昨日に続き、GOOD DESIGN EXHIBITION 2012のレポートです。
中小企業に焦点を当ててご紹介します。
株式会社キクイシザースの理美容はさみです。

写真では見にくいのですが、
手前の刃がジルコニア(セラミックス)です。白色をしています。
奥の刃は鍛造鋼です。銀色をしています。
セラミックスはよく切れるのですが、
セラミックス同士を合わせると刃がダメになってしまうそうで、
鋼と組み合わせたはさみができあがったそうです。
プロ向けの道具らしい美しさがあり、
よく切れるだけでなく、耐久性も優れているそうです。
職人の技術がもたらすデザインです。
次は、株式会社飛鳥公房の「DONGURI」です。
木のおもちゃです。下の動画をご覧ください。
これも動画では、その良さが半分くらいしか
伝わらないのですが、実際に触って遊ぶと、木の肌触りや
カタコトゆっくり落ちていく音のとりこになってしまいます。
webサイトを見たら、かなりの人気で
注文から1~2か月待ちのようです。
ぬくもりや癒しも感じられる見事なおもちゃです。
手にとって遊ぶ来場者が多かったです。
奈良ブランド開発支援事業は、優れた支援メニューで
パネルだけの展示でしたが、とても興味深かったです。
従来の自治体のブランド支援には、
産地の企業をまるごと支援するものや、
「○○ブランド」として認定してマークをつけるものが多く見られます。
私は有効であると思いますが、その限界も感じていました。
奈良ブランド開発支援は、個々の企業のブランド創出を通じて
奈良ブランドを作り上げていくスタンスで、
・使い手と作り手の双方が愛着を感じる、ロングセラーを目指す製品
・消費者の生活を豊かにし、時代の感性にマッチした製品
といった条件を満たそうとするブランドづくりを支援しています。
個々の想いがやはり重要だと思っていますので、
このような考え方はとても良いですね。
事業を企画したコンセプターだけでなく、
ブランディングアドバイザーも優れているのでしょう。
成果も出ているように思います。
そのひとつが、坪岡林業の「聖山」で吉野杉を使った折敷も
グッドデザイン賞を受賞していました。
形の美しさだけでなく、使い勝手や肌触りも良さそうな一品です。

中小企業からは離れますが、
他にスマートフォン向けアプリ「LINE」や、
触覚表現の技術研究なども受賞していました。
デザインの領域は広がっており、受賞デザインからは
日本の技術や文化の一面を再認識できます。
グッドデザイン大賞への投票を来場者がする試みも面白かったです。
この記事へのコメント