おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
マクドナルドの新世代デザイン店舗視察レポートの続きです。
新世代デザイン店舗の最大の特徴は
クルー配置が多いことだと私は考えています。
2店とも、いわゆるホールにクルーがいて、
客の席案内をしたり、まめにテーブルを拭いたりしています。
食べた後のゴミ片づけは、原則セルフサービスですが、
クルーが気を利かせて、
ほどんどの客に声をかけて、客の代わりにやってくれます。
クルーが客のよく動向を見ているのです。
このクルー、アルバイトが多いと思いますが、
本当に立派な接客です。教育が素晴らしいですね。
クルーが他のクルーにアドバイスしている場面も数回見ましたが、
客にとって気になるようなやり方ではないので、
注意深く観察していないと、その場面には気付かないでしょう。
サービス面は本当に充実しています。
もちろん従来店舗にもこのようなサービスがないわけではありません。
ただ、新世代デザイン店舗では、
クルーの配置数やきめ細かさが段違いに充実しているのです。
しかし、経営視点に立つとクルーの人数が多すぎるようにも見えます。
コスト増が懸念されます。
今は試行錯誤の段階であることは間違いありません。
適正配置に変わっていくと予測します。
クルー配置以外にも、これから改善する箇所はあるでしょう。
原田社長も新世代デザイン店舗で
「実験」「テスト」をしている段階と話しています。
ここからは私が考えるマクドナルドにおける
新世代デザイン店舗の位置づけの話になります。
新世代デザイン店舗のコンセプトが、
現在のようなクルーの手厚いサービスがあることだとすると、
価格や内装が異なるので識別しやすいとはいえ、
その手厚いサービスに慣れた客は、従来のマクドナルドでは、
「数十円安いけれどもサービスが足りない」
と感じる危険性が高くなります。
これはマクドナルドブランドの危機です。
同一ブランドで、従来店舗と新世代デザイン店舗それぞれの
異なるサービス提供の併存は好ましくないでしょう。
併存が好ましくないことは
マクドナルドもおそらく分かっているでしょう。
これらを総合して考えると、
マクドナルドは将来、従来の店舗を残さない
(つまり併存させない)前提で、
新世代デザイン店舗開発を考えていると思うのです。
子どもや若年層に喜ばれる立地や一部の地域を除いて、
従来店舗は、すべて新世代タイプに変えるつもりだろう
と私は推測しています。
原田社長は、これまで徹底して客数増を進めてから、
客単価増を図ってきました。
新世代デザイン店舗は、
今までのマクドナルドに入りにくかった層からの支持を獲得し、
客単価の向上も目指しています。
今後、注目したいのは次の3点です。
1.新世代デザイン店舗のクルーの配置は今後どうなるか
2.既存顧客が価格上昇を受け入れるか
3.クルーの手厚いサービスをきっかけに
マクドナルドファンになった人が従来店舗に行って、
ブランドへの失望を招かないか
中小企業経営者の皆様、マクドナルドからは
ブランドやデザインの実務だけでなく、
多くの経営のヒントも得られると思います。
<追記>
以上のように全4回分を5月8日に執筆したのですが、
その後も視察を続けたところ、実はすでに変化が始まっています。
当レポートには多くの反響もいただきましたので、
すでに起きている変化について続編レポートを後日お届けします。
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