イノベーションと企業家精神

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
横浜も昨日、梅雨明けしました。暑くなってきました。
さて、今日は書籍のご紹介です。

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イノベーションと企業家精神
P.F.ドラッカー、(翻訳)上田 淳生、 ダイヤモンド社

書店に行くと、「もしドラ」がベストセラーになった
岩崎夏海さんの「もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら」
が売られていて、それをきっかけに
この本も近頃、注目されているようです。

私も同書をあらためて読み返しました。

同書はイノベーションの起こし方と
イノベーションを市場で成功させるための方法を
著者の鋭い洞察や経験などからまとめた本です。

大きく3部に分かれています。

第1部 イノベーションの方法
イノベーションの機会をどこに見出すかについて述べています。

第2部 企業家精神
イノベーションを起こす組織と企業家の役割を述べています。

第3部 企業家戦略
イノベーションを市場で成功させるための戦略を述べています。

第1部に記されている「イノベーションのための7つの機会」が
有名ですが、私は第2部の企業家精神も好きです。
少しご紹介します。

第13章の既存企業における企業家精神では、
組織の規模の大きさそのものは、イノベーションや
企業家精神の障害とはならないと主張しています。

最も企業家精神に乏しく
最もイノベーションの体質に欠けているのは、
むしろ小さな組織である、とさえ言います。

私はドキっとさせられました。

イノベーションを起こす大企業の例として、
ジョンソン&ジョンソンや3M(スリーエム)など
を挙げています。

イノベーションの障害となるのは、
官僚的な体質や煩雑な手続き、自己満足などではなく、
既存事業の課題対応に力を注いでしまうことだと言います。

既存事業に目が向くので、
新しく幼い事業にうまく注力できなくなるのです。

だからこそ、意識的な努力が必要であり、
学ぶ努力が必要であると主張し、

変化を脅威でなく機会とみなす組織をつくることや、
イノベーションの評価、組織の人事、
企業家精神にとってのタブーなどを述べています。

日本経済に成長戦略やイノベーションが
求められるのであれば、多くの人が読むべき本でしょう。

300ページ以上、濃い内容が詰まっています。

ただ、ドラッカーの本は少し難しいので、
同書のエッセンス版や
「もしイノ」から触れるのも良いと思います。

芸術文化施設が集うクレマチスの丘

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

永六輔さんと大橋巨泉さんが相次いでお亡くなりになりました。
お二人とも創造者で革新者でした。
鋭い考えを持ちながらもお話も軽妙で楽しませてくれました。
さびしいです。

さて、先週に続いてクレマチスの丘をご紹介します。

クレマチスの丘は、クレマチスガーデン・エリアと
ビュフェ・エリアに分かれます。

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先週ご紹介したヴァンジ彫刻庭園美術館は
クレマチスガーデン・エリアにあります。

IZU PHOTO MUSEUMは、
ヴァンジ彫刻庭園美術館の向かいにあります。

2009年に開館した写真・映像の美術館です。
杉本博司さんが内装や坪庭を設計しています。

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作品の収集もしているようですが、
私の訪問時には企画展のみの展示でした。
おそらく常設展はやっていないと思います。

館内は撮影禁止のため、外観のみのご紹介です。

クレマチスガーデン・エリアには、
ミュージアムショップのほか、ブティック・雑貨店、
素敵なレストランや花屋もあります。

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もうひとつのビュフェ・エリアには
ベルナール・ビュフェ美術館井上靖文学館
カフェや絵本や美術書を販売する店があります。

ビュフェ・エリアは、クレマチスガーデン・エリアから
徒歩で15分くらいの距離です。

バスもありますが、つり橋や自然公園のなかを
散策しながら歩いていくのも楽しかったです。

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ベルナール・ビュフェ美術館は写真の左奥の建物です。
右の建物は美術館併設のカフェや書籍、玩具の販売店です。

ベルナール・ビュフェ美術館には
常設展と企画展の両方があり広いです。
じっくり楽しめます。

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力強い線の表現で、発展していく戦後社会のなかで
置き去りにされているものや
虚無感を訴える作品が印象的でした。

館内にはビュフェこども美術館もあります。
幼児が芸術に触れられるのは良いですね。

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下の写真は井上靖文学館です。

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クレマチスの丘のそれぞれの美術館や文学館は、
実はそれぞれ別の運営団体のようですが、
外から見ると一体的に運営しているように見えるくらい、
協力して盛り上げています。

これは素晴らしいことです。
お得な4館共通券もありました。

ひとつだけでは来館への動機が弱くても、
協力して盛り上げることで、
それぞれにメリットをもたらしています。

私も一館だけだったら訪問しなかったかもしれません。

マーケティングや広報として見習いたい事例です。

まるで天国のイメージのようなヴァンジ彫刻庭園美術館

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日から2回にわたってクレマチスの丘をご紹介します。

クレマチスの丘は、静岡県長泉町にある、
花・アート・食がコンセプトの複合文化施設です。
JR三島駅から無料のシャトルバスで行けます。

クレマチスの丘には、ヴァンジ彫刻庭園美術館、
IZU PHOTO MUSEUM、ベルナール・ビュフェ美術館、
ビュフェこども美術館、井上靖文学館があります。

ヴァンジ彫刻庭園美術館の園内には、
きれいに整備された庭があり、クレマチスが咲いています。

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ヴァンジ彫刻庭園美術館は
イタリアの彫刻家、ジュリアーノ・ヴァンジさんの
作品を常設展示しています。

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ヴァンジの作品は、とてもバラエティに富んでいます。

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宗教を意識した作品や、笑いを誘うような作品もあり、
素材も大理石や石膏、木、ブロンズと幅広いです。

それらの作品が空や庭、広々とした館内との関係の中で
生き生きとしています。

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企画展は現代の芸術家の作品を展示することが多いようです。

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私の訪問時期がよかったので、
庭園はクレマチスだけでなく、
たくさん咲いているバラも楽しめました。

気温は20度を越えるぐらいでしたので快適でした。

庭にある椅子に静かに腰掛けて、
心穏やかに時間を過ごしました。

美しい花と庭、鳥のさえずりや風の音、
そして彫刻作品を楽しめます。

おおげさに言うと、
天国とはこのような場所ではないか
と思えるような、とてもとても美しい場所でした。

ヴァンジ彫刻庭園美術館以外の施設のご紹介は次週に。

日経デザイン「中小企業にデザインの力を!」

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は日経デザイン7月号についてです。
特集は「中小企業にデザインの力を!」です。

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デザインに注力している中小企業が取り上げられています。

それぞれの企業の取り組みは異なり、
うまくいったポイントもひとつに
まとめられているわけではありません。

事例に関心のある中小企業には、ぴったりの特集です。

いろいろな気付きや感想があると思いますが、
私は外部デザイナーの活用の難しさを感じました。

次のような事例が掲載されています。

外部のデザイナーに依頼したことがあるが、
商品への思いが十分に表現できていないと感じて、
社長自らIllustratorやPhotoshopのソフトの使い方を
習得してパッケージデザインをした食品製造業。

過去にラベルをデザイナーに依頼したことが
数回あったが、いずれも想像の範囲内だった。
別のデザイナーとの出会いから
想像を超えたデザインが生まれた食品製造業。

CI(コーポレートアイデンティティ)や
ブランド戦略を推進するなかで、
インハウスデザイナーを採用して
デザイン部門を立ち上げ、広報に力をいれる製造業。

単にデザイナーに依頼すればうまくいくほど
簡単ではないと、あらためて感じます。

妥協なきデザインへの思いを中小企業が持って、
外部のデザイナーを何人も探したり、
自らデザイン技術を学んだりしています。

また、デザイナーの「作品」にならないために、
どの販路にどれくらい売るかという
提案ができるプロダクトデザイナーが
求められていることも感じました。

6月号はデザインの価格に関する特集でしたが、
7月号を読むと、応え切れていないニーズが
すこし見えるような気がしました。

目次(0541~0560)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日から下半期です。気持ちを新たにがんばります。

今日は目次をお届けします。
気になる記事があったらクリックしてください。

2016年2月19日~2016年7月1日分
記事ナンバーとタイトル

560 目次(0541~0560)

559 デザイン先進県の富山県
558 東京都中小企業振興公社のデザインマッチングを活用しよう
557 日経デザイン「デザインの価格、デザイナーの価値」
556 21_21 DESIGN SIGHT 雑貨展
555 空前の伊藤若冲ブームに驚き

553、554は書籍のご紹介です。

554 コーポレート・アイデンティティ戦略 デザインが企業経営を変える
553 戦略的ブランド・マネジメント第3版

550~552はブルーボトルコーヒーの人気の要因を考えました。

552 ブルーボトルコーヒーはデザインのインパクトも光る
551 ブルーボトルコーヒーは広報のうまさが光る
550 ブルーボトルコーヒーの人気は一年経過後も続く

549 現美新幹線は訪日観光の目玉になる可能性を秘める
548 大規模改修工事前に東京都現代美術館に行こう
547 マツダのロードスターが2016年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー受賞
546 値下げしたくない会社はエーワン精密に学ぼう
545 お客様との関係を築く、でんかのヤマグチ
544 中小企業白書2015年版のデザイン、ブランドの活用企業事例
543 GOOD DESIGN MARUNOUCHI
542 かわさき産業デザインコンペ2015
541 講演「上手な値上げが会社を救う!顧客心理を踏まえた値決め術」

540 目次(0521~0540)

今後ともよろしくお願いいたします。