今日はユニバーサルデザインについて私の考えを述べます。
前回では、ユニバーサルデザインと
アクセシブルデザインの意味が同じか違うか、
そんな議論を紹介しました。(前回の記事)
私は、実はあまりこの議論を突き詰めなくても
よいのではないかと考えています。
それは考え方や言葉の定義よりも、
実際に多くの人にとって使いやすいデザインであるか
どうかこそが重要だと考えているからです。
確かに、考え方の出発点は異なるので、
二つの言葉を使い分けるという主張は理解できます。
しかし、高齢者や障害者の人たちが使うことを
想定しなければ、本当に優れた
ユニバーサルデザインは作れないと私は思うのです。
どういうことか説明します。
実際に多くの人にとって使いやすいデザインを
目指すとなると、
高齢者や子ども、障害のある方に試作品を
使ってもらいながら、その方たちの意見を聞きながら、
デザイン開発を進める必要があります。
だから、多くの人にとって使いやすいということは、
利用者としてあらゆる人を想定して作られたと思うのです。
となると、
実際に多くの人にとって使いやすいデザインを作るためには、
「高齢者や障害のある人たちにとって使いやすくしよう」
という考え方をもたないとするユニバーサルデザインでは
近づけないような気がするのです。
でも、それではユニバーサルデザインの目指すものと
相反しますよね。
私が大切にしたいのは、できるだけ多くの人にとって
使いやすいデザインが増えていくことですから、
この言葉の意味の違いについて、
突き詰めたいと思わないのです。
一方で、使い分けてもよいと思うケースの具体例を挙げます。
例えば、すでにデザインされていたものに対して、
手すりや印をつけて扱いやすくすることなどは、
アクセシブルデザインといった方が、ユニバーサルデザイン
というよりは、言葉のイメージに近いと思います。
また、ユニバーサルデザインについて、
注意が必要だと思う点を述べます。
世の中には、さまざまな方がいらっしゃいます。
努力してユニバーサルデザインに取り組んだ
製品、建物、空間を作ったとして、
本当にあらゆるの人が使いやすくなっているのでしょうか?
本当にすべての人に使いやすい製品、建物、空間なんて
実は作れないと思うのです。
それをユニバーサルデザインといって、
これでみんなが使いやすくなったと、
決めつけて完結してしまうのは、
まだ改善や配慮が不足していると思うのです。
私が大切にすべきと思うのは、
あらゆる人にとって使いやすいデザインになるよう、
多くの人に試しに利用してもらったり、
意見を頂戴したりしながら、
少しでも多くの人に使いやすいデザインにしようとする
真摯なデザイン開発への取り組みです。
それさえあれば、言葉を厳密に定義づけることは
それほど重要ではないと感じるのです。
みなさんはどのようにお考えですか?
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