2023年をブランドで振り返る

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今年の最後の記事です。2023年のブランドを振り返ります。

今年はX(旧Twitter)のブランド変更が話題になりました。

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「どう思いますか」と聞かれましたが、
私は次のように答えています。

Twitterには世界的な知名度があり、
かなりのブランド力がありました。
これを捨ててしまうので、まずもったいないなと思いました。

しかし、イーロン・マスク氏は、
X(旧Twitter)を現状のSNSのままではなく、
スーパーアプリとして機能を大きく変えたいようですので、
Twitterのイメージから脱却したいのであれば
ブランド名の変更は理解できます。

ただ、「X」という名前はアルファベット一文字で、
他と区別がつきにくく、世界で商標登録する、
もしくは商標使用許諾を受けるのも難しいので、
他の名前にすればよかったのではないかと思っています。

日本では商標法第3条第1項第5号で
「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」
は原則として商標登録できないとしていて、
商標審査基準にも、ローマ字の1字は
「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」
にあてはまると例示されています。

ですから文字1文字してではなく、
図案化して図形商標として登録することを目指しますが、
これも類似の商標などがあって、特許庁に拒絶されたり、
商標権侵害を他社から訴えられることもありそうです。

登録できても類似の商標を禁止できる範囲は
かなり小さくなりそうです。

さらに、日本だけならまだしも
世界で商標使用したいとなるとかなり苦労しそうです。
中小企業にはお勧めしません。

もうひとつの話題は、
ナンバーワン企業の法令違反、人権侵害に
揺れた一年でもありました。

ビッグモーター、ジャニーズ事務所、宝塚歌劇団、ダイハツ、
いずれも業界首位の企業です。

特にジャニーズ事務所や宝塚歌劇団は、
唯一無二の圧倒的な存在感がありました。

力が強すぎて、経営者や組織の不適切な行為を
指摘する人がいなくなるのか、
指摘しても経営者が省みないのか、
原因は各社によって異なるでしょうが、
強いブランドを持つ企業ほど、
公正さや倫理に厳しく仕事をしなくていけない
と感じさせられました。

経営者は他山の石としなくてはいけません。

今年のブログはこの記事で最後です。ありがとうございました。
皆様、良い年をお迎えくださいませ。

2023年をデザインで振り返る 画像生成AIの衝撃

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
2023年をデザインで振り返ります。

今年のデザインは、なんといっても画像生成AIでしょう。

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先週もグッドデザイン・ベスト100から
画像生成AI「Stable Diffusion XL」をご紹介しました。

他にもいくつもの画像生成AIがあります。

中小企業が日本語で無料で簡単に使いやすい
画像生成AIとしてAdobe Fireflyを紹介します。
https://firefly.adobe.com

Adobeアカウントの登録が必要です(無料)。

Adobeアカウントに登録してから
日本語を打ち込めば下のように画像を4つ提案してくれます。

下は「人工知能が絵を描く」とプロンプトを書いて
生成された画像のスクリーンショットです。

adobefirefly20231201.jpg

ここから細かい調整もでき、
似た画像をもう一度生成してもらうことができます。
画像のダウンロードもできます。

無料では1カ月の画像生成は25回までです。
月680円支払って有料プランに申し込めば、生成できる画像の数は増えます。

Adobe Fireflyは著作権侵害の心配がなく、
商用利用も可能ですから、中小企業にはありがたいです。

インプレス「Web担当者Forum」Adobe Fireflyで生成した画像は、著作権的に問題ないって本当ですか?/アドビの西山正一さんに聞いてきた
https://webtan.impress.co.jp/e/2023/06/23/44833

イメージ画像、挿絵は、フリー素材から探すことが
多かったと思いますが、
自分の理想に近い絵を生成してもらうことができるので、便利になりました。

サービスの進歩が速いので、使いこなせるように
人間が進歩することも簡単ではありませんが、
グラフィックデザイン業界が変わっていきそうです。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2023(5)

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。
GOOD DESIGN EXHIBITION 2023のレポートの続きです。

今週もグッドデザイン・ベスト100から
私が注目したデザインをご紹介します。

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東京ミッドタウンの展示会場はにぎわっていました。
写真は人の顔が映らないように、
あえて人が映っていない瞬間の写真を使っています。

本日、最初にご紹介するのは富士屋ホテルです。

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登録有形文化財の建物を含む、明治、大正、昭和の
さまざまな建物がいくつもある名門リゾートホテルです。

私もかつて行ったことがありますが、
とても美しく、品格があって豪華なデザインの建物でした。

この歴史的建物の意匠の保存を優先し、
補強部材を露出させない改修を行っています。

また、戦後に改変されていた本館ロビーを、
昭和初期の姿への復元によって、
本来の広がりのある快適な空間を蘇生させたそうです。

古い木造建築の耐火性を上げる改修も施されています。
現在の法規制をそのまま満たそうとすると、
建物が大きく変わってしまうことから、代替措置を施すことで、
建築基準法の法適用除外指定を神奈川県にお願いをしたそうです。

不特定多数の人が利用する
大規模宿泊施設への適用は全国でも前例がなく
かなり大変だったと思われます。

文化財的価値の保存と安全性確保の両立が評価されました。
また行ってみたいです。

コロナの影響で、2020年7月にリニューアルオープンしたものの、
あまり話題になりませんでしたが、いまは大人気だと思います。

次は小田急電鉄の「ハンターバンク」です。

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今年は熊出没による被害も日本全国で相次ぎましたが、
農家などが受ける鳥獣被害は大きいです。

ハンターの担い手が減る中で、小田原市と連携して、
ペーパーハンターと農林業者とのマッチングを行う取り組みです。

地元のベテランハンターによる狩猟技術のサポートを実施し、
ペーパーハンターのスキル向上を支援しています。

また、狩猟に興味を持つ狩猟免許非保有者も
参加できるようにして、狩猟人口の裾野を広げることにも
取り組んでいます。

社会課題の解決に寄与する取り組みで素晴らしいと思います。

次はパナソニックのパーソナル食洗機です。

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ひとり暮らし向けの食器洗い乾燥機です。
食器6点が入るA4サイズの大きさで台所に置きやすく、
分岐水栓工事不要のタンク式給水です。

月額1,290円の利用料で小さく置きやすい製品は
手軽においてみようという気にさせるかもしれません。
顧客層を広げるための工夫が感じられます。

38,000円程度で買うこともできます。

次は画像生成AI「Stable Diffusion XL」です。

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英語でプロンプト(指示)しなくてはいけないので
使いにくいですが、先月に日本語版のリリースが発表されました。

日本特化の商用利用可能 text-to-image モデル
「Japanese Stable Diffusion XL」をリリースしました
https://ja.stability.ai/blog/japanese-stable-diffusion-xl

グッドデザイン・ベスト100の受賞対象は英語版のものです。
個人のパソコンの計算力だけで画像生成AIが使えるようにしたことはすごいそうです。

生成AIは2023年のデザインの大きな話題になったので、
後日取り上げます。

最後のご紹介は、グッドデザイン・ベスト100ではありませんが、
同じ会場で展示されていたグッドデザイン・ニューホープ賞です。

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グッドデザイン・ニューホープ賞は
昨年からできた学生向けの賞です。

出品料が無料で、最優秀賞などには賞金も出るのもいいですね。

今年は、家で育てるキノコの菌糸体を素材にしたおもちゃキット
が最優秀賞に選ばれています。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2023(4)

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。
GOOD DESIGN EXHIBITION 2023のレポートを3週ぶりに再開します。

レポートの第1回から第3回は下のリンクからどうぞ。
GOOD DESIGN EXHIBITION 2023(3)
GOOD DESIGN EXHIBITION 2023(2)
GOOD DESIGN EXHIBITION 2023(1)

今回はグッドデザイン・ベスト100から
特に技術で目を見張ったデザインをご紹介します。

本日、最初にご紹介するのは
リコーのSTAYTHEE(ステイシー)です。
https://staythee.ricoh

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水中撮影で360度カメラなどに装着する浮力調整器です。
浮くわけでも沈むわけでもない「中性浮力」の状況にします。

人から離して撮影できるので、警戒心の強い生物の
撮影がやりやすくなったり、
自分の泳ぐ姿や集合写真が撮れるようになったりします。

これは良い商品ですね。売れると思います。
他社のカメラにも対応しているそうです。

次にご紹介するのは富士フイルムの
構造色インクジェット技術です。

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構造色とはシャボン玉やCDのように、
そのものの色素の色ではなく、光の屈折などで
そのように見える色です。

角度が変わると色の見え方も変わります。

正確な説明をする自信がないので、
詳しくは下のリンクをご覧いただきたいです。
https://www.g-mark.org/gallery/winners/18907?years=2023

構造色をインクジェットで印刷できるのは
すごい技術だと思います。

クジャクや昆虫などの図鑑や、
芸術作品などでの活用が見込まれます。

次にご紹介するのはシャープの屋内光発電デバイスです。

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屋内の小さな光から発電し、
安価に大量に生産できるデバイスを開発しました。

液晶ディスプレイの構造や材料、プロセスをもとに
つくっているそうです。

IoT(Internet of Things)が進む中で、
さまざまなものに電力が必要になるので、期待したい技術です。

本日の最後にご紹介するのは、
ニコンのデジタル顕微鏡です。

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接眼レンズがなく、モニターで観察できます。

病理医、検査医、検査技師など
長時間、目を凝らして見ている人の
体の姿勢や目の負担を軽減できそうです。

デジタルモニターへ投影されるため、
離れた医師との情報共有もやりやすくなります。

これも良いデザインですね。
来週もレポートは続く予定です。

目次(0941~0960)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日から師走です。がんばっていきましょう。
今日は目次をお届けします。
気になる記事があったらクリックしてください。

2023年7月14日~2023年12月1日分
記事ナンバーとタイトル

960 目次(0941~0960)

959 物価高騰対策セミナーを日の出町商工会で講演します

956~958は2023年のグッドデザイン賞のレポートです。

958 GOOD DESIGN EXHIBITION 2023(3)
957 GOOD DESIGN EXHIBITION 2023(2)
956 GOOD DESIGN EXHIBITION 2023(1)

955、956は代官山の旧朝倉家住宅と蔦屋書店の訪問レポートです。

955 蔦屋書店のシェアラウンジ
954 近代日本の美しい家と庭がある旧朝倉家住宅

953 あおしんビジネス支援マッチング大会で無料経営相談を行います
952 10月からのステマ規制、中小企業が気を付けることは?

945、951はインボイスの話題です。

951 山口達也はインボイス登録しています

946、950はYouTubeのお勧め本の紹介です。

950 フツーの人がYouTube登録者数1万人を突破する秘訣

949 実演、ライブは消費意欲喚起のキーワード
948 小規模事業者店舗改修助成金
947 関東大震災から100年 中小企業も備えよう

946 世界一やさしい YouTubeビジネスの教科書 1年生

945 取引先のインボイス登録を確認しよう

943~944は日本民藝館の訪問レポートです。

944 日本民芸館西館
943 日本民芸館「美しき漆 日本と朝鮮の漆工芸」

942 かながわPay第3弾 20%還元をアピールしよう
941 デザイン経営スクール

940 目次(0921~0940)