神奈川県立近代美術館の鎌倉館が閉館します。
神奈川県立近代美術館は、終戦から4年後に、
近代美術館を建てようという動きがあり、1951年に
日本で最初の公立近代美術館として開館しました。
関係者や県の文化への心意気を感じます。

鶴岡八幡宮の敷地を借りて建てられました。
設計は、ル・コルビュジエに建築を学んだ
坂倉準三さんです。
日本のモダニズム建築の代表的な建築とされ、
docomomo(ドコモモ)の
日本の近代建築20選にもなっています。
モダニズム建築の正確な説明は
専門書をご覧いただきたいのですが、
私は大量生産のやりやすさを意識した、
合理主義な建築のイメージを持っています。
直線的な形に美を見出す建築が多いように思います。
素材はレンガや木から、
鉄骨、鉄筋コンクリートに変わっていくなかで
採用されるようになったのでしょう。
モダニズム建築は、モダンデザインと
時代背景が同じですので共通ところが多いです。
借地権が切れることもあり、
神奈川県は更地にして八幡宮に返す方針だったのですが、
建物の保存をもとめる声を受けて、
建物を残したまま土地を八幡宮に返すようです。
しかし、建物の耐震性に問題があり、
保存にも耐震工事は避けられないようです。
別棟と新館棟(写真右)は取り壊すようです。

鎌倉館もモダニズム建築の特徴のひとつとされる
ピロティが印象的で、
平家池の上に立てられているようにも見えます。

周りの環境との調和も評価されているようです。
ピロティからの眺めはこんな感じです。

写真は昨年訪れたときのものです。
入口正面や展示室の入口です。


中庭にはイサム・ノグチの作品などがあります。

美術作品ももちろん良いのですが、
エレベーターもない年季の入った建物の
鉄骨、アルミ材、石や壁のボードを見ながら
当時の建築技術や設計を楽しむのはいかがでしょうか。
看板にも味わいがあります。

美術作品は鎌倉館から、
鎌倉別館、葉山館に移されるようです。
今年3月に閉館すると聞いておりましたが、
展覧会の一般公開は1月31日までということで、
名残惜しい方が行けるよう、今日ご紹介しました。
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