都下水道局のワッペンに考える「生活者とデザイン」(1)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
全国的に梅雨明けしていない地域が多く、
今年は冷夏になりそうですね。

今日から5回にわたって連載記事を書こうと思います。

テーマは、
「都下水道局のワッペンに考える『生活者とデザイン』」です。

第1回目としてまず、都下水道局のワッペン問題が
どのようなものだったか確認しましょう。

2009年4月10日の読売新聞朝刊が、

東京都下水道局が、職員約3,000人の制服に付けるワッペン2万枚を作製したものの、そのデザインが都の内規に反していたため、新たに約3,400万円を支出して作り直していた、

というニュースを報じたことから、この問題は一気に話題になりました。

都下水道局ワッペン.jpg
当初作製したワッペン(上)と作り直したワッペン(下)
大きさ縦2.8センチ、横8.5センチ
47NEWS(共同通信)より引用
http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009041001000269.html

以下、詳細を読売、朝日、日本経済、東京の新聞各紙と
共同通信の記事を基にまとめました。

下水道局によると、当初のワッペンは昨年に作製したもので、職員のアイデアで「東京都下水道局」のロゴの下に「汚れた水がきれいになって流れる」イメージを表現しようと、水色の波線を描いた。

しかし、制服への縫い付け作業が始まった昨年11月の局内の会議で、ワッペンのデザインが都の「基本デザインマニュアル」に反することが分かり、波線のないロゴだけのワッペンに作り直した。

都のイチョウのシンボルマークの取り扱いを定めた「基本デザインマニュアル」には、「他の要素を加えない」という規定がある。

この内規「基本デザインマニュアル」を所管する生活文化スポーツ局では、内規は例外を認めないものではない、と説明している。

下水道局は「ワッペンは長期間使用するもので、内規に反していることを知りながら放置するわけにはいかなかった。大きな追加支出をしてしまったことは申し訳ない。」としている。

都は今年3月、当初のワッペンのデザインを決めた当時の部長と課長を訓告処分にした。


そして石原慎太郎都知事は、読売新聞の報道を受けて、
記事が掲載された4月10日午後の定例記者会見の冒頭発言で
以下のように述べています。

「私は今度(波線のあるデザインのワッペン)のほうがよっぽどいいと思うんだけどね。」

「下に青い水が走っていたらね、東京の下水、きれいだなって感じするし、イチョウの葉っぱがあっていいじゃない。」

「ばかだね、規格に合わないからつくり直せってんで、3,400万円かけてつくり直している。」

(新しく波線を加えたデザインを考えたことについて)「気の利いたこと」


以下、その後の記者との質疑応答です。

(記者)ワッペンの件、知事として、今後、この問題について何らかのけじめをつけるお考えみたいなものはおありでしょうか。

【知事】ばかな無駄をあえて行った、その役人の悪い意味の律儀さは世間じゃ通用しないってことで。訓戒処分ぐらいは当然します。

(記者)この問題、なぜ柔軟に対応できなかったと思われますでしょうか。

【知事】東京都の役人も我々の美徳は継続性と一貫性という、ばかなのを信じてるやつがいるわけだよ。世の中こんだけ早く変わっているときに継続性、一貫性みたいなことで、過去のものを踏襲していいデザインが出てくるわけもない。

(記者)都民の声を聞いてましても、やはりこの厳しい経済情勢のもとで、3,400万円あったら、ほかのことに使ってほしいという怒りの声が多かったんですが。

【知事】全くそうですな。だから、それをどう受けとめるかってことは、当人呼んで私が骨身にしみて、反省するようにはさせます。

(記者)知事が担当者だったら、もうこのデザインはつくり直さないということですか。

【知事】「ああ、よくなったじゃないか」と言うよ。こっちのほうがよっぽどいいと思う。

記者会見の内容は都のwebサイトの会見録を基に私がまとめました。
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/TEXT/2009/090410.htm


さて、あなたはこのワッペン問題をどうお考えになりますか。

様々な論点があります。

もちろん、失敗し費用を多く支出した悪い話ではありますが、
私は生活者感覚とデザインについて考えるには
適した題材と考えます。

東京都議会議員選挙も先月終わり、落ち着いたところで、
次回からじっくり考えていきます。

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