客はアートでやって来る

こんばんは。中小企業診断士の山口達也です。
本日、パリ五輪が開幕します。楽しみです。

夏休みらしい話題の本を紹介します。

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客はアートでやって来る
山下 柚実、東洋経済新報社

「保養とアートの宿」を掲げる
栃木県の板室温泉の大黒屋について取材した一冊です。
http://www.itamuro-daikokuya.com

大黒屋は那須塩原駅からタクシーで30分です。

上の本を読んで私は泊まってみたいと思うものの、
実現していません。
(今日は宇都宮で仕事があり、比較的近くに来ましたが満室でした)

いつか泊まりたいです。

創業して470年余り、歴史ある宿で湯治客も多いですが、
現代アート、「もの派」の作品などを多く宿に置いています。
施設内には菅 木志雄 倉庫美術館まであります。

現代アートを見たくて多くのお客様が来ていることを
紹介したいというより、
「アートスタイル経営」を掲げる室井社長の考え方を
この本から感じとれると面白いなと思って紹介しました。

現代アートを買って、並べておくことを単に真似をしても
旅館経営がうまくいくわけではないでしょう。

室井社長の独特の考え方、スタイルがあるから
ずっと黒字経営ができているのだと思います。

「アートを使って、温泉旅館をマネジメントしている」
という考え方やスタイルを短く説明するのは難しく、
ご興味ある方は本を読んでいただきたいです。

2億円以上アートに投資したようです。

従業員や銀行などに、現代アートへの投資を
理解してもらうには苦労したことも書かれています。

アートのことを知らず、無縁だった社長が
なぜアートスタイル経営を掲げるようになったのか、
から書かれています。

アートと経営は近年、話題になったテーマですが、
関心がある方は読んでください。
触発されるものがあると思います。

デザイン上場企業に見る、デザインに力を入れれば経営はうまくいくのか?

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は辛口な記事です。

私は企業経営においてデザインの重要性を訴えてきました。
特に中小企業経営では
デザインを軸に競争優位を築くことができると思っています。

ただ、気になるのが、主にデザイン業界側から提示される
「デザインに力を入れれば経営が良くなる」
「経営者がデザインを理解すれば業績は伸びる」
といったニュアンスの主張です。

私は、デザインを強く意識してデザインに注力しても、
デザインだけで経営がうまくいくわけではないと考えています。

ニッチ分野、小さな市場を狙うにはよいのですが、
大きな市場、売上を狙う場合は
デザイン以外の要素の重要性も大きいと思っています。

「デザイン」をどうとらえるか、
デザインの定義の問題もありますが、
ボリュームゾーンの顧客が求める以上のデザイン性は、
価格が高くなるだけであまり売れない、という感じです。

技術や組織、経営資源の配分などの経営戦略
といった要素も大きいです。

デザインにかなり注力して
大きくなった(成功した)上場企業でさえ、
アマナ、Francfranc(旧バルス)、バルミューダを見ると、
安定した業績を残すことは難しいです。

これらの会社のデザインは好意的に評価されることが多いように感じます。

BRUNO(旧イデアインターナショナル)も
RIZAPグループの子会社なってから業績が
回復した印象があります。 

グッドパッチにも注目していますが、
やや伸び悩んでいる感じがします。

カッシーナ・イクスシーは直近まで
比較的安定した業績を残せていたと思います。
(昨年に上場廃止したので、昨年以降の業績はわかりません。
今は円安が業績を直撃しているかもしれません)

名前を挙げた企業には申し訳なかったですが、
私はこれらの企業は好きですし、これからも期待しています。

ただ、経営者がデザインに造詣が深くて、
デザインに注力している企業だから好業績になる、
と考えるのは単純すぎると思います。

経営はそんなに単純ではありません。

中小企業のための「値上げ・値決め」の上手なやり方がわかる本

こんにちは。中小企業診断士の山口達也です。
先週は価格交渉講習会を紹介しましたが、
それに関連してお勧めの書籍をご紹介します。

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中小企業のための「値上げ・値決め」の上手なやり方がわかる本
西田 雄平、日本実業出版社

製造業などで企業向けの取引をしている中小企業が
値上げ価格交渉をしたい時に読んでいただきたい一冊です。

中小企業が実際にできる実践的な内容が書かれています。

著者は製造業の購買部門に在籍経験のある
経営コンサルタントで、理論を振りかざすのではなく実務的な内容です。

交渉に入る前の事前準備に記されている内容は、
実際にやるとそれなりに手間がかかりますが、
私もお客様に必要だとお伝えすることが多いものばかりです。

交渉の進め方や価格改定文書の書き方まで
書いてありますので、役に立つと思います。

王道の考え方と手順が記されていて、
テクニックに偏っていない点が好感が持てました。

中小企業庁主催の価格交渉講習会

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は中小企業庁が主催する「価格交渉講習会」のご紹介です。

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適正取引支援サイトの中に価格交渉講習会のページがあります。
https://tekitorisupport.go.jp/kakakukoushou

価格交渉講習会は基礎編と実践編があります。
基礎編は対面かオンライン、実践編はeラーニングでの受講です。

従業員の賃上げ、原材料費や仕入値の上昇、
さまざまな経費の上昇をすべて自社の生産性向上だけで
まかなうのは難しい中小企業が多いです。

お客様にご負担をお願いすることになるのですが、
企業間取引の場合、それぞれのお客様との価格交渉になります。

どのように交渉したらよいか、
どのように準備したらよいか、などを解説しています。

1、2年前に急激な物価上昇があったので、その時に
原材料費については価格転嫁を認めてもらった企業も
少なくありませんが、再度、値上げをお願いする、
特に自社の賃上げ原資を認めてもらうのは、簡単な交渉でありません。

私も商工会などで、値上げに関するセミナーを講演してきましたが、
お忙しくて会場に来られない中小企業も多いので、
オンラインセミナーやeラーニングの受講はありがたいですね。

中小企業庁主催でもちろん無料です。
気軽に受講されてはいかがでしょうか。

価格交渉講習会とは別に下請法講習会もありますので、
仕事を依頼する企業はこちらも学びましょう。