市民に開かれた金沢21世紀美術館が街を変える

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
先週に続いて金沢21世紀美術館の魅力に迫ります。

金沢21世紀美術館3.jpg

金沢21世紀美術館は次のコンセプトを掲げています。

1 世界の「現在(いま)」とともに生きる美術館
2 まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館
3 地域の伝統を未来につなげ、世界に開く美術館
4 こどもたちとともに、成長する美術館

これらのコンセプトの実現に
大きな役割を果たしているのが建築です。
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=35&d=1

外周はガラス張りで、とても明るく開放感があります。
外の庭も中庭も館内の明るさに効いています。

金沢21世紀美術館4.jpg

1階の入場口は4つあり、無料で見られるゾーンもあるので、
気軽に通り抜けできるくらいの開かれた美術館です。

さらに無料ゾーンから、
有料ゾーンの展示も一部だけ見えたりします。

美術館には、落ち着いた色で厚い壁があるところが
多いのですが、金沢21世紀美術館は静かであっても
白を基調としていて明るく、気持ちも明るくなる造りです。

また、子供づれにもやさしく、乳児室や託児室があります。
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=10&d=4

ふらっと入りやすいアートライブラリーもあります。
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=10&d=1

カラーアクティヴィティハウ.jpg

美術ファンだけでなく、
街のみんなが親しみを持てる美術館なのです。

同じく現代アートのファンが注目する香川県の直島とは、
客層が大きく異なります。

直島は現代アートファンがやってきて、
じっくり作品を堪能していますが、
金沢21世紀美術館は芸術にそれほど関心がない人も受け入れます。

作品への予備知識を持たずに見に行くわけです。

例えば、タレルの部屋で、私の近くにいた
年配のご夫婦は「なんにもないや」と話して出て行きました。

ジェームズタレルの作品は、天井に四角い穴が空いていて、
空や光を見る作品です。

部屋の中には何も置いていません。

ですから、至極まっとうな感想で、
作品がなかったと勘違いしたのかもしれません。

しかし、直島ではそういう反応を示す方は少ないです。
芸術を見に行っていますし、タレルを知っている人も多いからです。

先週、ご紹介したスイミングプールに驚いた修学旅行生も
作品を知らずに見たから、とても驚いたのでしょう。

直島はとても素晴らしいところですが、
地域の人や兼六園に来たついでで来た観光客も、
気軽に芸術を楽んでもらえる金沢21世紀美術館も素敵です。

現代アートは難しく、見てもよくわからない作品もあります。

全部わかる必要はなく、
楽しめる作品がひとつでも見つかればよいのではないでしょうか。

金沢21世紀美術館は兼六園と並ぶ大きな観光の核となりました。

街の人に聞くと、金沢21世紀美術館によって
観光客の層が広がり、特に若い人が増えたそうです。

また、もともとあった企業や観光施設などでも
デザイン・芸術面で大きく刺激を受けて、
新たなデザインを取り込む動きが活発になっているそうです。

ひとつの美術館が街を変えているのです。
地域活性化のモデルケースのひとつになっています。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック