ビーチサンダルに特化したげんべい

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は夏らしい話題を。
神奈川県葉山町にある「げんべい商店」をご紹介します。
私が好きな店です。

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ビーチサンダルに特化して広報している小売店です。

下はホームページに掲載されている写真を載せていますが、
棚にぎっしりビーチサンダルが詰まっています。

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葉山に行く機会があったら、ぜひ店舗に行ってみてください。
圧倒されます。

足が痛くなりにくいビーチサンダルを提供しようと
鼻緒とソールに天然ゴムを使っているそうです。

もともとは、江戸時代の終わりごろに足袋の製造で
開業したそうですが、戦後、足袋職人から小売業へ転換し、
よろず屋として日用品を販売していました。
ビーチサンダルも販売していました。

2000年ごろに思い切ってビーチサンダルを
徹底的に売ると決めて、開発も始めたようです。

現在もTシャツなどの洋服、雑貨も販売していますが、
広報はビーチサンダルに集中しています。

ブログ、YouTube、Facebook、Instagram、SNSにも
いろいろ取り組んでいます。

地域の人に日用品を売る、よろず屋から
夏しか売れないビーチサンダルで勝負すると決断するには
勇気がいったと思いますが、
こだわったオリジナリティのある事業展開は
ネットショップの拡大もあり、全国に商圏を広げて経営しています。

冬でもハワイや南半球に行く人もいますし、
みんながやらないことをやっている強みは大きいですね。

中小企業の戦略として、ニッチな分野を掘り進めるのは正解です。
まるげのブランドも知られるようになっています。

ネットショップがありますが、
注文が集中して現在、受注を休止しているほどです。

鼻緒とソールの色の組み合わせで個性を出すのも楽しく、
あなたの個性をビーチサンダルで表現するのもいかがでしょうか。

海の家やサーフショップなどでは、
個性的なビーチサンダルで接客するのも面白いと思います。

オリンピックのアンブッシュ・マーケティングはどこまで認められるか

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
東京オリンピックが本日、開会します。

東京オリンピック・パラリンピックの開催に反対の方もおり、
企業の中にはスポンサーにあっても距離を置く企業もあります。

しかし、東京オリンピック・パラリンピックや
選手の応援に関連したマーケティング・販売促進をしたい
中小企業もいます。

今日はオリンピックに関連したマーケティングは
どこまで許されるかを考えます。

オリンピックなどのイベントに乗じて、
スポンサーでなく、何の権利をもたない企業が
広告宣伝・販売促進などを行うことを
アンブッシュ・マーケティングといいます。

アンブッシュ・マーケティングは
待ち伏せマーケティングや便乗商法とも呼ばれます。

このアンブッシュ・マーケティングを
国際オリンピック委員会(IOC)や
公益財団法人東京オリンピック·パラリンピック競技大会組織委員会(組織委員会)、
公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)が
行わないよう呼び掛けており、
行った場合には法的な対応もするとしています。

彼らの呼びかけの詳細は下のリンク先をご覧ください。

JOC「東京2020オリンピック競技大会に関する知的財産保護·日本代表選手等の肖像使用について マーケティングガイドライン
https://www.joc.or.jp/games/olympic/tokyo/pdf/marketing_guideline.pdf

組織委員会「大会ブランド保護基準」
https://gtimg.tokyo2020.org/image/upload/production/ujqwxe8cojnsrmewsbfa.pdf

確かに、商標権、著作権、肖像権、パブリシティ権などは
保護されるべきで、これらの権利や不正競争防止法などを
中小企業も守る必要があります。

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具体的には「オリンピック」「五輪」「Olympic」「Tokyo2020」
「がんばれ!ニッポン!」五輪マーク、公式エンブレム、
ミライトワ、選手の名前などを使った広告宣伝は控えましょう。

それで中小企業が困ってしまうことが、
どこまでならセーフか前述の団体が記していないことです。

まあ、オリンピック・パラリンピックに関するマーケティングは
一切やってほしくない立場でしょうから仕方ないです。

また、弁護士や弁理士のほとんどもリスクがありますので
インターネット上では述べていません。

私もお客様へのコンサルティングでは
突っ込んだ質問も受けますが、
当ブログでは責任が取れませんのでマイルドにお伝えします。

「日本応援セール」「スポーツの日記念セール」
「すべてのスポーツ選手を応援します!」
「テレビで選手を応援!」などは一般的に問題ないと考えます。

新型コロナウイルスの国難を頑張る人を応援したり、
地域のスポーツ大会で学生のプレーを応援したりすることまで、
制限できないからです。

知的財産権などを守りながら、選手も応援しましょう。

ネーミング発想・商標出願かんたん教科書

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は書籍のご紹介です。

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ネーミング発想・商標出願かんたん教科書
松野泰明、中央経済社

ブランドにおいてネーミングは極めて重要です。

自分で名前を考えて、自分で商標出願したい人に寄り添った
わかりやすくて読みやすい一冊です。

商標権の本は一般的に弁理士が
商標法や商標審査基準を解説したものが多いのですが、
この本は発明協会の発明アドバイザーが、
一般の個人が気になる点を中心に楽しく解説しています。

タイトルの通り、ネーミングと商標出願の
2つのテーマについて書かれています。

前半はネーミングについて、ネーミングの成功例や
ネーミング公募に自ら応募する事例をもとに
ネーミング創作技法を解説しています。

ネーミング創作ワークシートもあります。

後半は商標出願について、
J-Platpatによる先願調査(称呼、図形)のやり方や、
商標登録願の書き方や出願の仕方が書かれています。

著者の優しさが感じられ、親切で楽しく解説しています。

弁理士を使わずに自分で頑張りたい人にお勧めの一冊です。

デザインにぴんとこないビジネスパーソンのための“デザイン経営”ハンドブック

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
先週は熱海銀座商店街の話題でしたが、
その後、熱海では大きな土砂災害がありました。お見舞い申し上げます。

今日は特許庁が作成した
デザインにぴんとこないビジネスパーソンのための“デザイン経営”ハンドブック」をご紹介します。

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デザイン思考(デザインシンキング)の実践者が
エッセンスを語っています。

デザインコンサルティングファームのIDEOの
トム・ケリーさんは
1章で「共感・実験・ストーリーテリング」で次のように述べています。

デザインシンキングにおいて大事なのは、解決すべき課題をいかに探すか、にあります。

相手の立場に寄り添い、相手がそうしているように世界を見つめ、相手が思考するように思考することが大切です。

共感をもって人や社会を丁寧に観察することで、自分たちの予想を裏切るような「課題」が見いだされたときにこそ、優れたプロジェクトは生まれます。


デンマーク・デザイン・センターCEOの
クリスチャン・ベイソンさんは
6章「KPIを立てていけない」で次のように述べています。

デザインシンキングの導入においては「解」がないという前提を受け入れることがとても重要です。
予想外の発見に驚かされることを楽しむようなマインドセットが必要なのです。

ちなみにKPIは「Key Performance Indicators」のことで、
目標達成のための管理指標を表します。

16ページの冊子ですが内容は高尚です。
言葉に重みがあります。

デザイン思考やデザイン経営の入門者にはやや難しく、
知識をある程度お持ちの方がぴんと来るハンドブックです。

KPIを設けないこと、失敗を恐れないことは、
新しい挑戦において有効で私は賛成です。
このハンドブックはよい指針を示していると思います。

しかし、このハンドブックを免罪符にして、
デザインにコスト感覚がなくなったり、
デザイナーが失敗続きでも仕方ないと考えたりしてほしくはないです。

そんなに余裕のある中小企業は多くないのが現実です。

従業員や債権者、株主の全員から
デザイン経営の理解を得ることは簡単ではありませんから、
中小企業のデザイン経営の導入では小さく始めて、
成果も出すことが重要です。

このあたりのノウハウは、
ハンドブックのご紹介から離れますので、
また別の機会に話したいと思います。

熱海銀座商店街の復活

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日のテーマは熱海銀座商店街の再生です。

machimoriの市来広一郎さんの講演を聞く機会があり、
その後、著書の「熱海の奇跡」を読みました。

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熱海はたいへん有名な温泉地ですが、バブル崩壊後、
長期的に観光客、宿泊客の減少が続きました。

その熱海の活性化に取り組み、
拠点としている熱海の中心部にある熱海銀座商店街は
10年前は3分の1が空き店舗でしたが、
今春に空き店舗ゼロになりました。

宿泊客数も回復傾向にあります。

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地元の人が熱海を好きになる、
再発見することから取り組み、補助金に頼らず、
「クリエイティブな30代に選ばれるエリア」を目指して
起業家を増やしていく活動を行っています。

新型コロナウイルスで観光客が減っている中で
熱海銀座の様子を視察に行きました。

市来さんがかつて開いていたCafe RoCAの跡地には
シェア店舗RoCAとして、cafe bar QUARTOと
La DOPPIETTAが店を構えています。

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空いていそうな時間に行ったので、人は少なかったですが、
別の時間帯に熱海銀座商店街を通ると
若い方を中心にたくさんの来街者がいました。

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Cafe RoCAの向かいにはmachimoriが運営する
guest house MARUYA(ゲストハウスマルヤ)がありました。

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補助金に頼り過ぎず、まず一歩進むことを
約10年続けてきた情熱と行動に敬服します。

場をつくったり、人との交流で熱海を盛り上げようと活動を続けています。

詳しくは著書をご覧ください。
まちづくりや商店街活性化にご興味ある方はぜひ。

下のサイトも参考になると思います。
FINDERS:荒廃した「熱海」のV字復活を支えた立役者に聞く、町興しのための「エリアイノベーション」
https://finders.me/articles.php?id=1133