歩く時間が楽しい蔦屋書店

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
散歩したくなる季節になってきました。

今日の話題は代官山の蔦屋(つたや)書店です。

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代官山の蔦屋書店は、
DAIKANYAMA T-SITE」という商業施設の中核店です。

カルチュア・コンビニエンス・クラブが作りました。
外観も特徴的で、柔らかさと緊張感が適度に組み合わさっています。

蔦屋書店は、ビンテージブック、雑誌、人文・文学、
アート、建築、クルマ、料理、旅行などの趣味系の書籍の
品揃えが豊富で、映画DVD、音楽、文具の販売もあります。

代官山蔦屋書店は、2011年12月に開店しましたが、
開店当初の人気だけでなく、ファンを拡大させています。

駅前にあるわけでもありません。
しかし、わざわざお客が訪れるお店になっています。

代官山蔦屋書店の他には、
カフェやペットグッズ店、カメラ店などがあります。

個性的なお店が多く、とても清々しい場所です。
歩くだけで気分がよくなる場所です。

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「DAIKANYAMA T-SITE」には、
店の個性や品揃えの良さもありますが、
最大の魅力はその空間にあると考えます。

品揃えだけでは、Amazonをはじめとしたネット通販に
勝つのは難しいでしょう。
ネットの世界では専門店を探すことも容易です。

蔦屋書店には、知的刺激、商品を見て回る楽しみを
与えてくれる品揃えや陳列があり、
コンシェルジュと呼ばれる知識豊富な店員がいます。

カフェもあり、長居を促す店のつくりです。

リアルの良さを見事に体現した店です。

カルチュア・コンビニエンス・クラブの増田社長は
日経ビジネスオンラインに掲載中のインタビューで、
蔦屋書店を作ったときエピソードを語っています。

私が印象に残った話のポイントのメモ書きを以下に記します。

要約・改変されていますので、原文が気になる方は
以下の日経ビジネスオンラインをご確認ください。

日経ビジネスオンライン
川島蓉子の「ダサい社長」が日本をつぶす!
カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長・増田宗昭さん

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130830/252819/

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代官山蔦屋書店の設計図はいっさい見ていない。
完成してはじめて「ああ、こうなったのか」と感激した。

経営者がやるべきはコンセプトを考え抜いて
プロに伝える、共有することだ。

「かっこいい」を実際につくるのは、
デザイン部門の仕事で社長にできるわけがない。

建築家を選ぶのが最大の仕事だ。
選んだからには信頼し、途中で口を出さない。

場所、空間がブランドを創る。

ブランディングにおける店の役割は、
空間と時間を企業とお客様が共有できることにつきる。

ブランド体験を直接お客様に与えられる。

蔦屋書店のミッションは、
お金も時間もあって、若いころから遊んできた
今の50代、60代が求めているエンターテイメントを
提供するのにふさわしい
ブランドイメージづくりと品揃えである。

代官山T‐SITEには2階建てまでの建物しかない。
広い空を見せるためである。

旧山手通りから裏道に抜けていけるようにつくった道は、
看板も何もない。何もないから想像力をかき立てられる。

代官山蔦屋書店を訪れた人に、
歩く時間を楽しんでほしい、考えてほしいと思った。
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中小企業は、資金面で代官山蔦屋書店のような施設を
つくることは難しいです。

しかし、蔦屋書店の方向性は、
経営戦略を考える上でとても参考になる内容だと考えます。

大企業やネットとの差別化のあり方、
顧客との接点の持ち方、ブランド・デザインの作り方、
ヒントはたくさんあると思います。

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