ロゴをあえて崩すGoogleのDoodle

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日の話題はGoogleのロゴです。

本日3月1日、インターネット検索エンジンを提供する
Google日本版のホームページに使われる
「Google」のロゴは特別なものになっています。

グーグル日本のホームページ
http://www.google.co.jp/

3月2日以降に、本記事をご覧になっている方は、
Google日本の公式ブログをご覧ください。
http://googlejapan.blogspot.com/2010/02/doodle-4-google-2009.html

祝日や記念日などに使用している特別な「Google」のロゴを、
Googleでは「いたずら書き」を意味する
「Doodle」(ドゥードゥル)と呼んでいます。

一般的はホリデーロゴと呼ばれていたりします。

本日3月1日のGoogleロゴをデザインしたのは
神奈川県海老名市の小学生です。

小中学生を対象とした
「Doodle 4 Google」(ドゥードゥル フォー グーグル)
という名称のデザインコンテストのグランプリ作です。

とても優美で、わかりやすいロゴです!

今回のコンテストのテーマは「私の好きな日本」でした。
日本での開催は初めてだったようです。

ロゴは基本的に厳格に守るべきものです。
しかし、Googleではあえて崩しています。

見る者の心を和ませる美術性が
コンピュータ画面から人間らしさを感じさせます。

もともとGoogleの基本ロゴはカラフルで、
機能的ではあるが、無味乾燥にも見えるホームページに
わくわく感や多様性を与えているように見えます。

Doodleも、その延長線上にあるのかもしれません。

ただし、この特別ロゴは上級者が行う「型破り」です。
ブランドやデザイン面を深く考えての行動です。

基本を知らない「型なし」ではありませんので、
初心者は安易に真似をしない方が無難です。

マイコミジャーナルにも
関連する面白い記事がありましたのでご紹介します。



直接のリンクはこちらです。
http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/02/23/google_webmaster/

新しい酒は新しい革袋に盛れ

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

「新しい酒は新しい革袋に盛らなくてはいけない」
亀井静香金融・郵政改革担当大臣が話した言葉です。

10月20日、鳩山内閣で郵政民営化見直しの閣議決定があり、
それを受けて日本郵政の西川社長は交代する見込みとなりました。

この言葉、キリスト教の聖書が元になっているようです。

新しい酒を古い革袋に入れると袋が破れてしまうので、
酒も袋もダメになってしまいます。

そこから「新しいものは新しい形式に盛り込むべきだ」という
ことわざになったようです。

さて皆様の会社では、新しい酒は新しい革袋に盛っていますか?

私が言いたいのは、経営者が交代しているかではありません。

新しい製品・サービス・技術を売る時に、
見た目も新しくしているかどうか、です。

独創的である、もしくは画期的である商品なのに、
今までのデザインとほとんど変わらない事例を私は目にします。

大変もったいないことです。

経費削減なのか、デザインが保守的過ぎるのか、
理由は分かりませんが、
営業効果、宣伝効果が大きく損なわれています。

デザインが今までの延長線上にあると、
買う側は中身も今までの延長線上にあると思ってしまいます。

今までと異なることを見た目でも伝えるべきです。

このことは、中小企業だけでなく大手企業も見落としています。
8月のグッドデザインエキスポで審査員から
指摘を受けているシーンがありました。

先日、政府の刊行物でも目にしました。

内容が変わっているのに、表紙のデザインは
改定前とほとんど見分けがつかないのです。

私は冊子の改定に気付きませんでした。
ですから以前のままだと思い、手に取ろうと思いませんでした。

中身が良ければ売れる、という考えでは片手落ちなのです。

外側が変われば、中身も変わったのかな
と期待するのが買い手です。

皮肉なことは、この点を知っていて、
中身がない商品を外側のアピールに力を入れて
売ろうとする企業があります。

最終ユーザに不誠実だと思うので、
こうした企業からは私はコンサルティングを受けません。

中身を良くしようと一生懸命頑張っている中小企業こそ、
取り組んでください。

革新的な商品には、革新的なビジュアルを採用しましょう。

都下水道局のワッペンに考える「生活者とデザイン」(5)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
昨日、政治の世界では歴史的な変化が起きました。
これからは新たなポジションで、がんばっていただくだけです。

それは私たちも同じこと。また今日からがんばりましょう。

さて、都下水道局のワッペンから生活者感覚とデザインを
考えるシリーズの最終回です。

過去の記事は下のリンクからご覧ください。

(1)事象紹介
(2)論点確認
(3)ネットなど市民の意見
(4)マスコミなどの意見
(5)私の意見

最終回は私の意見を述べます。

まず「論点3.シンボルマークの管理体制は適切であったか」
についてです。

都庁内でのシンボルマークの管理体制は
甘かったと言わざるを得ません。

デザインマニュアルは最低限、決裁権のある人には
浸透させておくべきです。

研修や会議の中で、職員にシンボルマークやデザインマニュアルを
守る意味などについて繰り返し伝え、
「東京都」として適切な情報発信に努めてほしいと思います。


次に「論点2.波線を追加したマークは
今までの情報発信と大きく異なるか」
についてです。

私は大きく変わる派
(情報伝達が大きく変化し重要な問題だ)です。

私は今回の波線を加えたワッペンのデザインを

「A」(エー)と「A´」(エーダッシュ)

の関係に似ていると捉えます。

「A´」(エーに点をつけているエーダッシュ)は、
「A」の仲間ではあるが「A」とは別物です。

つまり、波線の下水道局ワッペンは、
東京都の仲間であるが、東京都とは別の団体と認識される
可能性は十分あると思っています。

また、朝日新聞に掲載された天野氏の主張と同じく、
私も水色の波線を追加したワッペンは、
都全体の情報発信を乱す悪いデザインだと考えています。

石原都知事が、現場で新たなデザインを生み出すことを
「気の利いたこと」と考えているのは問題です。

他の局が勝手にマークに線などを加えることで、
東京都を識別するマークのイメージが拡散する問題や、
その結果、似たマークを使用する(東京都とは関係ない)他団体
と取り違える人が出る事態まで考慮すべきです。

仮に新しいデザインを導入するとしても、慎重に検討すべきです。


最後の論点「論点1.ワッペンの作り直しの是非」についてです。

私は波線を追加したワッペンは悪いと考えています。

ただ、それを直すためにお金をどこまでかけるべきかは
よく検討しなくてはいけません。

ワッペンの制作ミスが分かって、その後の判断を
私が求められていたらどうしていたか。

判断材料となる情報が不足している中で、
軽々しく言うべきではありませんが、
今回はあえて率直に述べたいと思います。

私は、コストをかけずに波線を消す可能性を探して、
それでも、どうしてもかかるなら、
他の広報費を一部削って作り直させたと思います。

3,400万円という金額は大きく、
できるだけ抑えたいのは間違いありません。

しかし、職員約3,000人が毎日着て外部へ情報発信することや、
下水道局の平成21年度予算が約7,000億円であることを考えると、

3,400万円よりコストを下げる適当な方法が他にないなら
支出することもやむを得ないとも思っています。

ここまで述べたように、
誤った情報発信のダメージは大きいと思っているからです。

一般的な広報費を削ってでも取り組むべき優先度でしょう。

しかし、この連載の構想のために意見や情報を集める中で、
私の意見に迷いが生じました。

作り直しの費用が広報費を削る額で捻出できないなら、
誤ったマークを謝罪、断った上で、数年間使い続けるかも
しれないと思うようになりました。

住民の税金で成り立っている行政機関としては、
多くの人にとって納得が得られる支出が求められます。

作り直しの支出は、多くの住民の理解を得られない
のではないかと思うのです。

私はデザインの重要性を当ブログで訴えてきました。
中小企業経営にぜひ活かしていただきたいと考えています。

けれども、私が一貫して訴えているのは、
デザインに対する投資の重要性です。

投資は利益(果実)を得るためのものです。

この時に、デザインに対する投資をする人と
そのデザインの受け手を考える必要があります。

前回まで見てきた論点1と論点2に対する意見は、
まさにその意見です。

今回は投資する人もデザインの受け手も同じ住民という
例ではありますが、真摯に受け止めなくてはいけません。

生活者の意見を見ていきます。

論点2を見れば、水色の波線を
「たかが線一本」「特に支障なし」と考えている
人が多いことがわかります。

デザインの受け手の多くは「たいしたことない」と考えています。

受け手にとって「たいしたことない」なら、誤ったデザインの
訂正への投資が有効かどうか、疑問符が付きます。

そして論点1を見れば、投資判断をする立場でも、
誤ったイメージを訂正するための支出は
するべきではないという意見が大勢です。

私は「たかが線一本」や「特に支障なし」とは
考えませんが、税金を支払っている都民や
デザインを見る都民の受け手の認識を
大切にしなくてはいけないと思っています。

したがって、今回の問題はとても判断が難しい問題です。

そして今回の問題は中小企業のデザイン投資にも通じます。

美的感覚の高いデザイナーは、線一本も当然気になります。
そのこだわりには、きっと価値があるでしょう。

しかし、デザイナーと生活者、顧客とは感覚が異なります。

デザインにいくらお金がかかるのか、
デザインの受け手にとってどれだけの影響を与えるのか、
そしてどれだけの利益がもたらすのか、
デザイン投資の優先度は他の投資と比べて高いか、

これらを経営者は冷静に判断しなくてはならないのです。

都下水道局のワッペンに考える「生活者とデザイン」(4)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
来週は総選挙ですね。しっかり考えて投票しましょう。

さて、都下水道局のワッペンから
生活者感覚とデザインを考えるシリーズの4回目です。

過去の記事は下のリンクからご覧ください。

(1)事象紹介
(2)論点確認
(3)市民の意見
(4)マスコミの意見
(5)私の意見

今日はマスコミの論調を見ていきましょう。
2つの論点を確認します。

論点1.ワッペンの作り直しの是非
(制服は5年間を使うものと仮定します)

意見A:波線を追加したワッペンは良い。したがって作り直す必要はない。

意見B:波線を追加したワッペンは悪いが、作ってしまったものは仕方ない。費用をかけて作り直すのではなく使い続けるべき。

意見C:波線を追加したワッペンは悪い。作り直しの費用が1,000万円以下に抑えられるなら作り直すべき。それ以上支出するのなら作り直すべきではない。

意見D:波線を追加したワッペンは悪いので、作り直しに3,400万円かかるとしても作り直すべき。


論点2.波線を追加したマークは今までの情報発信と大きく異なるか

大きく変わる派(情報伝達が大きく変化し重要な問題だ)

変化は小さい派(たかが下に波線1本。たいしたことではない)


まず、読売新聞4月11日朝刊社説から見ていきましょう。
一部を抜粋しています。
(ワッペンが都の内部規定とわずかに違うことを理由に作り直したのに)「3,400万円を費やしたという。民間企業では考えられない出来事である。」
「まず責任を問うべきは、内規を杓子定規に守るために巨額の公費を使って作り直すように命じた者だ。」
(水色の波線がある)「ワッペンと作り直したワッペンの印象はそれほど違わない。」
「誤字や意匠権の問題があるならともかく、何の実害もないのに3,400万円かけて作り直すとは、税金の無駄遣いの極みだ。」

次に、同じく読売新聞4月14日朝刊「編集手帳」からです。
「『東京都下水道局』の文字に添えた水色の波線が内規と違うので削ったという。波線1本あったとて、誰が困る。何の支障がある。作り直しの費用が3,400万円とは、豪儀なものである。」

これらの文章から読売新聞の見解を推測すると、
次のように分類できると思われます。

論点1:意見Bもしくは意見C
論点2:変化は小さい派

デザインはたいした話ではなくお金を優先すべき、という主張です。

また、読売新聞は以下の通り4月10日朝刊に青山学院大の
鈴木豊教授(公監査論)の話を掲載しています。
字を間違えたのならともかく、線1本程度のことなら、都民は何とも思わないはず。内規に抵触したとしても、3,400万円の公費をかけてまで直すこととは思えない。

鈴木教授の見解は次のように推測できます。

論点1:意見B
論点2:変化は小さい派

「都民は何とも思わないはず」という強い言葉からは、
お金をかけるべきではないという主張が透けて見えます。

他紙の社説は見つけることができませんでした。

しかし、朝日新聞にはコラムニストの天野祐吉さんが
4月16日朝刊「CM天気図」で以下のように書いています。
朝日新聞には朝日新聞のロゴがある。これに勝手に模様を入れたり、字体を変えたりするのは許されない。みんながそんなことをしたら、イメージがバラバラになってしまうし、第一、むだな労力や費用がかかってしまうからだ。これは、宣伝広告の鉄則だし、常識でもある。

だから、東京都の下水道局が、制服の胸に付けるワッペンの東京都下水道局という文字の下に、水色の波型の線を入れたのは、明らかに反則である。作り直させられても仕方がない。

が、その作り直しに3,500万円かかったからといって、作り直しをさせた局の幹部に、石原都知事が「バカだね」と言うのはおかしい。

しかも石原さんは、水色の波線が入ったワッペンを見て、「むしろいいデザインだ」なんてホメている。

・・・中略・・・

それが許されるなら、交通局は線路の模様を、財務局はそろばんの模様を、建設局はトンカチの模様を、みんな勝手にワッペンに入れればいいのだ。

・・・中略・・・

なんにせよ、たるんだ話ではある。こんなことに税金を使われるのは、都民にとって迷惑千万だ。うちの奥さんなんかは『もったいない。下水道局の人たちがみんなで、自分のワッペンの青い線を消せばいいんじゃないの?』と言っている。それって名案かもしれないよ

以上から天野さんの見解は次のように推測できます。

論点1:意見B、C、Dのいずれか
論点2:大きく変わる派

こうして見ると、新聞紙上にも前回の記事で指摘した
生活者とデザイン関心層との意見の違いに似た構図があります。

日本を代表する新聞社の社説や
公監査論を専門とする大学教授と、
広告の専門家では意見が大きく異なっています。

私は一部しか見ていませんが、
ネットや人から聞いたところによると、

テレビでは、キャスターやコメンテーターの多くが
「線を消すために作り直したことは、けしからん」
という趣旨の話をしていたようです。

ここまで世論やマスコミの意見を見てきました。
前回と合わせて、意見の傾向がおおよそつかめてきました。

さて、次回はいよいよ連載のまとめです。

都下水道局のワッペンに考える「生活者とデザイン」(3)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

都下水道局のワッペンから
生活者感覚とデザインを考える連載の第3回目です。

(1)事象紹介
(2)論点確認
(3)市民の意見
(4)マスコミの意見
(5)私の意見

今日は市民の意見を見ていきます。
インターネット検索で300以上のwebサイトをチェックしました。

この連載では、デザイナーやこのワッペン問題以外で
デザイン関連記事を書いている方を「デザイン関心層」と呼び、
そうではない一般の市民を「生活者」と呼ぶことにします。

ここで論点1、2について、「生活者」のwebサイト10件と、
「デザイン関心層」のブログ等10件、計20件の
意見を私が独断で解釈して集計してみました。

結果は以下の通りです。カッコ内はそれぞれ
【生活者】、(デザイン関心層)の意見数を表します。

論点1.ワッペンの作り直しの是非
(制服は5年間を使うものと仮定します)

意見A:波線を追加したワッペンは良い。したがって作り直す必要はない。
【3.5票】(0票)

意見B:波線を追加したワッペンは悪いが、作ってしまったものは仕方ない。費用をかけて作り直すのではなく使い続けるべき。
【4.5票】(1票)

意見C:波線を追加したワッペンは悪い。作り直しの費用が1,000万円以下に抑えられるなら作り直すべき。それ以上支出するのなら作り直すべきではない。
【0.5票】(1.5票)

意見D:波線を追加したワッペンは悪いので、作り直しに3,400万円かかるとしても作り直すべき。
【0.5票】(3.5票)

意見読み取れず
【1票】(4票)

(注:意見B、Cのどれかと思われる場合は、
意見B、Cにそれぞれ0.5票のように票を分けて集計しています)


論点2.波線を追加したマークは今までの情報発信と大きく異なるか

大きく変わる派(情報伝達が大きく変化し重要な問題だ)
【2票】(5票)

変化は小さい派(たかが下に波線1本。たいしたことではない)
【5票】(0票)

意見読み取れず
【3票】(5票)


こうして分析すると、同じ市民でも、

「生活者」と「デザイン関心層」では意見が大きく異なる

ことが分かります。

「生活者」は「波線があった方がよかった」、
「お金をかけてまで作り直す必要はない」という意見が多数です。

一方、「デザイン関心層」には「マークは大切なものだ」、
「大金の支出は良くないが、作り直しはやむを得ない」
という意見が多いです。

また、分類集計した20件のwebサイト以外にも、
「デザインマニュアルの管理の仕方が悪い」
「ワッペンの費用が高い」という意見が多くありました。

これらの意見は「生活者」「デザイン関心層」の両方にありました。

また、「生活者」のブログには
「ミスをした人は弁償すべきだ」という意見も見られました。

ネット上の意見は、一部の傾向を示すものに過ぎませんが、
「生活者」と「デザイン関心層」のそれぞれの意見は、
しっかり受け止めなくてはいけないと私は思っています。

しっかり受け止めなくてはいけないという理由は、
今回集計した意味と合わせて第5回で述べます。

次回はマスコミの意見を見ていきます。

最後に今回集計した20のサイトを以下に記します。

(生活者のwebサイト10件。論点1、2について述べている方を見つけた順に集めました。)

あらたにす「ささいな内規違反で3400万円散財とは」
http://allatanys.jp/P001/20090420SBK00017.html

庶民感覚無視・無駄使い・東京都下水道局のワッペン騒動に驚く
http://syuun.iza.ne.jp/blog/entry/989294/

都下水道局ワッペン作り直しに3400万円、石原都知事「バカだね」⇒ 新銀行東京はどうした
http://ameblo.jp/sansiroh/entry-10240969770.html

都下水道局、ワッペン作り直しで3,400万円。この2つのデザイン、どう思います?
http://blog.livedoor.jp/news_depot/archives/1214480.html

【東京都下水道局】ワッペン波線あるから捨てて3400万で作り直すわ
http://news-i.jp/

東京都議会議員 民主党 いのつめ まさみブログスタート!「東京都下水道局 ワッペン事件」
http://inotsume-masami.cocolog-nifty.com/gogo/2009/04/post-a8c9.html

歌は世につれ世は歌につれ・・みたいな。
http://palodysong.exblog.jp/10794069/

BBRの雑記帳「[東京都下水道局]問題はデザイン的にどうかではなくて」
http://bbrsun.blog.eonet.jp/bbr/2009/04/post-8c40.html

病床軟弱「3400万円かけワッペン作り直し―東京都下水道局のあきれた無駄遣い。」
http://blogs.yahoo.co.jp/aka59mahi/26732528.html

JRくんのつれづれなるままなるもの「あえて反論、東京都下水道局のワッペン問題」
http://jr-kun.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-53ea.html

(以下、デザイン関心層のブログ等10件。こちらは件数が少ないので論点1、2の記述がなくても集めています。)

デザイン時評「東京都下水道局ワッペン事件」
http://d.hatena.ne.jp/ittoki/20090411

SHINZLOG-CLIPS「都下水道局ワッペン作り直し問題について」
http://shinzlogclips.blogspot.com/2009/04/blog-post_10.html

DESIGN WORKS「東京都下水道局」
http://blog.livedoor.jp/printstudio/archives/51122339.html

はしくれデザイナーのつぶやき「デザインマニュアル」
http://www.ac.auone-net.jp/~kawakami/page/2009kora-01.html

僕たちの決断。今日も生きざま更新中! - アートディレクター 山口デコ のブログ
「ニュース記事の見出し感覚 - 東京都下水道局」
http://problog.jp/blog/186-01/2009/04/a_day_2.html

【ENJOY TOY AND DeSign】「常識がないのはどっちだ?」
http://d.hatena.ne.jp/Golden_Jackal/20090411/1239413665

ZOOブログ「波線ひとつで大騒ぎ」
http://blogs.yahoo.co.jp/design_room_zoo/26823203.html

オーフヌーン「デザインてなんだ」
http://ofnoon.jugem.jp/?eid=107

mediagroove「石原知事定例会見 下水道局ワッペン作り直し」
http://blog.mediagroove.jp/?eid=1021109

北海道旭川発世界へ、成功への第一歩!北のWEBプランナー奮闘記
「東京都下水道局ワッペン問題の処分は知的所有権の問題を無視しているのでは」
http://gainet.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-78ba.html

都下水道局のワッペンに考える「生活者とデザイン」(2)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

都下水道局のワッペンから
生活者感覚とデザインを考える記事の続きです。

東京都内のお手洗に貼ってあるシールです。
(ちなみに今回の水色波線のルーツは、このシールのようです。)
下水道局シール.jpg

この連載は次の予定を立てています。
前回の(1)をご覧になっていない方は、下のリンクをどうぞ。

(1)事象紹介
(2)論点確認
(3)市民の意見
(4)マスコミの意見
(5)私の意見

今日は論点整理です。

このワッペンの件は、処分のあり方や
ワッペンの価格の多寡など様々な論点がありますが、
当ブログでは論点を次の大きく3つに絞ります。

論点1.ワッペンの作り直しの是非
(制服は5年間を使うものと仮定します)

この論点に対する意見を4つに分類します。

意見A:波線を追加したワッペンは良い。したがって作り直す必要はない。

意見B:波線を追加したワッペンは悪いが、作ってしまったものは仕方ない。費用をかけて作り直すのではなく使い続けるべき。

意見C:波線を追加したワッペンは悪い。作り直しの費用が1,000万円以下に抑えられるなら作り直すべき。それ以上支出するのなら作り直すべきではない。

意見D:波線を追加したワッペンは悪いので、作り直しに3,400万円かかるとしても作り直すべき。


論点2.波線を追加したマークは今までの情報発信と大きく異なるか

この論点に対する見解は大きく2つに分けます。

大きく変わる派(情報伝達が大きく変化し重要な問題だ)

変化は小さい派(たかが下に波線1本。たいしたことではない)


論点3.シンボルマークの管理体制は適切であったか

論点3は意見を分類しません。

このうち、「論点1.ワッペンの作り直しの是非」
「論点2.波線を追加したマークは今までの情報発信と大きく異なるか。」
の2つの論点については、世論やマスコミの主張を集めていきます。

これらの声を集めることで、デザインが人に与える影響の大きさや、
デザインに対する生活者の価値観を探っていきます。

「論点3.シンボルマークの管理体制は適切であったか」は
最後の私の意見の中で述べるつもりです。

まず、東京都はこれらの論点について
どう考えているか確認しましょう。

東京都下水道局は4月30日付で
webサイトに次のお詫びを掲載しています。

以下のページより引用しています。
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/oshi/infn0412.htm

「ワッペンの変更によって、約3,400万円の追加費用の支出を行いましたが、このことは、効率性と経済性を追求すべき公営企業には相応しくない対応でありました。都民の皆さまに心よりお詫びを申し上げます。
今後、改めてコスト意識の徹底など都民の皆さまの信頼回復に向けて、全力で取り組んでまいります。」

この文章からは以下のように判断できます。

論点1:意見D(3,400万かけて作り直した)は誤りであった。
(現在の考えは、意見A、意見B、意見Cのいずれかである)

石原都知事は、前回記事でご紹介した記者会見を見ると、
以下の見解と思われます。

論点1:意見A(波線のあるデザインのほうがいい。作り直す必要はなかった。)

そして、知事も下水道局も
「論点2.波線を追加したマークは今までの情報発信と大きく異なるか」と
「論点3.シンボルマークの管理体制は適切であったか」の
2つの論点にはコメントしていないようです。

これらのコメントからは、どの点が問題であったかという点で、
知事と下水道局の見解が完全一致しているか不明です。

3,400万円支出した判断は誤りだった、
という見解だけは一致しているようですが、
今後はどのような取り組みをするのか気になります。

今日はここまでです。次回は市民の声を探っていきます。

都下水道局のワッペンに考える「生活者とデザイン」(1)

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
全国的に梅雨明けしていない地域が多く、
今年は冷夏になりそうですね。

今日から5回にわたって連載記事を書こうと思います。

テーマは、
「都下水道局のワッペンに考える『生活者とデザイン』」です。

第1回目としてまず、都下水道局のワッペン問題が
どのようなものだったか確認しましょう。

2009年4月10日の読売新聞朝刊が、

東京都下水道局が、職員約3,000人の制服に付けるワッペン2万枚を作製したものの、そのデザインが都の内規に反していたため、新たに約3,400万円を支出して作り直していた、

というニュースを報じたことから、この問題は一気に話題になりました。

都下水道局ワッペン.jpg
当初作製したワッペン(上)と作り直したワッペン(下)
大きさ縦2.8センチ、横8.5センチ
47NEWS(共同通信)より引用
http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009041001000269.html

以下、詳細を読売、朝日、日本経済、東京の新聞各紙と
共同通信の記事を基にまとめました。

下水道局によると、当初のワッペンは昨年に作製したもので、職員のアイデアで「東京都下水道局」のロゴの下に「汚れた水がきれいになって流れる」イメージを表現しようと、水色の波線を描いた。

しかし、制服への縫い付け作業が始まった昨年11月の局内の会議で、ワッペンのデザインが都の「基本デザインマニュアル」に反することが分かり、波線のないロゴだけのワッペンに作り直した。

都のイチョウのシンボルマークの取り扱いを定めた「基本デザインマニュアル」には、「他の要素を加えない」という規定がある。

この内規「基本デザインマニュアル」を所管する生活文化スポーツ局では、内規は例外を認めないものではない、と説明している。

下水道局は「ワッペンは長期間使用するもので、内規に反していることを知りながら放置するわけにはいかなかった。大きな追加支出をしてしまったことは申し訳ない。」としている。

都は今年3月、当初のワッペンのデザインを決めた当時の部長と課長を訓告処分にした。


そして石原慎太郎都知事は、読売新聞の報道を受けて、
記事が掲載された4月10日午後の定例記者会見の冒頭発言で
以下のように述べています。

「私は今度(波線のあるデザインのワッペン)のほうがよっぽどいいと思うんだけどね。」

「下に青い水が走っていたらね、東京の下水、きれいだなって感じするし、イチョウの葉っぱがあっていいじゃない。」

「ばかだね、規格に合わないからつくり直せってんで、3,400万円かけてつくり直している。」

(新しく波線を加えたデザインを考えたことについて)「気の利いたこと」


以下、その後の記者との質疑応答です。

(記者)ワッペンの件、知事として、今後、この問題について何らかのけじめをつけるお考えみたいなものはおありでしょうか。

【知事】ばかな無駄をあえて行った、その役人の悪い意味の律儀さは世間じゃ通用しないってことで。訓戒処分ぐらいは当然します。

(記者)この問題、なぜ柔軟に対応できなかったと思われますでしょうか。

【知事】東京都の役人も我々の美徳は継続性と一貫性という、ばかなのを信じてるやつがいるわけだよ。世の中こんだけ早く変わっているときに継続性、一貫性みたいなことで、過去のものを踏襲していいデザインが出てくるわけもない。

(記者)都民の声を聞いてましても、やはりこの厳しい経済情勢のもとで、3,400万円あったら、ほかのことに使ってほしいという怒りの声が多かったんですが。

【知事】全くそうですな。だから、それをどう受けとめるかってことは、当人呼んで私が骨身にしみて、反省するようにはさせます。

(記者)知事が担当者だったら、もうこのデザインはつくり直さないということですか。

【知事】「ああ、よくなったじゃないか」と言うよ。こっちのほうがよっぽどいいと思う。

記者会見の内容は都のwebサイトの会見録を基に私がまとめました。
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/TEXT/2009/090410.htm


さて、あなたはこのワッペン問題をどうお考えになりますか。

様々な論点があります。

もちろん、失敗し費用を多く支出した悪い話ではありますが、
私は生活者感覚とデザインについて考えるには
適した題材と考えます。

東京都議会議員選挙も先月終わり、落ち着いたところで、
次回からじっくり考えていきます。

隣りのクルマが大きく見えます

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
逗子海岸は26日(金)に海開きしました。夏ですね。

今日は自動車の話題です。

6月1日にゼネラル・モーターズ(GM)が
アメリカ連邦破産法第11条を申請しました。

一昨年まで77年連続、自動車の販売台数世界一だった
とされるGMの経営破たんは、
ブランド、デザインの失敗というより経営の失敗でしょう。

トヨタよりも販売が多いときから債務超過でした。

需要の伸び悩みに立ち向かって懸命な努力をしている
中小企業の経営を支援する者として、
GMはどんな経営をしていたのかと呆れます。

私はGMの経営の失敗の主な原因は、
組織管理やコスト管理の失敗だと思います。

しかし、トレンドに合った車を
作れなかったことも原因とも言われています。

現在のトレンドは、速くパワーのある車から燃費の良い車へ、
大型車から小型車へ、と変わっています。

燃費性能で劣り、大型で豪華で高価格な車と思われた
GMの車販売は伸び悩みました。

経営再建にあたっては、組織やコスト管理について
抜本的に改革するとともに、燃費性能や環境に配慮した
車作りに励むことも求められるでしょう。

一方、三菱自動車は6月5日に電気自動車「i-MiEV」
(アイミーブ)を7月下旬から販売すると発表しました。

環境やエネルギー効率が求められる時代の中で、
ハイブリッドとは別の提案を出しました。

デザインは外観の美しさを求めるだけものではありません。

デザインには、顧客が求める品質、機能、
便益や精神的満足と、それらに見合う価格を両立させる
商品コンセプト設計の要素があります。

技術的に優れたものを作ることより、
この商品コンセプトのデザイン力の方が
ビジネスでは重要だと私は考えています。

トヨタのプリウスやiQ、
ホンダのインサイト、フィットのデザインを見ると、

燃費や車内の居住性の追求や、
車体の大きさそのものを小さくし、価格も抑えて、
複合的なニーズを満たそうとしています。

隣りのクルマが小さく見えます

約40年前の日産のサニーのキャッチコピーです。

ライバルメーカーに「プラス100CCの余裕」と宣伝されたあとに、
サニーの排気量を大きくして宣伝しました。

しかし、今や車は小さく、同じ燃料でどれだけ長く走れるかに
顧客の関心は移りました。

「隣りのクルマが"大きく"見えます」

「プラス100"km"の余裕」

今月のGMや「i-MiEV」のニュースを見て、
そんなキャッチコピーが頭をよぎりました。

川崎和男さんのカンブリア宮殿を見て

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
この1週間で横浜でもマスクをする方が急増しました。

さて、先週の月曜日18日に川崎和男さんが
テレビ東京の番組「カンブリア宮殿」に出演していました。

川崎和男さんは日本を代表する工業デザイナーです。

番組を見て大変な努力家・勉強家だなとまず感じました。

もしデザイナー以外の仕事に就かれていても、
成功されたのではないかと思います。

勉強されている分野が幅広く、教養や論理も鋭いように感じました。
(若輩浅学の私には、その深さが判断できません)

番組では、川崎さんがデザインをしているナナオ(東証一部上場)の
売上が150億から900億へと6倍になったと放送していました。

売上が150億円だったのが、いつかはわかりませんでした。
私の手元の資料では少なくとも10年以上前のようです。

他にも中小企業の製品デザインの例が多く紹介されていました。

このように活躍されている川崎さんですが、
番組の中で次のように話しているのが印象的でした。

「僕は80%以上できるまで妥協できない」

現実として、デザイナーが提案したデザインは、
考え抜かれたデザインであっても、資金や技術面など
さまざまな制約によって実現することは難しいわけです。

川崎さんであっても妥協することがあるんだ、という感想と
川崎さんは80%以上に実現するまで妥協しないんだ、
という感想の両方をもちました。

川崎さんほど経験・知識が豊富なデザイナーでも
妥協せざるを得ないことがあるのが、現実の難しさです。

ただ、80%以上実現できてしまうのも、本当にすごいことです。
80%以上できれば、もともとのデザインの肝は保たれているのでは
ないでしょうか。

私は以前、現実味のないデザイン提案を自信満々に語られる
デザイナーに困ったことがありました。

デザイナーが「妥協しない」と言えば格好よいですが、
事業リスクを負っているのは経営者です。

経営コンサルタントという仕事柄もありますが、
ネガティブな意味合いを含んで使われる「妥協」という表現を
私はあまり好みません。

さまざまな現実とのバランスをとることは、
前へ進む価値を生む行為と、
ポジティブに考えるべきケースも多いと私は思っています。

経営は総合的に考えることも多く、
そういった意味で「妥協」の連続です。

川崎さんほどの知識・見識を持つ方でも
提案したデザインに「妥協」するのです。

経営資源が多くない中小企業は、
いきなり理想のデザインに飛び込んでいくのではなく、
現時点でのベストのデザインに取り組むべきだと思います。

私はデザインの価値を消すことなく、経営とのバランスを
取ろうとする経営者の判断を支援していきます。

デザイン力NO.1企業は?

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
新型インフルエンザが広まっています。警戒が必要です。

さて、デザイン力NO.1企業はどこでしょうか。

財団法人日本産業デザイン振興会が実施した
第2回デザインに関する意識調査の結果に基づいてお伝えします。

調査期間は2008年4月10日~4月15日で、
gooリサーチによるインターネットアンケートで行われました。

回答者属性は男49.9%、女50.1%で、
年齢別にみると、男女とも10代から40代までそれぞれ約10%、
50代以上10%という構成です。

消費者モニター1,060人の答えは次の通りでした。

1位 ソニー
2位 アップル(アップルコンピュータ)
3位 トヨタ自動車
4位 シャープ
5位 松下電器産業(ナショナル・パナソニック)
(以下、省略)

調査設問:「デザインの力」がとてもあると思う「企業名」を
3つまであげてください。また、その企業を選ばれた理由を、
具体的な「商品名」などをあげて教えてください。
(1つ目は必須回答、2つ目、3つ目は任意回答)

ソニーが首位でアップル、トヨタと続きます。

今回上位に挙げられた企業はメーカーが多く、
デザインの力を考えたときに、
その製品(プロダクト)の影響は大きいのでしょう。

デザイン力のある企業として挙げた理由の文章をみると、
「シンプル」「斬新・独特・ユニーク」
というキーワードが多くなっています。

消費者はこれらの要素でデザイン力を認識しているのです。

これは中小企業が消費者へ訴求していく時にも
押さえておきたいポイントです。

また、2008年の秋から冬にかけて実施された
企業の部長クラス以上だけを回答者として絞り込んだ調査や、
20代前半の女性だけにアンケートを行った結果も公表されています。

これらもあわせて読むと、さらに楽しめると思います。

正式な結果は日本産業デザイン振興会のWebサイトをご覧ください。
http://www.jidpo.or.jp/activity/research/

MoMAとデザイン

昨日、MoMAデザインストアについて書きましたが、
MoMAについて簡単に説明しようと思います。

1月6日の記事「MoMAデザインストア訪問レポート」


MoMAは「The Museum of Modern Art」の頭文字を
とったもので、ニューヨーク近代美術館のことです。

MoMAは1929年に近代・現代の美術を伝える美術館として
設立されました。

絵画・彫刻、版画、挿画本、ドローイング、
フィルム・メディアといった分野の展示がありますが、
そのひとつに建築・デザインもあります。

世界中の優れたデザインを収集・展示し続けたことで
評価を得るようになり、今ではMoMAに収蔵されることは、
デザイナーにとって大きな名誉となっています。

収蔵品として有名なのものに、深澤直人氏の
「±0」(プラマイゼロ)の加湿器や、同じく深澤氏が
デザインしたauの携帯電話「INFOBAR」があります。


MoMAストアには、MoMAのスタッフが集めた
デザイングッズが並んでいます。

数年前から日本語によるオンラインショップがありましたが、
このたび日本に海外初出店となりました。


私は残念ながらニューヨークへ行ったことが、まだありませんが、
今回のMoMA Design Storeの出店で、MoMAに選ばれた
デザインに気軽に触れることができるようになったのです。


(参考)深澤直人さん関連の記事
2007年4月8日「意識の中心」
2007年4月11日「何にも前提を説明せずに『ね』と言う」
2007年5月13日21_21 DESIGN SIGHT 『Chocolate』
2007年11月4日「深澤直人さんの課外授業」

デザイン発注者の認識レベルも求められる

昨日の続きを。
(昨日の記事)
http://brand-design.seesaa.net/article/61620705.html

佐藤卓さんのような素晴らしいデザイナーは、
デザインを依頼する側からみると、とても心強い存在です。

しかし、発注者のデザイン認識レベルも高くなくてはいけません。

これは大きなポイントです。


佐藤卓さんは、番組中でのケースで、

デザイナーが主張するのではなく、
商品開発を行う企業との、やりとりの中から
ユーザーに支持されるデザインを見つけていく

方法を採っていました。


となると、

やりとりする商品開発企業のデザイン認識レベルが低ければ、
やりとりのレベルが低くなったり、
デザイン案の採用でもミスジャッジになったりする
可能性があります。


デザイナーに意見を求めることや、
細かいデザイン作業を依頼するのは、よいのですが、
デザイナーに任せ切りではダメなのです。


中小企業で、この点を本当に理解している企業は
まだ多くないと私は感じています。

逆に言うと、知っていればライバルに勝てます!
デザインを勉強していきましょう。

中小企業診断士が、
中小企業の経営、マーケティングの視点をもって書く
このブログがそのお役に立てば、うれしいです。

今後ともよろしくお願いします。


このブログも、この記事で50号となりました!
認知され、アクセス数も増えつつあります。
ありがとうございます。

また、ご感想やご意見をこのブログへのコメントとして
お寄せください。コメント第1号を待っています!

情熱大陸 佐藤卓さんが目指すデザイン

10月14日の情熱大陸に
グラフィックデザイナーの佐藤卓さんが出演していました。
http://www.mbs.jp/jounetsu/2007/10_14.shtml


佐藤卓さんは、日本を代表するグラフィックデザイナーです。

ロッテのキシリトールガム、明治おいしい牛乳のデザインや
NHKの「にほんごであそぼ」の企画など幅広く活躍されています。

佐藤卓デザイン事務所
http://www.tsdo.jp/


番組では、佐藤卓さんが目指すデザインについて、
放送されました。

デザインを顧客に提案する時も、
自分の意見は言わず、顧客からの意見を聞いていました。

デザインは、顧客との「やりとり」の中で見つけていく作業だ
という考えからです。


そして、クリエイターは感性を売り物にするな、
と言います。

どうしてもデザイナーには、デザインしたいという気持ちがある。
しかし、どこまで客観的になれるか、どこまで自分を消せるか。

消した状態で自分が置かれた環境を、
どういうふうに理解できるか、が大切と話します。


商品を主役にし、顧客の立場で考えるということが
突き詰められています。

だから、伝わる、美しくシンプルなデザインが
できるのでしょう。

それは、以前紹介した深澤直人さんが
話していたことにも通じますし、

深澤直人さんを紹介した4月11日の記事
「何にも前提を説明せずに『ね』と言う」
http://brand-design.seesaa.net/article/38396328.html

9月30日に同じく情熱大陸で放送された
作詞家の秋元康さんにも通じます。
http://www.mbs.jp/jounetsu/2007/09_30.shtml

秋元康さんは、自分が面白いと思うものより、
人が面白いと思うものを提供したい、と考えていました。


デザイナーの方は、参考になったのではないでしょうか。
経営コンサルタントも同じです。私も勉強になりました。

担保としてのデザイン資産価値

今日は、日本で初めて行われた、日本政策投資銀行が
アッシュコンセプトのアニマルラバーバンドの
意匠権を担保として融資を行った前回の話の続きです。

融資に結びついたデザインの資産価値を考えます。


融資の流れについて、前回引用した日本政策投資銀行の
コメントから、まず確認しましょう。

日本政策投資銀行は、まず、経営方針やビジネスモデルを
評価した。

そして、アニマルラバーバンドの実績や今後の生み出す
市場価値に着目し、その商品競争力の源泉となるデザイン
(意匠権)に価値を認めて、担保として融資した。


この流れは、決して変わったものではありません。

バブル期の金融機関が、不動産さえあれば、
ビジネスモデルをあまり重視せずに融資実績を競っていたことを
良くないとするなら、

今度の融資のように、まず経営方針、ビジネスモデルを評価し、
さらに資産価値のあるものに担保を設定することは、
普通の流れと言えるでしょう。



次にデザインの資産価値を考えましょう。

デザインに値段をつけることは、デザイナーはしていますが、
企業から見たデザインの価値を算定するのは難しいですよね。


前回の記事でも申し上げましたが、
今度の融資でも、スケッチとしてのデザインや、商品化までのデザイン開発の価値だけが評価されたわけではないと考えます。

デザインを競争力の源泉のひとつとして、
ビジネスとして成功し、そのビジネスに対して融資をする。

今回は、ビジネスの中で最も大きな価値がデザイン(意匠権)だった。

ということでしょう。


私は、デザインがもたらす価値の可能性は大きいが、
商品化、販売、ブランド戦略などのマーケティングを通して
活かされ、企業経営として活かされてこそ、
その可能性が花ひらくのだと思います。

ただのデザインスケッチ、アイデアだけでは価値は限られます。

デザインを商品化し、販売するということ、
そして、デザインを生む、デザインを支える、というビジネスの
土壌があってこそ、デザインは大きな価値を生むのだと思います。


青色発光ダイオードの発明の価値が話題になった時に、
商品化や販売・営業の努力もあったから価値も発生した
という意見がありましたが、デザインも同様でしょう。


ソフト面の経営資源というのは、価値を算定するとなると
このような傾向が見られます。


「デザイン」だけの資産価値が認められたとは、
なかなか言い難いですが、

これまでデザイン・意匠を担保に融資が行われて
いなかったのですから、今度のニュースは、
デザイン業界にとって、やはり画期的ですね。

ロゴは安ければいい?

今日はロゴマーク、ロゴタイプへの投資の考え方についてです。

前回、私はロゴマークを安く作りさえすればよいという
コスト的な考えには賛成できない、と書きました。


安いロゴは、期待できる効果にも、
限界があると考えているからです。

これはもちろん、お金をかければ必ず効果が高い
ということではありませんので、誤解しないでください。

また、安いロゴには効果も限られるというのは、
あくまでも傾向としての一般論であり、
安くても優れているロゴや、
良心価格のデザイン事務所も存在すると思います。

費用対効果が優れていることは良いことですから、
「安いイコール悪い」わけではありません。


ただ、ロゴを安く作れるということは、それなりの理由があるのが
普通で、次のようなことが考えられます。


・デザイナーの実績が少ない
・インターネットだけの受注・制作体制である
・すでにあるロゴデザインを選ばせ、そのバリエーションで作る


言い換えると、優れた実績をもつデザイナーが、
自社を訪問して、よく話を聴いた上で、
ゼロから作ってくれるのは、
安くしようとすると難しいということです。

以前に解説したとおり、ロゴは、VI、CIの構築に
重要な役割を担っていることを考えると、
上記の状況は、決して好ましくないと思うのです。

(参考)以前の記事
2007年7月16日「CI(コーポレート・アイデンティティ)」
2007年7月22日「CI創りとロゴマーク」



本来ならデザインへの投資は、情報システムへの投資と同様、
適切に行うのが理想です。
ロゴへの金額が数万円というのは少ないと思います。

しかし、他に資金を投資すべき状況で、
ロゴに多くの資金を振り向けるのは間違っています。


企業の状況に比べて、安すぎてもダメ、高すぎてもダメ、なのです。

デザインについて、デザイナーの力を借りるのはよいですが、
ロゴへの投資についても、デザイナー任せではいけません。
経営として考えるべきことです。



私が大切だと考えるのは、
ロゴの意義を知っていることや、
ロゴの発注の仕方を間違えないこと、
そして、企業の状況に合わせた投資の仕方です。


それではなぜ、前回、ロゴマークを安く作る話をしたかというと、
数十万、百万円以上かかるというと、それだけで興味をなくしてしまう中小企業の経営者も多いと思ったからです。

数万円のロゴマークにも、しっかり価値はあります。
企業規模が小さければ、価格を抑えることにウエイトを
置いた方が適切な場合もあります。

やはり、ロゴへの費用と効果、両方を知らなくていけません。

その効果にあたるロゴの意義については、次回書きます。


何にも前提を説明せずに「ね」と言う

前回のつづき、深澤直人さんのお話を紹介します。

・・・(紹介始め)・・・・・・

デザインは、あるモノ・コトに対してみんなが
どこかで感じあっている点をを探します。


私たちデザイナーの仕事は、
何にも前提を説明せずに、「ね」って言っているだけ。

お客さんが商品を買うときに、

私たちが「こんな感じですよね?」って言い、

お客さんが「はい、そうです。」とやりとりが成立すればいい

受け手がすでに持っていたマインドを職能として
具体化するのがデザイナーなのです。

・・・(紹介終わり)・・・・・・

商品でもポスターでもWEBサイトでもよいのですが、
お客様が、それらに触れたとき、
「あー、そうそう、そうだな。」と感じてもらえるか
というのは、とても大事なことだと私は思います。

そしてお客様が、論理的に深く納得すればするほど、
もしくは強く共感すればするほど、
そのモノ・コトは高い対価を得られるものになっている、
ともいえるでしょう。

また「何にも前提を説明せずに」というのもポイントですね。

商品の陳列棚でも、街の景観でも、
じっーと見てくれる人ばかりではありませんから。

ビジネスではやはり、わかりやすさも大切です。


展示会 Chocolate は商品化を積極的に狙った
デザイン提案の展示会ではないかもしれませんが、

デザイン力を磨く・発信するという目的をもった、
よい企画展になりそうですね。見に行きたいと思います。

意識の中心

今日は、前回お話しした「クローズアップ現代」
“デザインの力”が世界を制す~問われる日本の戦略~ 
でのデザイナーの深澤直人さんが話した内容についてです。

番組では、深澤直人さんが
21_21 DESIGN SIGHT の第1回企画展の Chocolate 
の狙いを話す場面で、とても興味深いお話がありました。

(参考)Chocolateの六本木経済新聞の記事

デザインの本質に迫るお話だと感じましたので紹介します。

(テレビの話をもとに、私が理解した内容で書き言葉に
変えています。深澤さんの趣旨と変わらないよう注意している
つもりですが、ぴったり合致しないことは、ご容赦ください。)


・・・(紹介始め)・・・・・・

この企画展は、デザインが行う
私たちが言うところの「意識の中心」を
どこに見つけて、置くかということに焦点をあてたものです。

題材としたチョコレートは、中心がたくさんあります。

これは、チョコレートの形を憶えているだけでなく、

例えば、アーモンドが入ったチョコレートを口に入れて、
口の中でチョコレートだけを溶かして、アーモンドだけを
残したりするという食べ方だったり、

また、子供が口の周りやTシャツにチョコレートを
いっぱいつけてしまう、というような

幸せの現象、もチョコレートの中心だったりするのです。


そのチョコレートがもっている切り口・視点(=中心)に、
デザイナーが意識を向けられるかどうか。

デザイナーは、誰もが知っているモノ・コトに対しての
切り口・視点を見つけて、意識を向けていくことが大切です。

デザイナーはいろいろ探し、考えるのですが、
見つけ出したものに、
それは本当にみんなが知っている中心ですか?
と、私たちは問いかけていきます。


私(=デザイナー自身)しか知らないということではなく、
みんなが知っているものを、私が一番最初に見つけた

というようなことが、この展示会ではやりたかったのです。

・・・(紹介終わり)・・・・・・


私も、モノ・コトがもつ機能であったり、感情であったり、
その切り口・視点を見つけて提示するということが、
デザイナーとしての仕事のひとつであると思います。

深澤直人さんは、この点で特に優れていることが、
高く評価されている理由のひとつではないでしょうか。

深澤さんのお話は、とてもわかりやすく、素晴らしかったので、
次回もこのテーマを続けたいと思います。

クローズアップ現代 デザイン戦略

今日は、NHK総合テレビの「クローズアップ現代」
先ほど放送された
“デザインの力”が世界を制す~問われる日本の戦略~ 
の話題です。

放送では、デザインがビジネスにおいて重要になっている
ことや、国の産業政策として力をいれている英国などを
紹介していました。

イギリスは、デザインを輸出産業として育てており、
年間2300億円を輸出していると大使館の人が話していました。

デザイナーの仕事を輸出しているのです。
大きな金額だと思います。


企業としては、アップルコンピュータ、IKEA(イケア)、
LG電子が取り上げられていました。

番組では、これらの外国企業の動きに対して、
日本のデザイン力を伸ばして世界に発信しようとする、
三宅一生さん、深澤直人さんなどの活動を取り上げています。


ソニー最高顧問の出井伸之さんが出演した
昨日放送したテレビ東京のカンブリア宮殿でも、
日本のマーケットサイズが中途半端にあるため、日本企業が
世界に目を向けて製品を作っていく考えが弱い点を
話していました。

もはや、良いデザイン、良いものづくりは、
世界レベルで考えていく時代ですね。

この番組では、面白い話がたくさんありましたので、
次回以降も紹介します。