デザイン発注者の認識レベルも求められる

昨日の続きを。
(昨日の記事)
http://brand-design.seesaa.net/article/61620705.html

佐藤卓さんのような素晴らしいデザイナーは、
デザインを依頼する側からみると、とても心強い存在です。

しかし、発注者のデザイン認識レベルも高くなくてはいけません。

これは大きなポイントです。


佐藤卓さんは、番組中でのケースで、

デザイナーが主張するのではなく、
商品開発を行う企業との、やりとりの中から
ユーザーに支持されるデザインを見つけていく

方法を採っていました。


となると、

やりとりする商品開発企業のデザイン認識レベルが低ければ、
やりとりのレベルが低くなったり、
デザイン案の採用でもミスジャッジになったりする
可能性があります。


デザイナーに意見を求めることや、
細かいデザイン作業を依頼するのは、よいのですが、
デザイナーに任せ切りではダメなのです。


中小企業で、この点を本当に理解している企業は
まだ多くないと私は感じています。

逆に言うと、知っていればライバルに勝てます!
デザインを勉強していきましょう。

中小企業診断士が、
中小企業の経営、マーケティングの視点をもって書く
このブログがそのお役に立てば、うれしいです。

今後ともよろしくお願いします。


このブログも、この記事で50号となりました!
認知され、アクセス数も増えつつあります。
ありがとうございます。

また、ご感想やご意見をこのブログへのコメントとして
お寄せください。コメント第1号を待っています!

情熱大陸 佐藤卓さんが目指すデザイン

10月14日の情熱大陸に
グラフィックデザイナーの佐藤卓さんが出演していました。
http://www.mbs.jp/jounetsu/2007/10_14.shtml


佐藤卓さんは、日本を代表するグラフィックデザイナーです。

ロッテのキシリトールガム、明治おいしい牛乳のデザインや
NHKの「にほんごであそぼ」の企画など幅広く活躍されています。

佐藤卓デザイン事務所
http://www.tsdo.jp/


番組では、佐藤卓さんが目指すデザインについて、
放送されました。

デザインを顧客に提案する時も、
自分の意見は言わず、顧客からの意見を聞いていました。

デザインは、顧客との「やりとり」の中で見つけていく作業だ
という考えからです。


そして、クリエイターは感性を売り物にするな、
と言います。

どうしてもデザイナーには、デザインしたいという気持ちがある。
しかし、どこまで客観的になれるか、どこまで自分を消せるか。

消した状態で自分が置かれた環境を、
どういうふうに理解できるか、が大切と話します。


商品を主役にし、顧客の立場で考えるということが
突き詰められています。

だから、伝わる、美しくシンプルなデザインが
できるのでしょう。

それは、以前紹介した深澤直人さんが
話していたことにも通じますし、

深澤直人さんを紹介した4月11日の記事
「何にも前提を説明せずに『ね』と言う」
http://brand-design.seesaa.net/article/38396328.html

9月30日に同じく情熱大陸で放送された
作詞家の秋元康さんにも通じます。
http://www.mbs.jp/jounetsu/2007/09_30.shtml

秋元康さんは、自分が面白いと思うものより、
人が面白いと思うものを提供したい、と考えていました。


デザイナーの方は、参考になったのではないでしょうか。
経営コンサルタントも同じです。私も勉強になりました。

担保としてのデザイン資産価値

今日は、日本で初めて行われた、日本政策投資銀行が
アッシュコンセプトのアニマルラバーバンドの
意匠権を担保として融資を行った前回の話の続きです。

融資に結びついたデザインの資産価値を考えます。


融資の流れについて、前回引用した日本政策投資銀行の
コメントから、まず確認しましょう。

日本政策投資銀行は、まず、経営方針やビジネスモデルを
評価した。

そして、アニマルラバーバンドの実績や今後の生み出す
市場価値に着目し、その商品競争力の源泉となるデザイン
(意匠権)に価値を認めて、担保として融資した。


この流れは、決して変わったものではありません。

バブル期の金融機関が、不動産さえあれば、
ビジネスモデルをあまり重視せずに融資実績を競っていたことを
良くないとするなら、

今度の融資のように、まず経営方針、ビジネスモデルを評価し、
さらに資産価値のあるものに担保を設定することは、
普通の流れと言えるでしょう。



次にデザインの資産価値を考えましょう。

デザインに値段をつけることは、デザイナーはしていますが、
企業から見たデザインの価値を算定するのは難しいですよね。


前回の記事でも申し上げましたが、
今度の融資でも、スケッチとしてのデザインや、商品化までのデザイン開発の価値だけが評価されたわけではないと考えます。

デザインを競争力の源泉のひとつとして、
ビジネスとして成功し、そのビジネスに対して融資をする。

今回は、ビジネスの中で最も大きな価値がデザイン(意匠権)だった。

ということでしょう。


私は、デザインがもたらす価値の可能性は大きいが、
商品化、販売、ブランド戦略などのマーケティングを通して
活かされ、企業経営として活かされてこそ、
その可能性が花ひらくのだと思います。

ただのデザインスケッチ、アイデアだけでは価値は限られます。

デザインを商品化し、販売するということ、
そして、デザインを生む、デザインを支える、というビジネスの
土壌があってこそ、デザインは大きな価値を生むのだと思います。


青色発光ダイオードの発明の価値が話題になった時に、
商品化や販売・営業の努力もあったから価値も発生した
という意見がありましたが、デザインも同様でしょう。


ソフト面の経営資源というのは、価値を算定するとなると
このような傾向が見られます。


「デザイン」だけの資産価値が認められたとは、
なかなか言い難いですが、

これまでデザイン・意匠を担保に融資が行われて
いなかったのですから、今度のニュースは、
デザイン業界にとって、やはり画期的ですね。

ロゴは安ければいい?

今日はロゴマーク、ロゴタイプへの投資の考え方についてです。

前回、私はロゴマークを安く作りさえすればよいという
コスト的な考えには賛成できない、と書きました。


安いロゴは、期待できる効果にも、
限界があると考えているからです。

これはもちろん、お金をかければ必ず効果が高い
ということではありませんので、誤解しないでください。

また、安いロゴには効果も限られるというのは、
あくまでも傾向としての一般論であり、
安くても優れているロゴや、
良心価格のデザイン事務所も存在すると思います。

費用対効果が優れていることは良いことですから、
「安いイコール悪い」わけではありません。


ただ、ロゴを安く作れるということは、それなりの理由があるのが
普通で、次のようなことが考えられます。


・デザイナーの実績が少ない
・インターネットだけの受注・制作体制である
・すでにあるロゴデザインを選ばせ、そのバリエーションで作る


言い換えると、優れた実績をもつデザイナーが、
自社を訪問して、よく話を聴いた上で、
ゼロから作ってくれるのは、
安くしようとすると難しいということです。

以前に解説したとおり、ロゴは、VI、CIの構築に
重要な役割を担っていることを考えると、
上記の状況は、決して好ましくないと思うのです。

(参考)以前の記事
2007年7月16日「CI(コーポレート・アイデンティティ)」
2007年7月22日「CI創りとロゴマーク」



本来ならデザインへの投資は、情報システムへの投資と同様、
適切に行うのが理想です。
ロゴへの金額が数万円というのは少ないと思います。

しかし、他に資金を投資すべき状況で、
ロゴに多くの資金を振り向けるのは間違っています。


企業の状況に比べて、安すぎてもダメ、高すぎてもダメ、なのです。

デザインについて、デザイナーの力を借りるのはよいですが、
ロゴへの投資についても、デザイナー任せではいけません。
経営として考えるべきことです。



私が大切だと考えるのは、
ロゴの意義を知っていることや、
ロゴの発注の仕方を間違えないこと、
そして、企業の状況に合わせた投資の仕方です。


それではなぜ、前回、ロゴマークを安く作る話をしたかというと、
数十万、百万円以上かかるというと、それだけで興味をなくしてしまう中小企業の経営者も多いと思ったからです。

数万円のロゴマークにも、しっかり価値はあります。
企業規模が小さければ、価格を抑えることにウエイトを
置いた方が適切な場合もあります。

やはり、ロゴへの費用と効果、両方を知らなくていけません。

その効果にあたるロゴの意義については、次回書きます。


何にも前提を説明せずに「ね」と言う

前回のつづき、深澤直人さんのお話を紹介します。

・・・(紹介始め)・・・・・・

デザインは、あるモノ・コトに対してみんなが
どこかで感じあっている点をを探します。


私たちデザイナーの仕事は、
何にも前提を説明せずに、「ね」って言っているだけ。

お客さんが商品を買うときに、

私たちが「こんな感じですよね?」って言い、

お客さんが「はい、そうです。」とやりとりが成立すればいい

受け手がすでに持っていたマインドを職能として
具体化するのがデザイナーなのです。

・・・(紹介終わり)・・・・・・

商品でもポスターでもWEBサイトでもよいのですが、
お客様が、それらに触れたとき、
「あー、そうそう、そうだな。」と感じてもらえるか
というのは、とても大事なことだと私は思います。

そしてお客様が、論理的に深く納得すればするほど、
もしくは強く共感すればするほど、
そのモノ・コトは高い対価を得られるものになっている、
ともいえるでしょう。

また「何にも前提を説明せずに」というのもポイントですね。

商品の陳列棚でも、街の景観でも、
じっーと見てくれる人ばかりではありませんから。

ビジネスではやはり、わかりやすさも大切です。


展示会 Chocolate は商品化を積極的に狙った
デザイン提案の展示会ではないかもしれませんが、

デザイン力を磨く・発信するという目的をもった、
よい企画展になりそうですね。見に行きたいと思います。

意識の中心

今日は、前回お話しした「クローズアップ現代」
“デザインの力”が世界を制す~問われる日本の戦略~ 
でのデザイナーの深澤直人さんが話した内容についてです。

番組では、深澤直人さんが
21_21 DESIGN SIGHT の第1回企画展の Chocolate 
の狙いを話す場面で、とても興味深いお話がありました。

(参考)Chocolateの六本木経済新聞の記事

デザインの本質に迫るお話だと感じましたので紹介します。

(テレビの話をもとに、私が理解した内容で書き言葉に
変えています。深澤さんの趣旨と変わらないよう注意している
つもりですが、ぴったり合致しないことは、ご容赦ください。)


・・・(紹介始め)・・・・・・

この企画展は、デザインが行う
私たちが言うところの「意識の中心」を
どこに見つけて、置くかということに焦点をあてたものです。

題材としたチョコレートは、中心がたくさんあります。

これは、チョコレートの形を憶えているだけでなく、

例えば、アーモンドが入ったチョコレートを口に入れて、
口の中でチョコレートだけを溶かして、アーモンドだけを
残したりするという食べ方だったり、

また、子供が口の周りやTシャツにチョコレートを
いっぱいつけてしまう、というような

幸せの現象、もチョコレートの中心だったりするのです。


そのチョコレートがもっている切り口・視点(=中心)に、
デザイナーが意識を向けられるかどうか。

デザイナーは、誰もが知っているモノ・コトに対しての
切り口・視点を見つけて、意識を向けていくことが大切です。

デザイナーはいろいろ探し、考えるのですが、
見つけ出したものに、
それは本当にみんなが知っている中心ですか?
と、私たちは問いかけていきます。


私(=デザイナー自身)しか知らないということではなく、
みんなが知っているものを、私が一番最初に見つけた

というようなことが、この展示会ではやりたかったのです。

・・・(紹介終わり)・・・・・・


私も、モノ・コトがもつ機能であったり、感情であったり、
その切り口・視点を見つけて提示するということが、
デザイナーとしての仕事のひとつであると思います。

深澤直人さんは、この点で特に優れていることが、
高く評価されている理由のひとつではないでしょうか。

深澤さんのお話は、とてもわかりやすく、素晴らしかったので、
次回もこのテーマを続けたいと思います。

クローズアップ現代 デザイン戦略

今日は、NHK総合テレビの「クローズアップ現代」
先ほど放送された
“デザインの力”が世界を制す~問われる日本の戦略~ 
の話題です。

放送では、デザインがビジネスにおいて重要になっている
ことや、国の産業政策として力をいれている英国などを
紹介していました。

イギリスは、デザインを輸出産業として育てており、
年間2300億円を輸出していると大使館の人が話していました。

デザイナーの仕事を輸出しているのです。
大きな金額だと思います。


企業としては、アップルコンピュータ、IKEA(イケア)、
LG電子が取り上げられていました。

番組では、これらの外国企業の動きに対して、
日本のデザイン力を伸ばして世界に発信しようとする、
三宅一生さん、深澤直人さんなどの活動を取り上げています。


ソニー最高顧問の出井伸之さんが出演した
昨日放送したテレビ東京のカンブリア宮殿でも、
日本のマーケットサイズが中途半端にあるため、日本企業が
世界に目を向けて製品を作っていく考えが弱い点を
話していました。

もはや、良いデザイン、良いものづくりは、
世界レベルで考えていく時代ですね。

この番組では、面白い話がたくさんありましたので、
次回以降も紹介します。