今日は書籍のご紹介です。

デザインの教科書
柏木 博、講談社現代新書
柏木さんは日本のデザイン評論の第一人者です。
本書はデザインの意味やデザインの歴史について、
たっぷり語った一冊です。
デザイン技法の解説書、ハウツー本ではありません。
デザインに関わる人に向けた教養書の趣きがあります。
章の構成は次のようになっています。
第1章 デザインって何?
第2章 20世紀はどのようなデザインを生んだか
第3章 心地良さについて
第4章 シリアスな生活環境のためのデザイン
第5章 デザインによる環境問題への処方
第6章 デザインを決める具体的要素
第7章 趣味とデザイン
第8章 デザインの百科事典─デザイン・ミュージアムの展示
私の日々の仕事の中では、目の前の商品や販促物を
どうデザインしたら企業の業績が良くなるかと
考えることに意識が行きがちなのですが、
経営にこだわらずにデザイン総論を学べたことは、
広い視野をもつことにつながり、
いつか何かの役に立つような気がします。
手のとどかない高さにあるものをとるために、
椅子の上に乗ることもデザイン。
小川を渡るのに、体を濡らさないように、
飛び石の上を選んで歩くのもデザイン。
そうした視点を与えられると、
人の生活のあらゆる行為がデザインだと考えることができます。
自らのデザインが
文化や社会にどう影響を与えるのかを考えながら
デザインすることも大切だとあらためて認識しました。
やさしい内容ではありませんが、
デザインの可能性をまとめた一冊とも言えます。
この記事へのコメント