担保としてのデザイン資産価値

今日は、日本で初めて行われた、日本政策投資銀行が
アッシュコンセプトのアニマルラバーバンドの
意匠権を担保として融資を行った前回の話の続きです。

融資に結びついたデザインの資産価値を考えます。


融資の流れについて、前回引用した日本政策投資銀行の
コメントから、まず確認しましょう。

日本政策投資銀行は、まず、経営方針やビジネスモデルを
評価した。

そして、アニマルラバーバンドの実績や今後の生み出す
市場価値に着目し、その商品競争力の源泉となるデザイン
(意匠権)に価値を認めて、担保として融資した。


この流れは、決して変わったものではありません。

バブル期の金融機関が、不動産さえあれば、
ビジネスモデルをあまり重視せずに融資実績を競っていたことを
良くないとするなら、

今度の融資のように、まず経営方針、ビジネスモデルを評価し、
さらに資産価値のあるものに担保を設定することは、
普通の流れと言えるでしょう。



次にデザインの資産価値を考えましょう。

デザインに値段をつけることは、デザイナーはしていますが、
企業から見たデザインの価値を算定するのは難しいですよね。


前回の記事でも申し上げましたが、
今度の融資でも、スケッチとしてのデザインや、商品化までのデザイン開発の価値だけが評価されたわけではないと考えます。

デザインを競争力の源泉のひとつとして、
ビジネスとして成功し、そのビジネスに対して融資をする。

今回は、ビジネスの中で最も大きな価値がデザイン(意匠権)だった。

ということでしょう。


私は、デザインがもたらす価値の可能性は大きいが、
商品化、販売、ブランド戦略などのマーケティングを通して
活かされ、企業経営として活かされてこそ、
その可能性が花ひらくのだと思います。

ただのデザインスケッチ、アイデアだけでは価値は限られます。

デザインを商品化し、販売するということ、
そして、デザインを生む、デザインを支える、というビジネスの
土壌があってこそ、デザインは大きな価値を生むのだと思います。


青色発光ダイオードの発明の価値が話題になった時に、
商品化や販売・営業の努力もあったから価値も発生した
という意見がありましたが、デザインも同様でしょう。


ソフト面の経営資源というのは、価値を算定するとなると
このような傾向が見られます。


「デザイン」だけの資産価値が認められたとは、
なかなか言い難いですが、

これまでデザイン・意匠を担保に融資が行われて
いなかったのですから、今度のニュースは、
デザイン業界にとって、やはり画期的ですね。

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