産業競争力とデザインを考える研究会の報告書

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

経済産業省と特許庁が
「産業競争⼒とデザインを考える研究会」の報告書
5⽉23⽇に公表しました。
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20180523001.html

デザイン経営宣言.jpg

研究会は、学者、企業役員、デザイナー、
経営コンサルタントなどで構成し、
昨年7月から議論していました。

報告書にはデザイン経営の定義、
デザインの投資効果、デザイン経営の実践の
具体的取り組み、政府への政策提言が記されています。

デザイン経営を「デザインを企業価値向上の
ための重要な経営資源として活⽤する経営である。」
と定義しています。

このあたりは話し合って決めたようで、
デザイン経営には
「経営チームにデザイン責任者がいること」と
「事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること」
が必要としています。

「デザイン責任者とは、製品・サービス・事業が
顧客起点で考えられているかどうか、
またはブランド形成に資するものであるかどうかを判断し、
必要な業務プロセスの変更を具体的に構想するスキルを持つ者をいう。」
などとも記されています。

デザイン投資効果は、
イギリスの研究などを引用したもので、
独自調査は行われていないようです。

政府が運営した研究会ですので、
研究結果にはバイアスがかかっています。

経営はデザイン以外の
さまざまな要素を考えるもので、
業績はデザイン以外のさまざまな取り組みも含んだ結果です。

しかし、デザイン経営について、
人によって話すことにばらつきがあったので、
専門家が集まって報告書として
見解がまとまり、合意ができたことは意義があります。

報告書はデザイン経営を進める指針にもなります。

ブランド力向上やイノベーション促進に
デザイン経営が有効なことは間違いはありませんし、
経営の中でデザインを
もっと考慮すべきである企業も多いことは事実です。

報告書だけでもそれなりにボリュームがありますが、
研究会の各回で委員が提出した資料も
面白いのでご興味がある方はご覧になるとよいでしょう。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/economy.html#sangyo_design

それぞれの委員の提出資料のほうが
とがっていて面白いかもしれません。

デザイン料金の相場の目安

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

相談を受けていると、
「デザイナーに頼むといくらかかりますか?」
という質問をよくいただきます。

おおよそのイメージはお答えしていますが、
仕事内容やデザイナーによって価格は大きく異なるのも事実です。

参考になるwebサイトをご紹介します。

名刺、ハガキ、チラシ、ポスター、ロゴの
グラフィックデザインの料金について、
平成の終わり汁さんがTwitterに投稿しています。
https://twitter.com/anmain2525/status/1014519373103443972

design-47さんがwebサイトの制作費用について
ブログ「デザインを相談してみよう」に記しています。
【料金表第2弾】Webサイト制作いくらかかるか?フリーランス・SOHOの制作代金 100社まとめ
http://design-47.hateblo.jp/entry/webdesign

多くの企業のデザイン料金表を見たうえで、
全10ページ程度の簡単なウェブサイトの場合、15万円~30万円程度くらいでしょうか。

とまとめています。

design-47さんはロゴ制作についても調べています。
【第三弾】ロゴ制作をデザイン会社に頼むといくら?73社の料金表をまとめてみた
http://design-47.hateblo.jp/entry/logo

ロゴについては
ロゴデザイン(テキスト部分)で3万円くらい、ロゴマークで5万円くらいのようです。
全て一括で依頼する場合には予算を10万円くらいに設定にしておくと良いでしょう。

とまとめています。

以前は、design-47さんのブログ「デザインを相談してみよう」で
【2015年】チラシのデザインを頼むといくらかかるか?97社の料金表を調べてまとめてみた。
という記事があって、そちらもご紹介したかったのですが、
今は残念ながら見られなくなっています。

プロダクトデザイン(製品デザイン)は、
私が12年前に東京都中小企業振興公社で
「デザイナー活用ガイド」を制作しましたので、
その内容を一部お伝えしましょう。(今は絶版で見られません)

designer活用guide.jpg

工業デザインの製品企画、基本デザイン、詳細デザイン、
デザイン修正、デザイン評価までをすべて行うと
175~1050万円と幅をもって記されています。

具体例もデザイナーに伺って、イメージとして
コンセプト提案、基本デザイン、詳細デザインを通して
270万円から340万円で行う例を3つ記しました。

これらはあくまで価格表です。
グラフィックデザインにせよ、プロダクトデザインにせよ、
依頼の仕方や、デザイナーとの関係の築き方によって
実際の価格は変わりますので、そこには工夫の余地があります。

イタリアの面白いもの

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
イタリアレポートも最終回にします。
イタリアで興味を惹いたものをご紹介します。

ヴェネツィアの水路にあった、
おそらく「ゴンドラ通行可」の標識です。

ゴンドラ通行可.jpg

ローマのコロッセオの中にあった看板です。

コロッセオ.jpg

コロッセオの外や中には、
日本語案内がほぼありませんでしたが、
階段の注意書きだけはなぜか日本語がありました。

イタリア語、英語、フランス語、スペイン語の下に日本語が。
日本人はよくつまづくのでしょうか。

ミラノトリエンナーレのトイレにあった
トイレットペーパーです。

トイレットペーパーイタリア.jpg

ロールが長くて厚みがありました。

ミラノではバイクシェアのステーションを
あちこちで見かけました。
おそらくレンタサイクルだと思います。

ミラノレンタサイクル01.jpg
ミラノレンタサイクル02.jpg

annualですから1年で36ユーロだったら安く良いですね。

ミラノはおしゃれな街ですが、
路面電車は古びた感じの車両が多く走っていました。

ミラノ路面電車1.jpg

イタリアでは街中で水を持っている人がたくさんいました。
私が夏に訪問したためですが、
乾燥しているイタリアでは
片手にペットボトルを持っている人をよく見ました。

ペットボトルイタリア03.jpg
ペットボトルイタリア02.jpg
ペットボトルイタリア01.jpg

日本より鞄や荷物を持っている人は少ないです。

最後にイタリアにいた「ちょい悪オヤジ」を。

ヴェネツィアのゴンドラセレナーデで、
カンツォーネを歌ってくれた左の歌手です。

ゴンドラセレナーデ2.jpg

サングラス、白シャツ、ボタンは2つ開ける、
アクセサリーはネックレスに、大きな指輪がたくさん、
ポケットに手を突っ込んだまま歌うなど、LEONの世界でした。

イタリアにはこんな感じの人が本当にちょくちょくいました。
ちなみに右下のアコーディオン奏者の方は、
やさしそうな笑顔が絶えない方でした。

「時」に生きるイタリア・デザイン

こんばんは。中小企業診断士の山口達也です。
今日は書籍のご紹介です。

時に生きるイタリアデザイン.jpg

「時」に生きるイタリア・デザイン
佐藤 和子 三田出版会

1995年の出版で中古でしか手に入らないと思いますが、
イタリアのデザイン史として一級の資料となる一冊です。

著者は、ミラノでインダストリアルデザイナーや
デザインジャーナリストとして活動されました。

序文では
「人生の楽しさを創造すること、それがイタリアのデザインだ。」
「イタリアのインダストリアル・デザインは、常に工業と職人工芸が共存して発展してきた。」
と述べています。

本文を読み進めるとイタリアのデザインのルーツ、
イタリア人のデザインへの考え方などがわかります。

例えば以下のことが詳細に記されています。

・建築とインテリアを一体としてデザインしてきた
・1930年代から1990年代のイタリアのデザインの歴史と変遷
・ミラノ・トリエンナーレの始まり
・ミラノ・トリエンナーレの中断
・1961年のイタリア家具サロン(ミラノサローネ)の始まり
・建築・デザイン誌ドムス(DOMUS)について
・優れたデザインを表彰する「コンパッソ・ドーロ賞」が
百貨店リナシェンテを中心に作られたことなど

366ページもあり、他にも多くのことが書かれています。

デザインへの哲学、デザインのコンセプトを
大切にする方は、読んでみてはいかがでしょうか。
発見があると思います。

エットレ・ソットサスへのインタビューもあります。
かなり読み応えのある書籍です。