都下水道局のワッペンに考える「生活者とデザイン」(2)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

都下水道局のワッペンから
生活者感覚とデザインを考える記事の続きです。

東京都内のお手洗に貼ってあるシールです。
(ちなみに今回の水色波線のルーツは、このシールのようです。)
下水道局シール.jpg

この連載は次の予定を立てています。
前回の(1)をご覧になっていない方は、下のリンクをどうぞ。

(1)事象紹介
(2)論点確認
(3)市民の意見
(4)マスコミの意見
(5)私の意見

今日は論点整理です。

このワッペンの件は、処分のあり方や
ワッペンの価格の多寡など様々な論点がありますが、
当ブログでは論点を次の大きく3つに絞ります。

論点1.ワッペンの作り直しの是非
(制服は5年間を使うものと仮定します)

この論点に対する意見を4つに分類します。

意見A:波線を追加したワッペンは良い。したがって作り直す必要はない。

意見B:波線を追加したワッペンは悪いが、作ってしまったものは仕方ない。費用をかけて作り直すのではなく使い続けるべき。

意見C:波線を追加したワッペンは悪い。作り直しの費用が1,000万円以下に抑えられるなら作り直すべき。それ以上支出するのなら作り直すべきではない。

意見D:波線を追加したワッペンは悪いので、作り直しに3,400万円かかるとしても作り直すべき。


論点2.波線を追加したマークは今までの情報発信と大きく異なるか

この論点に対する見解は大きく2つに分けます。

大きく変わる派(情報伝達が大きく変化し重要な問題だ)

変化は小さい派(たかが下に波線1本。たいしたことではない)


論点3.シンボルマークの管理体制は適切であったか

論点3は意見を分類しません。

このうち、「論点1.ワッペンの作り直しの是非」
「論点2.波線を追加したマークは今までの情報発信と大きく異なるか。」
の2つの論点については、世論やマスコミの主張を集めていきます。

これらの声を集めることで、デザインが人に与える影響の大きさや、
デザインに対する生活者の価値観を探っていきます。

「論点3.シンボルマークの管理体制は適切であったか」は
最後の私の意見の中で述べるつもりです。

まず、東京都はこれらの論点について
どう考えているか確認しましょう。

東京都下水道局は4月30日付で
webサイトに次のお詫びを掲載しています。

以下のページより引用しています。
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/oshi/infn0412.htm

「ワッペンの変更によって、約3,400万円の追加費用の支出を行いましたが、このことは、効率性と経済性を追求すべき公営企業には相応しくない対応でありました。都民の皆さまに心よりお詫びを申し上げます。
今後、改めてコスト意識の徹底など都民の皆さまの信頼回復に向けて、全力で取り組んでまいります。」

この文章からは以下のように判断できます。

論点1:意見D(3,400万かけて作り直した)は誤りであった。
(現在の考えは、意見A、意見B、意見Cのいずれかである)

石原都知事は、前回記事でご紹介した記者会見を見ると、
以下の見解と思われます。

論点1:意見A(波線のあるデザインのほうがいい。作り直す必要はなかった。)

そして、知事も下水道局も
「論点2.波線を追加したマークは今までの情報発信と大きく異なるか」と
「論点3.シンボルマークの管理体制は適切であったか」の
2つの論点にはコメントしていないようです。

これらのコメントからは、どの点が問題であったかという点で、
知事と下水道局の見解が完全一致しているか不明です。

3,400万円支出した判断は誤りだった、
という見解だけは一致しているようですが、
今後はどのような取り組みをするのか気になります。

今日はここまでです。次回は市民の声を探っていきます。

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