「デザイナー活用ガイド」から「デザイン活用ガイド」へ改訂

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

先週、友人の中小企業診断士が「一週間の中に四季があるようだ」
と言っていて、うまい表現だなと思いました。

夏日も霜もある日々で17日に及んでは東京も雪でした。
体調管理に一層注意が必要ですね。
でも今日の横浜は気持ちの良い快晴です!

今日はデザイン活用ガイドをご紹介します。

東京都が今年3月に発行しました。東京都中小企業振興公社の
webサイトから無料ダウンロードできます。

デザイン活用ガイド
http://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/design/guide.html

製品デザイン(プロダクトデザイン)について
デザイナーと初めて取引したい方に向けて書かれています。

東京都中小企業振興公社に在籍していた私が平成18年に企画・
編集した「デザイナー活用ガイド」を全面的に改訂した内容です。

タイトルも「デザイナー活用ガイド」から
「デザイン活用ガイド」へ変わっています。

旧「デザイナー活用ガイド」は日本デザイン事業協同組合(JDB)や
私が主に執筆しましたが、新たな「デザイン活用ガイド」は
執筆者が異なりますので、内容も大きく異なります。

そのため旧「デザイナー活用ガイド」の読者もあらためて
楽しんでいただけます。

契約書のひな型もあります。使える冊子ですよ。

ただ、旧作では掲載に苦労したデザイン費用の金額も
新しく充実していることを期待したのですが、
縮小してしまったのは寂しかったです。

しかし、制作する側はお客様のニーズを踏まえて改訂しますから、
当時とはデザインに対する中小企業の認識も変わった、
と捉えたのでしょう。

もちろん私もニーズの変化は感じています。

新しいニーズに応えるコンサルティングや講演を行う中で、
今後もリクエストに応じて、デザイナー活用ガイドに
掲載されていた考え方も伝えていきます。

エコプロダクツという視点を持っていますか?

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

10月15日に川崎市環境産業フォーラムが
主催するセミナーに参加しました。

タイトルは「中小企業のエコプロダクツ入門」で、
講師は益田文和さん(東京造形大学教授)でした。

以前に神奈川サステナブルデザインフォーラムで
益田先生の学生さんの発表を聞いて
大変関心を持っていたので、参加しました。

このテーマの第一人者ということで
やはり講演は内容の濃いものでした。

サステナブルデザインにも触れ、
単に環境負荷の低い製品開発を行うというだけでなく、
社会全体のあり方まで考えさせられるものでした。

経営コンサルタントとしては、日々経済活動の促進を
促している立場としては、少々耳が痛いところもありました。

エコデザインとは環境効率を高める設計です。

また、サステナブルデザインは、
地球に住む人すべてが先進国並みの生活を行うことは
地球資源上不可能があり、地球資源を永続的に保っていける
生活スタイルへの設計、といえるでしょう。

社会に消費者に価値を届けるのが経済活動ですが、
中小企業であっても、社会に消費者に環境を考えた
商品・サービスを提供する考えを持つべきでしょう。

今年は洞爺湖サミットもありました。
世界の意識は変わりつつあります。

環境問題も中小企業にとって社会のニーズに応える
ビジネスチャンスと捉えたいですね。

環境に配慮した製品(エコプロダクツ)の開発も
その第一歩といえると思います。

よいデザインとは

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日のテーマは「よいデザインとは何か」です。

かなり深いテーマですが、
私が考える「よいデザインとは」をお話します。


まず、よいデザインとは「誰にとって」よいのか。

私は、その主体には生産者、流通者、消費者だけでなく、
社会、環境もあてはまると思います。

そして「よいデザイン」とは、大きく分けて
次の4つの視点のどれか(いくつか)が優れている
デザインだと考えています。

「感性」美しい・心地よい
「働き」使いやすい・効果が高い
「経済」経済性が高い
「社会」社会・地球環境によい

4つすべて揃っていないくても、
よいデザインという場合もあるでしょうが、
やはり4つとも一定水準まで欲しいですね。

さまざまな価値観があり、良し悪しの評価が難しいのが
デザインの面白さであり、難しさなのでしょう。


「よいデザイン」は英語にすると「グッドデザイン」(笑)。

ということで、明日は2007年度のグッドデザイン賞審査基準と
今年度のグッドデザイン賞審査理念をご紹介します。

デザインに関する意識調査

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日はデザインに関するデータをご紹介します。

「デザインに関する意識調査」の結果レポートが、
(財)日本産業デザイン振興会のWebサイトに
掲載されています。

この調査は、日本産業デザイン振興会とgooリサーチが共同で
実施したものです。


調査は、生活者のデザイン意識を把握するために実施され、
10代、20代、30代、40代、50代以上の男女が
それぞれ約10%程度回答しています。


結果の中で私が注目したのは以下の点です。


デザインに興味があると回答したのは71.8%

デザインに興味があるが、
デザインに関する知識はあまりない人は47.6%

デザインは「美しさ」だけでなく「機能性」「使いやすさ」も
関係があると回答する人が多い。

商品を買う時に一番重要として挙げられた要素は、多い順に、
機能性、見た目の印象、使いやすさ、価格である。


この調査だけで断定するのは適当ではありませんが、
デザインに対する生活者の関心は高い
と言えるのではないでしょうか。

調査の詳細や正式なデータは、
下記リンクの日本産業デザイン振興会のWebサイトをご覧ください。
http://www.jidpo.or.jp/activity/research/0801/index.html

深澤直人さんの課外授業

10月20日に放送されたNHKの「課外授業ようこそ先輩」
深澤直人さんが登場していました。

今日の話題は、番組の中で取り上げられた
デザインという行為、プロセスについてです。


この番組は、社会の第一線で活躍している方が、
ご自身の母校の小学校に行き、自分の仕事のエッセンスを
子供に体験させ、伝える課外授業の番組です。


工業デザイナーが行っていることを、
小学生に体験してもらい、そのプロセスから
ものごとを学んでもらっていました。

深澤さんは、子供たちに「人が考えずにやってしまうこと」を
探す課題を出しました。

深澤さんは、例として、傘たてがない玄関で、
傘の先端をタイルの目地に合わせて、
傘を少しでも安定させて立てておこうとする
ことを挙げました。


人がなにげなく行ってしまうことを観察し、
その行為からデザインを生み出していくのです。

玄関に一本溝を掘ってあるデザインがそこから生まれました。


子供たちは、学校や街の中を観察して、
「考えずにやってしまうこと」を集めてきます。

そして、その行為のネタから、
使う人が幸せになれるデザインアイデアを考えてくるのです。


子供たちのアイデアも素晴らしいものでした。

玄関脇の下駄箱上に無造作に置かれる鍵を見て、

鍵に花の形のキーホルダーをつけ、
その花の形のチップが、たくさん置いてある
小型のプランターのようなデザインをした小物入れ(鍵入れ)
なんてデザインアイデアもあり、素敵でした。


家から帰ってきて、小物入れに鍵をポンと置く。
すると花に中に鍵がまぎれて、心も和みますよね。
キーホルダーとしてもおしゃれです。


子供たちも立派でしたが、
デザインは、使う人の行為を観察すること、
そして、使う人を幸せにすること
、というポイントを
わかりやすく教えてくれる深澤さん、お見事でした。


デザイン分野

これまでデザインについて、いろいろお伝えしてきましたが、
まだデザインの種類・分野については、
お話していませんでした。

ですので、ここで一度基本に立ち返って
今日はデザインの分野について説明します。


デザインには、たくさんの分野があります。

デザインと言って、まず多くの方が連想するのは、
きっと服飾デザインでしょう。

靴や帽子、かばんなども含めてファッションデザインは、
みんなが知っているデザイン分野です。

しかし、他にも

インテリアデザイン
建築デザイン
グラフィックデザイン
Webデザイン
パッケージデザイン
店舗デザイン
照明デザイン

などのデザイン分野があるのです。


また、聞き慣れない言葉かもしれませんが、

インダストリアルデザイン
クラフトデザイン

なんていうデザイン分野もあります。


インダストリアルデザインは、
工業デザインとも呼ばれる工業製品のデザインのことです。

クラフトデザインは工芸
(木工や漆製品、ガラス、テキスタイル)の
デザインのことで、結構大きな分野です。
テキスタイルとは織物のことです。

他にもまだまだ、たくさんのデザイン分野があります。


しかし、これらのデザイン分野を示す言葉には、
示す範囲に明確な線引きはなく、
使う人によって意味に幅があると思います。

プロダクトデザインという製品デザインを指す言葉も、
インダストリアルからインテリアなども含んだ
使い方をする場合があります。

また、パッケージデザインでは、
グラフィックデザインも行うことは普通です。

デザインの分野が重なっているのです。


中小企業の経営者のみなさんは、
あらゆるものにデザインがあることと、
デザイン分野を指す言葉の大体の意味は、
知っていると良いでしょう。


デザインに関する言葉は、
このブログで少しずつ解説していきます。

また、すでに下の4つの言葉は解説していますから、
ご覧になってください。

ユニバーサルデザイン
アクセシブルデザイン
インクルーシブデザイン
トランスジェネレーションデザイン



インクルーシブ、トランスジェネレーションデザイン

今日は短めに。

テーマは、5月5日の記事で紹介した
経済産業省の環境生活標準化推進室の資料
http://www.jisc.go.jp/jisc/pdf/pdf14thShouseitoku/shiryou6-1.pdf
に登場した

インクルーシブデザイン
トランスジェネレーションデザイン
についてです。

実は、私は今回の資料を見るまでは、
二つの言葉とも知りませんでした。

日本では、まだあまり使われていない言葉だと思います。

少し調べてみました。

インクルーシブデザイン(inclusive design)は、
イギリスをはじめとした
ヨーロッパでよく用いられている言葉のようです。

インクルーシブデザインも、やはり資料の通り、
アクセシブルデザインやユニバーサルデザインと
同義と考えてよいようです。

注:「ビジネスマンのための『行動観察』入門」松波晴人によると、
デザインのプロセスにて必ずユーザに参画(インクルード)してもらう
デザイン手法、と説明している。2012.12.30追記

トランスジェネレーションデザインは、
たぶん、世代を越えるデザイン
という意味ではないかと思われます。

こちらもユニバーサルデザインなどとほぼ同義と
考えてよいと思います。

ユニバーサルデザインを考える

今日はユニバーサルデザインについて私の考えを述べます。

前回では、ユニバーサルデザインと
アクセシブルデザインの意味が同じか違うか、
そんな議論を紹介しました。(前回の記事)

私は、実はあまりこの議論を突き詰めなくても
よいのではないかと考えています。


それは考え方や言葉の定義よりも、
実際に多くの人にとって使いやすいデザインであるか
どうかこそが重要だと考えているからです。


確かに、考え方の出発点は異なるので、
二つの言葉を使い分けるという主張は理解できます。

しかし、高齢者や障害者の人たちが使うことを
想定しなければ、本当に優れた
ユニバーサルデザインは作れないと私は思うのです。

どういうことか説明します。

実際に多くの人にとって使いやすいデザインを
目指すとなると、

高齢者や子ども、障害のある方に試作品を
使ってもらいながら、その方たちの意見を聞きながら、
デザイン開発を進める必要があります。

だから、多くの人にとって使いやすいということは、
利用者としてあらゆる人を想定して作られたと思うのです。


となると、
実際に多くの人にとって使いやすいデザインを作るためには、

「高齢者や障害のある人たちにとって使いやすくしよう」
という考え方をもたないとするユニバーサルデザインでは
近づけないような気がするのです。

でも、それではユニバーサルデザインの目指すものと
相反しますよね。


私が大切にしたいのは、できるだけ多くの人にとって
使いやすいデザインが増えていくことですから、
この言葉の意味の違いについて、
突き詰めたいと思わないのです。



一方で、使い分けてもよいと思うケースの具体例を挙げます。

例えば、すでにデザインされていたものに対して、
手すりや印をつけて扱いやすくすることなどは、

アクセシブルデザインといった方が、ユニバーサルデザイン
というよりは、言葉のイメージに近いと思います。




また、ユニバーサルデザインについて、
注意が必要だと思う点を述べます。

世の中には、さまざまな方がいらっしゃいます。

努力してユニバーサルデザインに取り組んだ
製品、建物、空間を作ったとして、
本当にあらゆるの人が使いやすくなっているのでしょうか?

本当にすべての人に使いやすい製品、建物、空間なんて
実は作れないと思うのです。

それをユニバーサルデザインといって、
これでみんなが使いやすくなったと、
決めつけて完結してしまうのは、
まだ改善や配慮が不足していると思うのです。



私が大切にすべきと思うのは、

あらゆる人にとって使いやすいデザインになるよう、
多くの人に試しに利用してもらったり、
意見を頂戴したりしながら、

少しでも多くの人に使いやすいデザインにしようとする
真摯なデザイン開発への取り組みです。


それさえあれば、言葉を厳密に定義づけることは
それほど重要ではないと感じるのです。

みなさんはどのようにお考えですか?

ユニバーサルデザイン

今日はユニバーサルデザインについてです。

ユニバーサルデザインは、
前回取り上げたアクセシブルデザインに近い言葉です。

ユニバーサルデザインとは、
あらゆる人が利用可能であるように製品、建物、
空間をデザインすること
を指します。

アメリカのノースカロライナ州立大学の
ロナルド・メイス氏が1980年代に提唱したものとされます。


ユニバーサルデザインには次の7原則があります。

1.誰もが公平に使える
2.使い方がさまざまあり、柔軟性がある
3.使い方が簡単で理解しやすい
4.情報がわかりやすい
5.誤った使い方でも事故を起こさず現状復帰できる
6.少ない身体的負担で使用できる
7.使いやすい大きさや広さが確保されている



ユニバーサルデザインという言葉は、
アクセシブルデザインより広まっていると思います。

前回ご紹介した
経済産業省の環境生活標準化推進室の資料では、

アクセシブルデザインとユニバーサルデザインは
基本的に同義としています。


これに対し、2つの言葉は意味が違う
とする意見をもつ方もいらっしゃいます。

違いがあるとするポイントで、
一番主なものは、以下のものだと思われます。


・・・・・・・
アクセシブルデザインは、高齢者や障害者を
対象とし、その方たちが使えるようにすることを
目的としているのに対し、

ユニバーサルデザインは、高齢者や障害者
という区分をもたず、すべての人が使える
デザインをするという考え方である。
・・・・・・・


ユニバーサルデザインでは、
「高齢者や障害者の人たちのために」
という考え方をもたない、ということだと思います。

考え方の出発点が異なるようです。


私の考えは、記事が長くなってしまいましたので
次回にします。


(今日の記事で参考にしたWEBページ)
川崎市経済局発行「ユニバーサルデザイン導入ハンドブック」
ユニバーサルデザイン・コンソーシアムのページ


アクセシブルデザイン

ゴールデンウィークはいかがお過ごしですか?
晴天で行楽日和が多かったと思います。

そんな中、5月3日の日本経済新聞に

日本、中国、韓国の三カ国は共同で、
「アクセシブルデザイン」の国際規格取得に乗り出している
という記事がありました。

今日はこの話題です。


「アクセシブルデザイン」とは、耳慣れない言葉だと
思いますので、経済産業省の環境生活標準化推進室の資料を
もとに説明します。

http://www.jisc.go.jp/jisc/pdf/pdf14thShouseitoku/shiryou6-1.pdf
(日経の記事の情報源とも思われます。)


アクセシブルデザインとは、
高齢者・障害のある人々の利便性を配慮しつつ、
健常者の利便性も確保することを目的として、

従来の設計を高齢者や障害のある人々の
ニーズに合わせ拡張することによって、

製品、サービス、建物などがそのまま利用できる
潜在顧客数を最大限に増やすための設計です。


これにより、ビジネス拡大の効果を得ることが可能であるが、
ビジネスを最優先させるのではなく、
高齢者や障害のある人々の利便性を高めることが
主たるねらいです。

(アクセシブルデザインの説明はここまで)


このたび、ISO(国際化標準化機構)へ提案した
アクセシブルデザインの規格は、

家電製品の報知音の規格、

シャンプーや調味料などの容器の側面についた
凹凸や突起で中身を示す規格や、

電卓の「5」のボタンやパソコンのキーについた突起の規格

など、日本工業規格(JIS)で規定されている五分野です。


日経の記事では、

アクセシブルデザインが施された商品の国内市場は
2兆円ほどで、JISをもとにした国際規格が取得できれば、
関連する日本企業にとって、
海外企業への技術移転や販路拡大など
ビジネスチャンスが広がる可能性がある。

としています。


記事から日経がビジネスの側面を
大きく取り上げていることがうかがえます。

確かに、JIS規格が国際規格となれば、
日本企業としてはビジネス上有利ですよね。


しかし、私としては、ビジネスチャンス以上に
世界どこへ行っても、
誰もが扱いやすい製品が市場にあることが
すばらしいと思うのですが、いかがでしょうか?

これは、経済産業省が説明したアクセシブルデザインの
考え方にも通じるところがあります。

もともとアクセシブルデザインを作った人は、
使う人の利便性を考えて作ったはずですから、

仮に、電卓の突起が「4」や「6」につけている
国があったとしても、どちらかに統一してほしいですよね。

本当にその突起を頼りに電卓に数字を入力している
人がいるのですから。


もちろん国益もあるでしょうし、
ビジネスのことを考えることは大切です。

デザインをビジネスに活かすということを
話している経営コンサルタントという立場では、
難しい場面ですが、

やはり、使う人が喜んでくれるデザインを求めたいと思います。

私は、商売はお客様が喜んでこそ、だと考えています。

「きれいごとだけを言うな」と言われるかもしれませんが、
商売は、そうあって欲しいものです。

もちろん、ビジネスとしても、使う人にとっても
両方にメリットがあるというのが、実際には
大多数ですし、そうであれば一番良いわけです。

経済産業省(日本工業標準調査会、JISC)の取り組みが
うまく進むとよいですね。