おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
先週は駆け込み需要の取り込みについて書きましたが、
今日は消費税増税後の需要減を考えていきます。
まず、どの費目の需要が減るか考えます。
先週ご紹介した駆け込み需要をする項目
(家電、車、食品、日用品など)は
需要を先食いしていますので当然のことながら減ります。
その他に次の調査結果を見ると、
消費者が何をどれくらい節約しようとしているかがわかります。
マクロミル「消費税に関する調査」(2013年10月)
http://www.macromill.com/r_data/20131007consumptiontax/http://www.macromill.com/r_data/20131007consumptiontax/20131007consumptiontax.pdf4月以降に節約しますか?
大幅に節約する(22.2%)
やや節約する(45.5%)
ほとんど節約はしない(23.8%)
節約はしない(8.5%)
何を節約しますか?
多い順に、食費、外食費、服代、日用品、旅行・・・、以下続く
節約しようという人が68%います。
節約費目に挙げられたものの関連業界は特に警戒が必要です。
さらに別の観点で節約意識を考えます。
家計簿を日頃からつけている世帯の割合を
ご存じでしょうか。
公益財団法人家計経済研究所
「消費生活に関するパネル調査」について(2012年10月)
http://www.kakeiken.or.jp/jp/jpsc/panel20/results.htmlhttp://www.kakeiken.or.jp/jp/jpsc/pressrelease/p20_all.pdf同調査によると、
家計簿を現在つけている人は34%、
以前はつけていたが現在はつけていない人が40%です。
家計簿をつけている人は、もともと節約意識が高いうえに、
増税分の支出増を的確に把握するだけに、
その分の消費減が考えられます。
ただ、同調査の対象は、28歳~53歳の女性1955人
(うち有配偶者1371人、無配偶者584人)であることは
日本全体と少し離れているので留意しましょう。
これらの調査を見ると、私は節約意識がある人は
国民の約半数と見ています。
仮に節約意識がなくても、収入や貯蓄がなければ消費も困難です。
収入を見ると、
厚生労働省の毎月勤労統計調査の現金給与総額は、
この1年横ばいです。
年金支給額は、本来よりも高い水準だった特例の解消もあって、
2013年10月(12月支払分)から1.0%減、
2014年4月(6月支払分)から0.7%減となります。
以上から、収入が伸びる見通しは現状ではあまり立っていません。
賃金の上昇が今春にどの程度実現するか注目です。
株式などの金融資産以外は、
収入増までにどうしても時間差が必要ですが、
アベノミクスから1年が経過し、今春は正念場でしょう。
貯蓄を見ると、
国民経済計算による平成24年度の家計貯蓄率は1.0%と、
家計に余裕が少なくなっています。
また、金融広報中央委員会の
「家計の金融行動に関する世論調査」(二人以上世帯調査)
http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/yoron2013fut/によると、
いわゆる「貯蓄ゼロ世帯」(日常的な出し入れに備えている以外の
預貯金、株、保険等の金融資産がない)が2013年では31.0%です。
貯蓄が少ない家計では、収入増がない限り、
節約意識にかかわらず増税による支出分の購買はできなくなります。
以上から、4月以降の消費は厳しいと予想します。
短期、中期にわたる企業の対策が求められます。
なお、住民税非課税世帯には1回限りですが
一人当たり1万円が給付されるようです。
皆さんの業界における節約意識をおおまかにつかめたでしょうか。
ここまで長くなってしまいました。
4月以降の企業の対応策は次回に持ち越しです。