ヤマト運輸が「宅急便」の値上げや
サービスの一部縮小を発表しています。
ヤマト運輸は「サービスが先、利益が後」
の理念を変えたのではないか、
と話題になりました。
そこであらためて、
宅急便の生みの親、小倉昌男さんの
「小倉昌男 経営学」を読みました。

「小倉昌男 経営学」
小倉 昌男 日経BP社
経営者の自伝としてたいへん名高い一冊です。
中小企業の経営者にもぜひ読んでいただきたいです。
経営戦略やマーケティング思考、
「宅急便」というネットワーク事業への取り組み方、
組織運営や労働組合との付き合い方、
情報システムへの投資についてなど、
自分の頭でどう考えて、どのように取り組んだか
書かれています。
たいへん聡明な方と思いますが、
情熱的で論理的で気高さも感じられる稀有な本です。
ベンチャー、起業家精神と大企業の経営者の
両方の立場も感じられます。
さて、ヤマトは小倉さんの「サービスが先、利益が後」の
理念を変えたのではないか、という点ですが、
本書第7章には、まとめると以下のような記述がありました。
原文とは異なり要約しています。
サービスとコストは二律背反の関係にあり、
経営者の仕事とは、そのときそのときで
どちらを優先するかを決断することに他ならない。
すなわち、私は、「サービスが先、利益が後」は
ネットワーク事業を成功させるため、
郵便小包と差別化するために、
サービス水準をあげ、潜在需要を掘り起こそうと
小倉さんがわかりやすく発信したものだと受け止めました。
局面が変われば、判断は変わります。
小倉さんの精神を
ヤマトが捨てたわけではないと思います。
需要が急増している中で、社員の幸せや
社内体制の整備が遅れているのであれば、
経営者が取るべき判断は変えるべきでしょう。
本書には「社員が先、荷物は後」「車が先、荷物が後」
という標語もありました。
値上げとサービス縮小を続けていては
経営にならないことは、ヤマトもわかっているでしょうから、
社内体制を整備したうえで、
いずれ先進的なサービスを行うような気がします。
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