GOOD DESIGN EXHIBITION 2022(2)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
GOOD DESIGN EXHIBITION 2022のレポート第2回です。

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今週はグッドフォーカス賞に選ばれたデザインの中からご紹介します。

グッドフォーカス賞(技術・伝承デザイン)を
受賞した株式会社千葉印刷の「さかなかるた」です。
https://sakanakaruta.jp/

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特殊印刷で魚の表皮をリアルに再現した魚のかるたです。
写真では銀のうろこが照明に反射しています。

メタリック印刷できらめきを、
厚盛り印刷でうろこのような凹凸を
表現しているそうです。

展示会場で触れなかったのが残念ですが、
印刷技術の高さやグラフィックデザインの魅力が
評価されたようです。

2020年度の東京ビジネスデザインアワードの最優秀賞も
受賞しています。
アワードのデザイン提案が商品化されました。

次もグッドフォーカス賞(技術・伝承デザイン)を
受賞した「トミタ式おろし金」です。

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刃を使わない安全なおろし金です。

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あじろ模様の突起で刃がなくても
すりおそせるそうです。

小さい食材をすりおろすことは
指を切りそうで怖かったのですが、
これなら、ケガの心配がなく子どもでも安心です。
また、スポンジで洗いやすいです。

動画を見ると、生姜やわさびなどがおろせています。

それでも本当に上手におろせるのか半信半疑です。

テレビショッピングの実演販売のように
上手にやっているのかなとも思ってしまいます。

実際に使わないと納得できない商品かもしれませんが、
これですりおろせるのなら、私はこのデザインが
グッドデザイン大賞にふさわしい、見事なイノベーションだと思います。

もうひとつのグッドフォーカス賞(技術・伝承デザイン)は
冨士経編株式会社の「keamu」(ケアム)です。
https://www.mille-vies.com/projects-3

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高齢の方・介護が必要な方向けのルームウェアです。
着る人、着せる人が着脱しやすい工夫と快適性、
おしゃれを追求しています。

よい挑戦と思います。

本日、最後にご紹介するのは
グッドフォーカス賞(防災・復興デザイン)を
受賞したピジョンの災害用授乳カップです。

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哺乳瓶を洗浄する水の確保が難しい災害時向けの商品です。
ピジョンは真面目な会社だなと感心します。

グッドデザイン・ベスト100のご紹介は次回以降にも続きます。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2022(1)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
GOOD DESIGN EXHIBITION 2022へ行きました。

10月7日から11月6日まで
東京ミッドタウン・デザインハブにて開催されました。

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2022年度グッドデザイン賞は1,560件が受賞しました。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2022は
グッドデザイン賞の中で「グッドデザイン・ベスト100」に
選ばれたデザインの展示です。

昨年度は事前登録が必要でしたが、
今年は事前登録なしで行けました。

これから数週にかけてご紹介します。

2022年度の「グッドデザイン大賞」は
アトリエe.f.t.、合同会社オフィスキャンプ、
一般社団法人無限による
「地域で子ども達の成長を支える活動 まほうのだがしやチロル堂」でした。

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貧困や孤独といった環境にある子ども達を、
地域みんなで支える魔法の駄菓子屋です。
奈良県にあります。

近年はこうした社会問題に取り組むデザインが
グッドデザイン大賞を受賞する傾向が強いです。

チロル堂の詳細は下のリンクをご覧ください。
https://tyroldo.com/
https://www.g-mark.org/award/describe/54517

次にご紹介するデザインは、
大賞は逃しましたがファイナリストとなった
日立のコードレス スティッククリーナー「PV-BH900SK」です。

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製品本体の外装や付属品に
再生プラスチックを40%以上使用しているそうです。

再生プラスチックを使うと強度や見た目に影響すると思いますが、
黒っぽい色にして、表面処理にも気を遣いながら、
美しく仕上げたことが評価されました。

私が注目したデザインは、
同じくファイナリストに選ばれた
ホンダのハンズフリーパーソナルモビリティ「UNI-ONE」です。
https://www.honda.co.jp/topics/2022/ce_2022-10-13.html

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手で操作することなく、意のままに全方位に移動できる乗り物です。

身体を傾けて体重移動すると動かせるそうです。
バランス制御技術と車輪機構がポイントのようです。
ジョイスティックによる移動もできます。

車椅子の利用者は手が自由になることや、
目線が高くなることで、解放感が得られ、
立っている人とのコミュニケーションも取りやすくなります。

まだ研究開発中で販売されていないようですが楽しみです。

ここからは、体が不自由な人に向けたデザインを3点ご紹介します。
3つとも素晴らしいデザインです。

ひとつめがグッドデザイン金賞を受賞した
株式会社Ashiraseの歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」です。

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靴に振動インターフェースを装着して
スマートフォンの専用アプリで目的地を入力すると、
目的地までの歩行をナビゲーションしてくれます。

これもまだ販売されていませんが楽しみです。

ふたつめがグッドフォーカス賞(新ビジネスデザイン)を
受賞した株式会社ミライロの
デジタル障害者手帳「ミライロID」です。

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障害者手帳をスマートフォンアプリ化したものですが、
マイナポータルAPIとも民間活用の第一号として連携し、
公証性を確立していることが素晴らしいと思いました。

手帳をアプリ化することは技術的には簡単でも、
役所に認めてもらうまでがとても大変だと思います。

障害者は手帳を持ち運ばなくてよくなり、
音声読み上げにも対応します。

さまざまなクーポンも配信しやすくなり、素晴らしいです。
私はちょっと感動しました。

三つ目は同じグッドフォーカス賞
(新ビジネスデザイン)を受賞した
株式会社コワードローブの「キヤスク」です。

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キヤスクは、身体の不自由に合わせて
既製服を着やすくするお直しを、
気やすく依頼できるオンラインサービスです。

障害や病気があっても、
好きな服を身体の不自由に合わせて
お直しして着られることは良いですね。

お直しする人たちは、自分の子のために独学で習得した
服のお直し技術を困っている人に提供したい
母親らを全国から組織したそうです。

グッドデザイン・ベスト100のご紹介は次回以降にも続きます。

経営理念を浸透させるにはなにをしたらよいか

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今回も2022年版中小企業白書をもとにした記事です。

以下のデータは、株式会社東京商工リサーチが2021年11~12月に、
中小企業・小規模事業者20,000社を対象に実施した
「中小企業の経営理念・経営戦略に関するアンケート」の結果に基づきます。

アンケート回収は5,318社(回収率26.6%)です。

経営理念・ビジョンに対する従業員の受け止め方や反応の調査結果です。

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「共感・共鳴しており、行動に結びついている」 47.0%
「共感・共鳴しているが、行動に結びついていない」25.4%
「理解はしているが、共感・共鳴はしていない」 12.9%
「認知はしているが、理解はしていない」 9.0%
「認知していない」 5.7%

2022年版中小企業白書p.Ⅱ-154

経営理念が浸透している(=従業員の行動に結びついている)中小企業は47.0%です。

この設問は、経営理念・ビジョンを
明文化している企業に尋ねています。
また、経営者の自己評価です。

経営理念のない会社などもあり、
中小企業全体で経営理念が浸透している企業は
実際はもっと少ないです。

私のご支援では、企業ブランドを経営理念をもとに構築しますので、
経営理念は重要です。

経営理念を社長が自ら考えて作ったとしても、
大事なことは社内に浸透させ、理念に基づく行動を
経営者や社員が実際にできるかどうかです。

経営理念が浸透している企業は、
浸透させるためにどのような取り組みを行ったでしょうか。

2022年版中小企業白書p.Ⅱ-158に掲載された調査結果を
もとに、抜粋したデータを下に示します。

(経営理念・ビジョンが)「全社的に浸透している」と回答した企業では、

「従業員との日々のコミュニケーションでの啓もう」52.4%
「経営者による年頭挨拶や社内会議での訓示」 51.6%
「自社ホームページでの掲載」 35.6%
「社内研修などを通じた教育」 35.5%
「経営理念・経営ビジョンに基づく規範・ルールの策定」32.4%
「経営者による率先垂範」 31.5%
「社内のパネルやポスターなどでの掲示」 26.3%
「社内報やパンフレット、メッセージカードの配布」16.8%
「その他」 2.6%
「特に取り組んでいない」 4.2%

となっています。
経営理念は地道に繰り返し伝えることで社内に浸透します。

社員の行動を変えるには、経営理念を作った後の
経営者の日々の情報発信や行動が重要であることが示唆されます。

取り上げた2022年版中小企業白書は下のリンクからご覧になれます。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/chusho/b2_2_3.html

デザイン経営に取り組む中小企業は12.2%

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
前回に続いて、2022年版中小企業白書にある
中小企業のデザイン経営に関する記載の紹介です。

中小企業がデザイン経営に取り組んでいるかの調査結果です。

すでに取り組み、定着している 5.8%
すでに取り組み始めているが、定着していない 6.4%
今後取り組むことを検討している 15.7%
現状取り組む予定はない 37.5%
分からない 34.6%

中小企業白書p.Ⅱ-86に掲載されたデータをもとに私が作成しています。

デザイン経営に取り組んでいる中小企業は12.2%です。

アンケートに回答していない企業は
取り組んでいない企業が多いように思われるので、
実際はもっと少ないと思われます。

「すでに取り組み、定着している」と回答した企業は、
ブランドの取引価格への寄与について、
「大いに寄与している」27.7%、「ある程度寄与している」47.0%と、
74.7%の企業で売価にプラスの寄与をしていることがわかります。
データ掲載はp.Ⅱ-90です。

デザイン経営による効果を尋ねたところ下の結果になりました。

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2022年版中小企業白書p.Ⅱ-89

企業のブランド構築やブランド力向上 69.0%
魅力ある商品・サービス・事業の創出 53.1%
従業員の意欲や自社への愛着心の向上 51.8%
従業員の顧客志向の向上 45.2%
企業の理念・ビジョンの明確化や再構築 44.2%
収益性の向上 34.0%
新市場・販路の開拓 36.0%
社内コミュニケーションの活性化 29.7%
技術・素材の用途開発や知的資産の活用 27.7%
特に効果を感じない 0.7%
その他 0.3%

この結果から中小企業白書は次のように述べています。
デザイン経営に取り組むことにより、
ブランド力の向上が図られるだけでなく、
新たな商品などの創出によるイノベーションや
従業員の意欲向上といった
インターナル・ブランディングにも
つながっている様子がうかがえる。

企業やブランドの思いをデザインで表現したり、
商品・サービスにデザイン重視する取り組みを行いたいです。

調査は、株式会社東京商工リサーチが2021年11~12月に、
中小企業・小規模事業者20,000社を対象に
アンケート調査を実施(回収5,318社、回収率26.6%)した
「中小企業の経営理念・経営戦略に関するアンケート」です。

取り上げた2022年版中小企業白書は下のリンクからご覧になれます。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/chusho/b2_2_1.html