森美術館で開催中の
「レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル」のご紹介です。

芸術家レアンドロ・エルリッヒさんの個展です。
金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」の作家です。

上の写真、建物の壁から落ちそうで欄干につかまる人たちは
危なさそうですが、決して危なくありません。
「建物」というこの作品、
実は地面に作られた建物の壁面に寝転がり、
約45度の傾きの鏡に映っている自らの写真を
撮って楽しんでいるのです。

建物のファサードは地面に対して垂直に建っているはずだ
という私たちの既成概念を利用した作品です。
この展覧会は、このような来場者参加型の作品が多くなっています。
写真撮影も可能で、
インスタグラムなどのSNS歓迎という展覧会です。
とはいえ、すべてを紹介すると行く楽しみが
損なわれるので、一部だけをご紹介します。
「美容室」は、鏡に思える枠の中は何もなく、
隣の部屋にいる人と対面します。

一方でそれぞれの人の後ろには鏡があり、
奥行きが無限につながっていきます。
本物と像が入り乱れて、不思議な錯覚を感じられます。
「教室」は、廃校となった教室で
自分が椅子に座って、
横の教室を見ると、亡霊のように
自らが薄っすら映った姿が見えます。

実像と虚像を混ぜ、
自らの過去や未来を考えさせる展示です。
気軽な体験型の現代アートで、
若い来場者が多く、子供連れも少なくありません。
私が何気なく普段見ているものは、
本物ではなく、何かの像や錯覚かもしれない
と思わせる展覧会です。
頭の刺激になります。4月1日まで。
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