2019年をブランドで振り返る(サブスクリプションとキャッシュレス)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今年も残すところわずかとなりました。

今年はサブスクリプションとキャッシュレスが話題になりました。

サブスクリプションは、もともと雑誌や新聞などの定期購読を意味します。

近ごろは、NetflixやApple music、
マイクロソフトの「Office365」やAdobe Creative Cloudなどの
サービスが普及し始めました。

買って所有するのではなく、
月額料金でサービスを受ける契約です。

今年はインターネットを使わない事業でも
サブスクリプションのビジネスが注目されました。

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トヨタも今年「KINTO」というサブスクリプションの
サービスを始めました。
https://kinto-jp.com/

2019年2月5日トヨタのニュースリリース
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/26466090.html

KINTOは報道によると、契約が伸び悩んでいるようですが、
トヨタとしても「所有から利用」の流れに向けて
一歩踏み出してみたところでしょう。

MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)への流れも
意識していると思われます。

中小企業でもサブスクリプションに取り組んでいます。

例えば、Toysub!(トイサブ!)
乳幼児の知育玩具のレンタルを行っています。
https://toysub.net/

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coffee mafia(コーヒーマフィア)では
会員になるとコーヒーが毎日飲めます。
http://coffeemafia.jp/

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毎月、顧客に料金を払い続けてもらうのは
簡単ではありません。

サブスクリプションのビジネスを成功させるには、
工夫がいる事業も多いと思われます。

もうひとつの話題、キャッシュレス決済は
今年、当ブログでも何度も取り上げました。

私が訪問した、伊豆諸島の新島や神津島でも
今年はキャッシュレス決済が使える店が増えました。

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こうして、サブスクリプションやキャッシュレスに
取り組んだ企業は、先進的、革新的、時流に乗る
ブランドイメージに寄与したと思います。

また、中小企業がキャッシュレス導入をして、
消費者還元に参加することが顧客満足の姿勢を示しました。

サブスクリプションとキャッシュレスを
もろ手を挙げて称賛したいわけでありません。

サブスクリプションとキャッシュレスにもデメリットはあります。

しかし、私は新しい試みに挑む企業が好きです。
また、キャッシュレス決済を導入しない店は避ける傾向があります。

中小の小売、サービス業では、キャッシュレス決済の有無で、
「新しい試みで不安だけど、
お客様がお得になるならやってみようという店」と、
「わからないし面倒だからやらないという店」
のイメージ分けがついたように思います。

ブランドでは、ロゴやネーミング、webサイトや
店舗の内外装などが注目されますが、
ブランドイメージは企業の姿勢からも生まれます。

今年も当ブログをご覧いただきありがとうございました。
良い年をお迎えくださいませ。

2019年をデザインで振り返る(ワークマンの躍進)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
2019年のデザインを振り返ります。

今年はワークマンの躍進が話題になりました。

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ワークマンは、作業服や軍手、安全靴などを
販売していますが、業務用ではなく、
一般の個人客に向けて、スポーツウェアや
アウトドアウェアなどを商品開発して
販売したところ、高機能、低価格で人気を博しています。

昨年の9月には、作業着などを置かず、
一般個人客だけをターゲットとした
「ワークマンプラス」を出店したところ、
ワークマンの商品が大きな話題になりました。

ワークマンの既存店売上は前年から26%増えています。

ワークマンは長年ずっと右肩上がりで成長してきた
企業ですが、この1年あまりで多くの
マスメディアに取り上げられました。

ユニクロやニトリに続くと評価する声もあります。

ワークマンの商品は良いデザインです。

ファッションデザインとして異論もあるでしょうが、
トレンドを追わず、数年かけて定価で売り切る
デザインや、消費者の声を商品に反映させる姿勢は良いと思います。

ワークマンの商品は、
グッドデザイン賞も受賞していないようですが、
応募していないか、審査を通過しなかったのかは
私にはわかりません。

ただ、デザイン業界からよく聞かれる
「デザインは外観の美しさだけでなく、デザインの範囲は広い」
「経営にデザイナーを関与させるべき」
という意見に基づけば、デザイナーは
ワークマンから多くを学ぶべきです。

中小企業にとっては、
ワークマンのような大量生産のスケールメリットは
取り入れにくいですが、
業務用商品を消費者向け商品に
展開していく手本になります。

ワークマンの事業ではありませんが、
近年、人気のあるコインランドリーも、
家庭用洗濯機にない性能が喜ばれています。

また、家電や調理器具、デジタル一眼レフでも
プロレベルの性能の商品が
一般個人向けに販売されています。

限られた人だけが使う商品から、
多くの一般の個人が買うようになれば
生産数量は増えます。

高い商品開発力とデザイン力が
高機能と低コストを両立させるためには重要です。

高機能と低価格が両立している
ワークマンの躍進はまだ続きそうです。

グッドデザイン賞受賞展2019(5)

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。
グッドデザイン賞受賞展
(GOOD DESIGN EXHIBITION 2019)のレポート続編です。

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グッドデザイン・ベスト100には
入らなかったもののグッドデザイン賞を受賞した
デザインを紹介します。

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ここでは今年らしい受賞を紹介します。
今年はQRコード決済が大きく浸透した年になりました。

「Alipay Paybox R0」は、
アリペイのQRコード決済から
販売・在庫管理まで使える端末です。

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中国で使うもので、日本では使えないと思いますが、
こうした製品の応募もあります。

ライバルのテンセントも
「WeChat Scan&Go」を受賞しました。

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商品のバーコードを
自分のスマートフォンで読み込んで、
「WeChat Pay」で決済して完了です。
レジが要らなくなります。

LINEも「LINE Pay Terminal」で受賞しました。
https://pay.line.me/portal/jp/business/payment-service/device

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また、社内SNS、グループウェアである
「LINE WORKS」も受賞しています。

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ちなみに、同分野では「SLACK」が
グッドデザイン・ベスト100に選ばれています。

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以前、当ブログでご紹介したDeNAの「MOV」も受賞しました。
2019年02月19日:タクシー配車アプリMOV(モブ)で素早く移動
https://brand-design.seesaa.net/article/464211999.html

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最後にご紹介するのは「うんこミュージアム」。
展示やディスプレイの分野で受賞しました。

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グッドデザイン賞の範囲は広いです。

グッドデザイン賞受賞展2019(4)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
グッドデザイン賞受賞展
(GOOD DESIGN EXHIBITION 2019)のレポート続編です。

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今日のひとつめにご紹介するのは、
米国のMonotypeの「Neue Frutiger World
ノイエ・ フルティガー・ ワールド)」です。
https://www.monotype.com/fonts/neue-frutiger-world

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150以上の言語に対応し、
10ウェイトとイタリックも用意されています。

欧文書体に合うアラビア文字やタイ文字などの
書体は見つけづらいです.

このサンセリフ書体をベースとしたフォントによって、
世界で事業展開する企業にとって、
世界で一貫したイメージを伝えやすくなります。

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ちなみに「Neue Frutiger World」に日本語書体はなく、
「たづかね角ゴシック」を組み合わせて使うそうです。

簡単で高いレベルで統一できるので、
このフォントは中小企業にこそ向くと思います。

続いてご紹介するのは、
ファーウェイの「Mate X」です。

折り畳んだディスプレイを拡げると
8型のディスプレイになるスマートフォンです。

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タブレット端末が不要になりそうな商品です。
思わず触りたくなる魅力があります。

ディスプレイパネルの技術がすごいです。

サムスンの「Galaxy Fold」は
見かけませんでした。
来年のグッドデザイン賞に応募でしょうか。

ベスト100の展示の横には、
インドネシア、インド、タイの
デザイン賞の展示もありました。

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また、来年のグッドデザイン賞の応募のチラシがありました。

グッドデザイン賞への応募件数は増加傾向ですが、
今年は昨年に比べて微減で、伸びが一服した感じです。
積極的に広報することはよいですね。

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ちなみに、今年のグッドデザイン賞受賞展は入場無料でした。

多くの人に関心を持ってもらうには良いと思います。
レポートは次週以降も続きます。

グッドデザイン賞受賞展2019(3)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
グッドデザイン賞受賞展
(GOOD DESIGN EXHIBITION 2019)のレポート続編です。

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今日のひとつめは、
グッドデザイン賞の特別賞である
「グッドフォーカス賞(技能・伝承デザイン)」を
受賞した中小企業の例として、
神戸マッチの「hibi 10MINUTES AROMA」を紹介します。
https://hibi-jp.com/

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デザインが「播磨のマッチ」と「淡路島のお香」
の技術を活かした商品です。

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マッチのように火をつけるお香スティックです。
着火具がなくても使えます。

炎が消えたらマットに置きます。
10分間良い香りが漂います。

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ギフトとして売れそうです。

次は、グッドデザイン・ベスト100から
リビルディングセンタージャパンを紹介します。
http://rebuildingcenter.jp/

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テレビでも以前見たことがあるのですが、
解体する建物から、古材や古道具を引き取り、
リユースしているます。

古材を循環させて、環境負荷を減らしています。

古民家などの木造建築の建材には優れたものも多いです。

風合いなど古材ならではの魅力もありますし、
こうした活動は素晴らしいです。

リビルディングセンターでは、カフェもつくり、
一般の人も古材を学び、触れ合う機会を増やしています。

次はモリタ宮田工業の住宅用消火器です。
https://www.maffs.jp/c/extinguisher/vf1ham

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グッドデザイン・ベスト100だけでなく、
グッドフォーカス賞(防災・復興デザイン)も受賞しています。

消火器の色を変えただけと見えますが、
家庭で消火器の保有率は4割であることを考慮すると、
意味があります。

家庭では家族の他に消火器を使う人もほとんどいないので、
消火器の置き場所が決まっていれば、
赤で目立たせなくても見つけやすいです。

赤の消火器では、
インテリアコーディネートを重視する人は、
消火器を買ったとしても、目立たないところや
目につきにくいところに追いやってしまうかもしれません。

それでは本末転倒です。

このようなカラーリングにすることで、
台所や居間に置いてもらえるなら大きな前進です。

生活者の気持ちに合わせて、
消火器の設置を促すデザインです。

続いて大企業になりますが、
スノーピークの「HOME&CAMPバーナー」を紹介します。
https://www.snowpeak.co.jp/sp/hcburner/

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美しくコンパクトに収納できる卓上ガスコンロです。
たたむと写真左のようにガスボンベの収納空間に
五徳が収まります。

安定感にも配慮し、
インドアでもアウトドアでも使えます。

本日最後にご紹介するのは、NECの
「税関検査場電子申告ゲートを中心とした
Smart Airportの取り組み」です。

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顔認証技術とスマートフォンアプリを使って
税関をスムーズに通過できる仕組みです。
https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/egate.htm

今後は入出国審査や航空機搭乗、
チェックイン、保安検査などにも顔認証が使われることが
期待され、安全性とスピードアップが図られそうです。

ソフトウエアだけでなく、さまざまな国の人が使いやすい
ナビゲーションデザインも評価されたと思います。

レポートは次週以降にまだ続きます。