デザインで今年を振り返る昨日の続きです。
三つ目はBOPビジネス向けデザインです。
BOP(Base of the Economic Pyramid)とは、
一人当たり年間所得が3000ドル以下の世帯に属する人たちと
言われています。世界で40億人いらっしゃるようです。
今年は、BOP層の社会課題を解決するビジネスへの関心が高まりました。
企業の社会的責任や、日本国内市場の縮小を見越して、
企業の海外展開はどんどん進んでいくでしょう。
中間所得層向けの先にあるビジネスという見方もあります。
そんな中、5月、6月に開催された
「世界を変えるデザイン展」は大きな反響を呼びました。

社会問題一般に関心のある方が多く来場していました。
受け手のニーズを満たす「ものづくり設計」「ことづくり設計」
としてのデザインの役割に、デザイン分野に日頃から
関わっていない方から大きな期待が寄せられた年だと思います。
松下幸之助さんが話した「水道哲学」と
「これからはデザインの時代や」が結び付き、
商人の本分を再認識します。
四つ目は目に見えないものと家族愛への共感です。
NHKのドラマ「ゲゲゲの女房」と、
植村花菜さんの歌「トイレの神様」がヒットしました。
見えないものと家族愛への共感がニーズとして存在するから
デザインした、というわけではないでしょうが、
両作品とも作った人の感謝や感受性が表現されていました。
ドラマも歌も「私」は一見、不遇とも受け取れる環境にありながら、
妖怪や神様といった目に見えないものを説く
家族に支えられて暮らします。
日常の何気ない暮らしの中で、
見えないものをおもんぱかり、家族を愛することが、
支持されました。
それは、見る人、聴く人が、自身を振り返った時に
「良いとわかっていたけれども、あらためて良いと認識できた」
からなのかもしれません。
私も目先のこと、目に見えることだけを追いかけてしまう
時があります。あらためなくてはいけません。
人には、家族や知人、友人、地域や環境への感謝が
必要だと伝えてくれた作品でした。
次週は今年をブランドで振り返ります。
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