デザイン契約書の無料のひな型を紹介 自社にあう契約はどれ?

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
中小企業とデザイナーの双方から、
デザイン契約の契約書について相談を受けます。

そこで参考になりそうな、
ネットにあるデザインを発注する契約書で、
無料のひな型をご紹介します。

design_contract2023.jpg

この記事では下の5つのひな型をはじめ、
その他、優れたwebサイトをご紹介します。

・文化庁「著作権契約書作成支援システム」
・中小機構「デザイン支援ツール」
・日本弁理士会「デザイナーにとってのデザイン契約」
・東京都中小企業振興公社「デザイン活用ガイド」
・大分県デザイン協会「オープンソース業務委託契約書」
・その他のひな型や参考になるwebサイト

文化庁「著作権契約書作成支援システム」
https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/c-template/

著作権契約を支援するシステムで
利用条件などをweb上で入力すると
wordで契約書案がダウンロードできます。

2006年につくられたシステムが、
SNSなどネットの進展に合わせて、
2022年4月1日にひな型をリニューアルされています。

イラストの作成のほか、映像の作成、写真の撮影、
イラストの公募、募集要項の作成にも使えます。

著作権のみに焦点を当てているので、
プロダクトデザインやロゴのデザインなど、
意匠権、商標権、不正競争防止法などが関わる分野では、
この契約書の条文だけでは足りませんので注意しましょう。

プロではなく一般人同士の契約を想定しているので
システムが提示する契約書文例は少し簡素です。

プロのデザイナーとしては、
もう少し細かく決めた方がよいかもしれません。

同じwebページ上にある
「誰でもできる著作権契約マニュアル」は
さすが文化庁で解説が親切でとても充実しています。

グラフィックデザイン系の契約書作成をするなら
一度は読まれることをお勧めします。

「誰でもできる著作権契約マニュアル」は
2006年3月に作成されたものです。

その後に改正された著作権法の内容は
巻頭に補足されていますので、その点は注意して読んでください。

他の人が書いているレビューでは、
「著作権契約書作成支援システム」では、
著作権はクリエイター側に残るものしか提示されない
というような記述も一部見かけましたが、
発注者が著作権を買い取る契約の文例も作成できます。


中小機構「デザイン支援ツール」
https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/soft_asset4/index.html

デザイン活用支援ツールの(9)に
デザイン契約書のwordのひな型があります。

中小企業ではよく見かけるタイプの契約書です。

つくりは少し甘い感じで、
デザイナー側からみると不満のある契約と受け止める方もいるでしょう。、

wordでダウンロードでき、契約書作成のベースにしやすいです。


日本弁理士会「デザイナーにとってのデザイン契約」
https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/03/contractfordesigner20150421.pdf

JIDA(日本インダストリアルデザイナー協会)と
検討しながら作成したデザイン契約の考え方です。

世間によく出回っているデザイン業務委託契約書をもとに
デザイナーに向けてデザイン契約のポイントを
丁寧に解説しています。

デザイナーに配慮した内容です。
プロダクトデザイン、特許権、意匠権などの
取り決めにも対応した解説です。

ただ、留意を促すために示している契約書文例は
中小機構「デザイン支援ツール」のひな型と似ています。

また、解説は丁寧ですが、
解説に基づく契約書の文例がない箇所も多いです。

そのため、解説を踏まえて
具体的な契約書条文を作成することが必要で少し骨が折れます。

法律の知識をある程度もっていることを
前提としている感じも受けます。

契約事項の論点整理にはお勧めです。


東京都中小企業振興公社「デザイン活用ガイド」
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/design/guide.html

巻末に「デザイン業務委託契約書」、
「デザイン・コンサルティング契約(1)」、
「デザイン・コンサルティング契約(2)」、
「秘密保持契約書」の例が記されています。

プロダクトデザインを想定した内容ですが、
親切な解説もついています。

デザインコンセプト、基本デザイン、
詳細デザイン、デザイン監理、
といった工程別の条文などは参考になります。

chapter3「デザイナーと契約しよう」に記されている
知的財産を守るためのチェックリストも
契約事項の論点整理に使えます。

デザイン活用ガイドもpdfファイルです。


大分県デザイン協会「オープンソース業務委託契約書」
https://www.design-oita.jp/topics/645

デザイン業務委託契約書だけでなく、
仕様書、工程表、見積書のひな型も提供してくれています。

mac向けもあり、デザイナーにはありがたいです。

中小機構のひな型より緻密に作られています。
webサイト制作にも対応しようとしています。

全体的にデザイナー側に有利な契約文例になっています。
著作権がデザイナーに残る契約書のひな型です。

著作権の買い取りを希望する中小企業は多いので、
その点は契約条文をよく理解して使用しましょう。


その他、弁護士や行政書士が公開している、ひな型も見ていきましょう。

骨董通り法律事務所
「デザイン分野における契約書作成・交渉のための基礎知識
-業務委託契約書のひな型を題材に各条項のポイントを解説-」

https://www.kottolaw.com/column/230227.html

著作権などを得意分野としている弁護士事務所です。
さすがの一言です。無料で公開はありがたいです。


契約書業務マニュアル(行政書士 竹永大)
フリーランスにおすすめのクライアントとの契約書のひな形
https://takecyankun.hatenablog.com/entry/2019/06/19/181654

著作権がデザイナーに残る契約書のひな型です。
第5条(利用許諾)や第6条(独占的利用許諾)、
第7条(著作者人格権)の条文は参考になると思います。


また、ひな型ではありませんが、
下の弁護士の解説も役立ちますので参考にしてください。

BUSINESS LAWYERS
デザイン会社やデザイナーが仕事を受ける場合に注意すべきポイント
https://www.businesslawyers.jp/practices/654


さまざまなひな形をご紹介しました。

相談を受けるときに私は、
相談者のこだわりを大切したうえで、
トラブルになりそうな点を意識して、
契約書条文に盛り込むようお伝えしています。

契約は相手との話し合いで決まるものですし、
内容は原則として自由ですから正解はありません。

ご紹介したひな型などを
いくつか見たうえで自社に適した契約を考えましょう。

権利を欲しがる気持ちはよくわかりますが、
権利の取得、保持にはお金もかかるので、
権利を持たない選択肢も考えたいです。

中小企業の場合は、それほど大きなお金が動かず
デザイン契約も頻繁に行わないなら、
これらの無料のひな型ベースで作成してもよいと思います。

プロのデザイナーは、自分の仕事の権利や報酬に関わる
重大事項なので、無料のひな型ベースだけでなく、
著作権や契約書に関する書籍で一度は学ぶことをお勧めします。

優れた契約書文例が記されている書籍もあります。

きちんと契約書を作成することで
デザインを依頼する側もデザイナーも、
トラブルなく、お互い気持ちよく仕事したいものです。

キッズデザイン賞やキッズデザインマークの費用

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。
キッズデザイン賞の募集が始まっています。
https://kidsdesignaward.jp

kids-design-mark_y.jpg

キッズデザイン賞の応募や
キッズデザインマークの使用料をお伝えします。

キッズデザイン賞は、
キッズデザイン協議会が主催しており、
子どもたちのためになるデザインや、
子どもを産み育てやすい社会になるようなデザインを表彰しています。

政府が後援しており、
最優秀賞の内閣総理大臣賞をはじめ、
経済産業大臣賞、少子化対策担当大臣賞などもあり、
それなりの認知度と評価のある賞です。

昨年は応募数383点のうち214点が
キッズデザイン賞を受賞していますが、
審査が甘いとは私は思っていません。

キッズデザイン賞の審査料は60,500円です。

しかし、東京都内の中小企業は
「子供の安全に配慮した商品等の顕彰に係る東京都審査料補助」
を受けると、審査料の全額補助を受けられます。

審査料とは別にかかる費用としては、
審査会場(東京都中央区立産業会館)への
作品現物などの搬入、搬出費用があります。

キッズデザイン賞を受賞すると
キッズデザインマークが使えます。

キッズデザインマークの使用料は55,000円(税込)~です。
ただし、中小企業は33,000円(税込)です。

キッズデザインマーク使用料は1度支払うとずっと使えます。
(1年単位ではありません)

先週ご紹介したグッドデザイン賞、Gマークに比べると
価格はとても安いので、
子供向けの商品・サービスを開発している中小企業の中には、
グッドデザイン賞には応募しないけれども、
キッズデザイン賞に応募する企業も見られます。

Gマークほどの認知度はありませんが、良い賞だと思います。

対象となる商品・サービスをお持ちでしたら、
応募を検討してよいでしょう。

2023年のキッズデザイン賞の募集は、3月1日から5月15日までです。

グッドデザイン賞の費用

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
グッドデザイン賞の応募などの価格をお伝えします。

gmark2022.jpg

2023年度グッドデザイン賞の応募受付が始まりました。
https://www.g-mark.org/

中小企業経営者から、
グッドデザイン賞の応募や受賞にいくらかかるか、
たまに質問されますので記事にしました。

一次審査料は11,000円、二次審査料は60,500円、
受賞パッケージ料は165,000円で、合計で236,500円です。

価格は消費税込です。
これは最低価格です。実際にはオプション料がさらにかかります。

オプション料も含めて詳しく見ていきます。

一次審査は書類審査です。

二次審査は実物の審査で
千葉県の幕張メッセで8月2日から4日まで行われます。

実物の搬入と搬出の費用に加えて、
展示台、電気回線、インターネット回線などを使用すると
オプション料がかかります。

床置きするものでなければ
展示台は必要で6,600円かかります。

電気回線は13,000円くらい、
ネット回線は40,000円くらいかかります。

グッドデザイン賞を受賞すると必ず受賞展に出展します。
受賞展の出展料は先の受賞パッケージ料に含まれますが、
やはり展示台、電気、ネット回線は別途有料です。

受賞するとGマークは約1か月間無料で使えますが、
その後にGマークを使用するには使用料の支払いが必要です。

Gマークの使用料は1年間で220,000円です。
(受賞デザインの販売価格が50万円未満の場合)

ただし、中小企業は半額になります。
また受賞後10年経つと無料になります。

ということで、中小企業がグッドデザイン賞を受賞して
Gマークを使うには、
受賞までの236,500円に、オプション料と、
Gマークの使用料110,000円/年で、
応募するデザインによりますが、
40万円くらいはかかると思った方がよいでしょう。

2023年度グッドデザイン賞 費用について
https://www.g-mark.org/apply/gda/fees

Amazonブランドとは

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
Amazonブランドを聞いたことはありますか?

Amazonで販売する企業は、
Amazon Brand Registry(アマゾンのブランド登録)に
ブランドを登録することで
自社商品のブランド保護とブランド成長につなげられます。

Amazonのブランド登録
https://brandservices.amazon.co.jp/

amazonbrand1.jpg

Amazonブランドとは、このAmazonブランド登録を指すことが多いです。

登録すると、ストアページ(ブランドの紹介ページ)を
つくれますし、
商品ページの編集を独占できるので、
相乗り業者の不適切な説明や、
転売業者によるブランド棄損のリスクを下げられます。

AmazonはAmazon内での商標権の侵害を防ぐだけでなく、
模倣品の被害を防ぐ取り組みも行っています。

Amazonブランド登録にあたっては、基本的に
文字商標や文字と図形を組み合わせた商標の登録が
済んでいる必要があります。
(出願中でも可能な場合も一部あるようです)

Amazon Brand Registryは無料ですので、
行った方がよいでしょう。

(参考)中小企業を進化させるAmazonのDXサポート Vol.15 ブランドの保護・活用による中小企業の成長戦略