2015年をブランドで振り返る(2)地理的表示保護制度が施行

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

「ブランドで2015年を振り返る」の後半は
地理的表示保護制度の話題です。

地理的表示保護制度は6月1日から始まりました。

おおまかに言うと、
地域特性との結びつきが認められる
農林水産物・食品の名前を
保護しようというものです。

例えば、EU(フランス)では、
「カマンベール・ドゥ・ノルマンディー」
としてチーズの名前を登録・保護しています。

日本では、地理的表示法
(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律)
として6月から施行されました。

地理的表示(GI: Geographical Indication)とは、
農林水産物・食品等の名称であって、
その名称から当該産品の産地を特定でき、
品質、社会的評価その他の確立した特性が
その産地と結び付いていることを特定できるものです。

地理的表示保護制度は、
地域団体商標と似ていますが、
主な違いとして次のような点が挙げられます。

・不正使用は政府が取り締まる
・生産・加工業者は品質基準を守らなくてはならない
・地理的表示であることを示すGI(ジーアイ)マークをつける
・同制度を持つ他国と相互保護が実現すればその国でも保護される
・地名を含まない名称でも地域との結びつきが特定できれば登録できる

日本のGIマークです。
gimark.jpg

商標権では、権利を侵害された場合に
権利者が差止請求や裁判を起こして、
ブランドを保護しなければいけませんが、
地理的表示保護では政府が保護しますので、
生産・加工者団体の負担は大きく減ります。

一方で、生産・加工者団体は品質の保護が求められます。

また、地理的表示は、すでに100カ国を超える国で
制度が取り入れられていますので、
相互保護の協定もこれから結ばれていくと期待されます。

良い制度だと思います。
これから期待したいです。

しかし、名称の保護はともかく、マークの保護は
商標権での保護が有効となりそうですので、
うまく使い分けたいです。

地理的表示の登録手続は農林水産省へ申請します。

現時点で20件くらい申請されているようですが、
審査中で登録されたものはまだありません。

来週の12月22日に初めての登録が発表されるようです。

制度の詳細は、農林水産省のwebサイトをご覧ください。
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/index.html

(12月24日追記)
12月22日に農林水産省は
次の7品の地理的表示(GI)を登録したと発表しました。
http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/chizai/151222.html

あおもりカシス、但馬牛、神戸ビーフ、
夕張メロン、八女(やめ)伝統本玉露、
江戸崎かぼちゃ、鹿児島の壺造り黒酢、の7品

事前の予想通り、12月15日に開催された
学識経験者委員会で議論された
7件すべてが登録されました。

知名度ではなく、地域で長年培ってきた品質管理の力が求められそうです。