デザイン経営の留意点を中小企業経営者の言葉から学ぶ(1)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

株式会社ロフトワークが作成した報告書
中小企業のデザイン経営 経営者のビジョンが文化をつくる
を2週にわたってご紹介します。

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関東経済産業局、日本デザイン振興会と協力して、
デザインを経営に活かしている中小企業8社を調査し、
デザイン経営の実践における5つのポイントを
報告書にまとめたものです。

報告書は下のページにあるリンクから
氏名やメールアドレスを入力すればダウンロードできます。
https://loftwork.com/jp/news/2020/03/05_design-driven-management_report

160ページくらいあり充実した内容です。
多くを学べます。

8社は中小企業でも規模が大きめの中堅企業が多いです。
7社は製造業ですが、製品開発以外のデザインが
中心の事例もいくつかあり、
製造業でなくても読む価値はあります。

基本的には、デザインを経営に取り入れよう、
経営にデザイナーを巻き込もう、という内容です。

私はこの報告書におおいに賛同しますが、注意も必要です。

すべてのデザイナーが経営やビジネスに携われるほど
万能で優秀ではありません。

ですからデザイナーを単純に経営に巻き込むと
期待外れになるどころか、経営が傾きかねません。

報告書の事例では、経営者がデザイナーの能力を
うまく活かし、引き出しています。

私からは、デザイナーとどうつきあうべきか、
デザイン経営の留意点は何か、といった観点で、
この報告書をご紹介して、補足していきます。

株式会社スノーピークの山井社長は、
インタビューの中で次のように述べています。

「デザインは、あくまで手段であって、
一番大事なのはデザインの先にある体験」p.28

「デザイナーにありがちなのが、
デザインすることが目的になってしまって、
それを使って何が起きるかという
思考が浅くなってしまうことです。」p.28

「常に新しい製品のアイデアを溜めておくように
言ってあって、(中略)ないときは、
めちゃくちゃ怒りますね。『デザイナーなのに
ネタを持ってないって、どういうこと?』って。」p.28

デザイナーに、ユーザー視点で考えることや、
よりよいアウトドア体験や「人間性の回復」という
ビジョンに沿った体験につながる
アイデアを多く求めています。

つまり、常に観察し、考え続け、
アイデアを生み出し続けるデザイナーが
良いデザイナーと言えるでしょう。

「新卒にこだわる理由は、経験者だと
面白いアイデアは出せても設計ができないか、
設計はできてもアイデアが思いつかないか、
どちらかに偏っていることが多いからです。」p.29

アウトドアギア(製品)の設計ができる
外部のデザイナーも多くないので育てています。

続きは来週ご紹介します。

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