、水野学賞の「おみく枝」(おみくじ)です。

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こちらはくじ付きのアイスバーを彷彿とさせますが、
人々に単純に喜ばれそうです。

ただ、仕掛けが単純なだけに
商品化して収益を得るのは、ちょっとハードルが高そうです。

東京ミッドタウン デザインタッチ2014

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

10月17日から11月3日にかけて行われた
東京ミッドタウンのデザインタッチのレポートです。
今年で8回目のイベントです。

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今年も、グッドデザイン賞受賞展(G展)を中心に
さまざまなイベントが行われました。

ワークショップ、カンファレンスも例年同様に
開催されていました。

芝生広場では「スワリの森」と題して、
科学的な視点を与えてくれる椅子が並べられていました。

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こどもたちが楽しんでいました。

今年の新しい企画としては、
「これからのライフスタイル展」という
各ショップがお薦めする逸品が並んでいました。

日用品や家具が中心の展示でした。
価格は安くありませんが、ライフスタイルショップ、
インテリアショップの価格としては普通です。
デザインのポイントが記されており、形を変えたPOPとも言えそうです。

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また、今年から始まった
「グッドデザイン・ジャパニーズファニチャーセレクション」
の展示も一緒に行われていました。

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これらの展示は無料なので、優れたデザインを
気軽に見られる、触れられるのがよいです。

東京ミッドタウンアワード2014の受賞作品も展示されていました。
次回レポートします。