おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
平成31年度政府予算案が衆議院を通過しました。
政府予算案には
「キャッシュレス・消費者還元事業」があります。
https://cashless.go.jp/キャッシュレス・消費者還元事業の予算案の説明資料
http://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2019/pr/ip/shosa_08.pdf今年10月の消費税率引上げから来年6月まで、
キャッシュレスで買い物をすると
中小の個別の小売店などでは代金の5%、
フランチャイズチェーン加盟店は2%分が
ポイント還元されます。

中小企業にも補助があり、
キャッシュレス決済端末の導入費用が補助されます。
キャッシュレス支援と軽減税率対策補助金の整理
http://www.meti.go.jp/press/2018/02/20190208006/20190208006-5.pdf中小企業が決済事業者に支払う
加盟店決済手数料も3分の1が
消費税引き上げ後の9か月間補助されます。
キャッシュレスとは、
クレジットカード、電子マネー、QRコード
などが該当します。
ポイントが欲しい消費者も多いので、
キャッシュレス対応を考えたいところですが、
売上のたびに加盟店決済手数料が発生しますので、
導入の是非は悩ましいです。
しかし、店への入金までの時間も気になりますし、
会計にかかる時間も考えたいです。
入金手数料やキャッシュレス端末の通信料も
考える必要があります。
キャッシュレスの特長は一言でいうと次の通りです。
クレジットカードは高額決済に向く
電子マネーは少額でスピーディーな会計に向く
QRコード決済は決済手数料や決済端末が安い
中小企業からの相談が増えていますが、
相談の回答として、現時点では
大きく次の4パターンを提案しています。
【対応策1】クレジットカード、電子マネーを導入するお勧めする店
・これから現金を持ち歩かない社会が進むと考えている
・決済端末の導入費用を政府が補助するチャンスを生かしたい
・お客様に外国人がいる
具体的には下の事業者のサービスを申し込みます。
Airペイ
https://airregi.jp/payment/SBペイメントサービス
https://www.sbpayment.jp/service/device/楽天ペイ
https://smartpay.rakuten.co.jp/?l-id=header_nav_topコイニー
https://coiney.com/デメリットは、決済手数料や決済端末のレンタル費用などがかかることです。
【対応策2】電子マネーだけ導入するお勧めする店
・会計のスピードを重視している
・高額商品は扱っていない
クレジットカードのサインや、
QRコード決済のスマートフォンの操作には時間がかかります。
現金より早くなりません。
レジの混雑や働き方改革に留意するなら、
電子マネーだけ導入します。
具体的には下の事業者のサービスを申し込みます。
ヤマトフィナンシャルのマルチ電子マネーサービス
https://www.nekonet.co.jp/lp/em/PKBソリューションのKAZAPi(かざっぴ)
https://www.pkbsolution.co.jp/kazapi/デメリットは、電子マネーは前払い入金(プリペイド)型が多いこと、
鉄道やバスの利用が多くない地域では保有率がやや低いこと、
決済手数料や決済端末のレンタル費用などがかかること、です。
【対応策3】PayPayとLINE payだけやるお勧めする店
・政府の5%還元に乗りたいけど、決済手数料は払いたくない
PayPayは2021年9月まで、
LINE payは2021年7月まで、
加盟店決済手数料を無料としています。
政府の5%還元は2020年6月までです。
QRコードをレジ前に掲示するだけで、
レジと連動させなくても運用可能なので、
店の金銭的な負担はありません。
上の期間が終わって手数料がかかるなら
QRコード決済を取り止めるのも選択肢でしょう。
PayPay
https://paypay.ne.jp/LINE pay
https://line.me/ja/payデメリットは、スマートフォン保有者に利用が限られること、
お客様がQRコードを読み取る場合は、
店が確認しないと決済を間違えやすいこと、です。
【対応策4】なにもしないお勧めする店
・安さをウリに現金商売に徹する
・少額決済ばかりである
・スマートフォンや電子マネーを持っていないお客様が多い
キャッシュレスでレジ締めの時間が短くなる
とよく言われますが、
現金の取り扱いを止めなければ、短くなる効果は限られます。
また、キャッシュレスでお客様が増えるのは
高額商品や衝動買いする商品の販売、外国人への販売、
小遣い日前の会社員が電子マネーで少額の買い物をする場合、
といったケースが多いです。
これらに当てはまらないと、
決済手数料に見合う売上増加にならないことも
おおいに考えられます。
デメリットは、政府の5%還元時に
お客様が競合店に取られるリスクがあることです。

ここまで4つの対応策をご紹介しましたが、
対応策1と3、対応策2と3の組み合わせもあります。
また、お店が持っているレジによっても提案は変わります。
レジと決済端末を連動させれば金額は正確になり、
スピードもあがります。
レジの買い換えに軽減税率対策補助金がでますので、あわせて検討したいです。
現時点ではこのような状況ですが、
これからキャッシュレス還元が始まる10月までに
決済事業者や端末を扱う企業から
さまざまなサービスやキャンペーンが発表されて、
状況も変わると思います。
半年前ではPayPayはサービスを開始していなかったのに、
今ではQRコード決済で一番有名になっているくらいです。
激動の半年になるでしょう。
夏までに決めれば間に合いますので、
中小企業の社長は、今から消費者として
QRコード決済や電子マネー決済を
いろいろ試しましょう。
QRコード決済について
J-Net21のサイトは参考になりますのでご覧ください。
J-Net21:スマートフォンの「QRコード決済」サービスhttp://j-net21.smrj.go.jp/establish/columninterview/interview/ittool/19011001.html