「世界のデザイン・ミュージアム」ガイド本

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
前回「世界のデザインミュージアム トップ8」を書きました。
https://brand-design.seesaa.net/article/490155846.html

それでデザインミュージアムに興味を持った方へ
お勧めの書籍を紹介します。

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世界のデザイン・ミュージアム
著者:暮沢 剛巳、出版社:大和書房
https://www.daiwashobo.co.jp/book/b166246.html

美術評論家の暮沢剛巳さんが
世界9カ国25館のデザインミュージアムを訪れて、
そのコレクションや展示、ミュージアムの歴史などを解説しています。

ひとつのミュージアムについて約8ページ、
ミュージアムの設立経緯や建物の説明も掲載されています。
写真も豊富です。

掲載されているデザイン・ミュージアムは以下の通りです。

イギリス
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
ロンドン・デザイン・ミュージアム

フランス
ポンピドゥー芸術文化センター
ポンピドゥー芸術文化センターメス分館
ナンシー派美術館
パリ装飾芸術美術館

スイス
チューリヒ・デザイン・ミュージアム
ヴィトラ・デザイン・ミュージアム

ドイツ
バウハウス
モダン・ピナコテーク
ニュルンベルク新美術館
ヴァイデン国際陶磁美術館
メルセデス=ベンツ・ミュージアム
マイセン磁器博物館
クンストパラスト美術館
ハンブルク美術工芸博物館
フランクフルト応用芸術博物館

オーストリア
オーストリア応用芸術博物館
セセッション館

チェコ
プラハ国立美術館
チェコ・キュビスム美術館

デンマーク
デザインミュージアム・デンマーク

フィンランド
ヘルシンキ・デザインミュージアム

アメリカ
ニューヨーク近代美術館
ブルックリン美術館

行く前に読むと、楽しみが何倍にもなる一冊です。

日経デザイン2022年6月号「パーパスブランディング最前線」

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は日経デザイン2022年6月号、
特集は「パーパスブランディング最前線」についてです。

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ここ数年「パーパス経営」という言葉を
目にすることが増えてきました。

パーパスとは目的、存在意義を意味します。

パーパス経営は、「自社は何のために存在するのか」
「企業の存在価値は何か」を考え、
そのパーパスを掲げることで、
社員やお客様などに企業活動に
理解、共感を深めてもらう経営です。

ソニーグループは2019年、
「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」
というパーパスを発表しました。

今回の特集は、なぜパーパスが重要なのか、
パーパスを掲げた企業の事例、
パーパスは社是やビジョンとどこが違うのか、
に迫って取り上げています。

ブランドにおいて話題となっているテーマですので、
ご興味ある方は読んでみてはいかがでしょうか。

ここからは日経デザインではなく、私の考えになりますが、
「経営理念やブランドビジョンがすでにあるが
新たにパーパスを策定すべきか」
という中小企業からの問いに対しては、
「つくらなくてもよい、気にしなくて良い」が私の答えです。

経営理念、社是、ミッション、ブランドビジョン
といった言葉の違いよりも
むしろ、社員やお客様に受け入れられているか、
共感されているか、
経営者自身の経営指針となっているかを気にしてほしいです。

日経デザイン2022年6月号の誌面で紹介されていますが、
アイディール・リーダーズが2021年7月に実施した
「パーパス策定企業に勤めるビジネスパーソンへの実態調査」
によると、
https://ideal-leaders.co.jp/blog/purpose-assessment-attitude-survey/

社員の中には会社のパーパスについて、
以下のような違和感を感じている方もいるそうです。

「表現が一般的すぎてどの会社の存在意義にもあてはまる」
「ワクワクを感じない」
「自社らしさを感じない」

経営理念でもパーパスでも、
「自分たちらしい行いは何か」
「自分たちは何をしないのか」
を考えて、行動することがとても重要です。

現状がそうしたものになっていないのなら、
新しくパーパスを策定することは意義があると考えます。

COLOR DESIGN カラー別配色デザインブック

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
先週同様、お勧め書籍のご紹介です。

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COLOR DESIGN カラー別配色デザインブック
出版社: KADOKAWA、著者: ingectar-e(インジェクターイー)
https://www.kadokawa.co.jp/product/322007000523/

先週ご紹介した
「見てわかる、迷わず決まる配色アイデア3色だけでセンスのいい色」
と著者は同じです。出版社は違います。

この本は使いたい色が決まっているときに、
その色に何を合わせて配色したらよいかのヒントをくれる本です。

会社のコーポレートカラーだったり、
商品のメインカラーだったり、
基本となる色は決まっていることがあるので、
配色を考える上で重宝します。

レッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、
パープル、ピンク、ブラウン、ブラックの9色にそれぞれ
ポップ、ナチュラル、ガーリー、
スタイリッシュ、ビジネス、和の6テイストで
メインカラーと、そのメインカラーを用いた配色を提案しています。

例えば赤でも、はじけるポップな赤色、
ナチュラルで優しい赤色、
子どもらしくかわいい赤色、・・・という感じで6テイストあります。

9×6=54のメインカラーがあり、
それぞれにその配色パターンが載っています。

メインカラーを含めたお勧め4配色のほか、
2配色、3配色もあり、
定番色を合わせた作例、補色を合わせた作例、
同系色を合わせた作例、様々な配色パターン紹介もあります。

すごく便利です。とても参考になります。

見てわかる、迷わず決まる配色アイデア3色だけでセンスのいい色

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
お勧め書籍のご紹介です。

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見てわかる、迷わず決まる配色アイデア3色だけでセンスのいい色
出版社:インプレス、著者: ingectar-e(インジェクターイー)

ベース、サブ、アクセントの3色の配色を
おしゃれにしようと自分で考えると、
かなり時間がかかります。

この本をめくって、自分のイメージに近いものを、
そのまま真似するだけで、配色の悩みから解放されます。

中小企業で販売促進物や資料をつくる
「ノンデザイナー」に特にお勧めです。

また、同じ3色でも面積配分を変えるだけで、
だいぶイメージが変わることがわかります。

下のキーワードで、およそ100パターンの
3色の組み合わせが掲載されています。

リラックス、フェミニン、オーガニック、クラフト、
リビング、ボタニカル、カラフル、レトロ、キッズ、
ガーリー、アクティブ、キッチュ、ハッピー、
大人カラー、ゴージャス、美術、インテリジェンス、
シンプル、抜け感、春、夏、秋、冬、
日本の華やか、日本の伝統、日本のしっとり、
北欧、アメリカ西海岸、パリ、ボヘミアン、
アジアン、アフリカン、サーカス、KAWAII原宿系、
ビジネス、デジタル、ショップ

それぞれのテーマで作例と
そのバリエーション例があり、
イメージ例は豊富で見つけやすいです。

webサイト、チラシ、パンフレット、POP、
スライド資料など、あらゆるデザインに使えます。
売れているみたいです。

私もすごく役に立っています。

ネーミング発想・商標出願かんたん教科書

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は書籍のご紹介です。

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ネーミング発想・商標出願かんたん教科書
松野泰明、中央経済社

ブランドにおいてネーミングは極めて重要です。

自分で名前を考えて、自分で商標出願したい人に寄り添った
わかりやすくて読みやすい一冊です。

商標権の本は一般的に弁理士が
商標法や商標審査基準を解説したものが多いのですが、
この本は発明協会の発明アドバイザーが、
一般の個人が気になる点を中心に楽しく解説しています。

タイトルの通り、ネーミングと商標出願の
2つのテーマについて書かれています。

前半はネーミングについて、ネーミングの成功例や
ネーミング公募に自ら応募する事例をもとに
ネーミング創作技法を解説しています。

ネーミング創作ワークシートもあります。

後半は商標出願について、
J-Platpatによる先願調査(称呼、図形)のやり方や、
商標登録願の書き方や出願の仕方が書かれています。

著者の優しさが感じられ、親切で楽しく解説しています。

弁理士を使わずに自分で頑張りたい人にお勧めの一冊です。

「行動観察」の基本

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は書籍のご紹介です。

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「行動観察」の基本
松波晴人、ダイヤモンド社

デザイン思考はだいぶビジネスに広まってきました。
デザイン思考では観察や共感が重視されますが、
行動観察はたいへん有用です。

「場」を観察して本質をとらえ、ソリューション(問題解決策)を
発想する方法論が、本書で提案する「行動観察」である。

と「はじめに」で著者は述べています。

行動観察の解説や事例はもちろん、観察した事実を、
新しい視点・発想で見直す「リフレーム」の重要性や、
収集した事実を深く掘り下げて抽象化してインサイト(洞察)を
得ることの重要性を訴えています。

2013年に同じ著者の行動観察に関する本を
当ブログで取り上げました。

ビジネスマンのための「行動観察」入門
https://brand-design.seesaa.net/article/378486013.html

今回の本はさらに詳しく書いた本です。

行動観察から仮説を生み出し、
イノベーションに取り組むことは中小企業に向いています。

マーケティングではデータがよく用いられますが、
中小企業ではデータの数をたくさん集めるのが難しいです。

行動観察は、少数の対象者をじっくり観察して
仮説を生み出すことに注力します。

人の何気ない行動から、ニーズを探る行動観察を
私もコンサルティングの現場で大切にしています。

ブランディングの本質

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は啓蟄。暖かくなり虫も動き始めます。

さて今日は久しぶりに書籍の紹介をします。

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ブランディングの本質
平井克幸、タナベ経営ブランディングコンサルティングチーム編 ダイヤモンド社

ブランドづくりのポイントを網羅しています。

インナーブランディング(社内へのブランド浸透)、
老舗企業やBtoB企業のブランディングにも触れ、
事例も掲載しています。

この本には
「ブランディングは長期的かつ組織的な取り組み」
「強いブランドの源泉はトップの思いとリーダーシップ」
は書いてあり、私も同感です。

経営コンサルタントが書いただけあって、
ブランド経営を分析して書いてあります。

ブランド本の中には、
商品開発やロゴデザイン、パッケージデザイン、
キャンペーンをこうやってブランドをつくりました、
といった本も少なくありません。

それらの本は読むと楽しいですし、
簡単にブランディングできそうに思えますが、
経営者がブレたり、社員に浸透していなかったりすると
ブランディングが一過性になってしまうこともあります。

私としては長くお客様に愛される企業、
商品、サービスを目指してほしいです。

経営理念ともリンクさせた
ブランド経営を目指す社長にお勧めする一冊です。
 

映画「日日是好日」から二十四節気、おもてなし、文化、芸術の良さを感じよう

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
映画「日日是好日」(にちにちこれこうじつ)を観ました。

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先日、お亡くなりになった樹木希林さんの出演作で、
お茶の世界に興味があり、映画の舞台が横浜でもあったので観ました。

二十歳の女性が茶道を学びながら気づき、大人へと成長していく話です。
とても美しく、清々しい映画でした。

主人公は、世の中には「すぐにわかるもの」と
「すぐわからないもの」の二種類がある、と語ります。

20年以上茶道を学んで、やっと気づくことがあると、
茶道の奥深さが垣間見えました。

樹木希林さんをはじめとした俳優の演技や映像は素晴らしかったです。

映画では、二十四節気にあったお茶のおもてなしや作法、
茶室のしつらえなどが出てきます。

お茶を淹れる、飲むという行為を
文化、芸術の域に昇華させている茶道は
精神の豊かさにあふれています。

映画の原作にも興味を持ち、買って読みました。

「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」
森下典子 新潮文庫

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著者の自伝随筆です。著者が茶道から学んだことを語っています。
映画の内容ををさらにかみしめることができました。

映画を見て、エッセイを読んだだけですが、
「日日是好日」、毎日が良い日と感じる感受性や
感謝の気持ちをもって生きる人生は美しいと思います。

私は二十四の季節を味わう幸せが大好きです。

ビジネスの視点から話すと、こうした幸せはプライスレスで、
季節感や文化、芸術には、お金を惜しまない豊かな層もいるのです。

戦国時代には、城をひとつ建てられるような値段で、
ひとつの茶碗が売買されたという話も聞きます。

店づくり、応接室、商品、サービス、SNSに
季節感や文化を取り入れること、
おもてなしの気持ちをもつことは
経営にも良い効果をもたらします。

映画をご覧になって、茶道から学ぶのもよいのではないでしょうか。

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私も家で、ささやかに嬉野茶と栗の和菓子で一服しました。

今は霜が降り始める霜降。秋が深まっています。
来週は立冬。冬は間近です。

スターバックス成功物語

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は山の日。夏休みの課題図書として
「スターバックス成功物語」をご紹介します。

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「スターバックス成功物語」
ハワード・シュルツ、ドリー・ジョーンズ・ヤング 日経BP社

シュルツ氏はスターバックスの創業者ではありません。
別の方が創業したスターバックスを買収して
大きく成長させた経営者です。

今年4月にスターバックスの社長を退任し、
会長になったようです。

幾度の困難に負けず、情熱と誠意をもって経営に
あたってきたことが書かれています。

創業期だけでなく大企業になってからも、
経営者がどのような悩みを持ち、行動をとってきたか、
読者も一緒に追体験できるような本です。

経営者はとても勇気づけられると思います。

大きな志をもって、会社を大きく強くさせたい方には
ぜひお勧めしたい一冊です。

大きく成長させたいと考えていなくても、
経営理念、従業員との関係、ブランド、デザイン、
経営管理、リーダーシップのあり方など、
先輩経営者として彼の視点や心構えから
学べることはあるはずです。

経営理念やビジョンを
大切にしてきたのでしょう。

理念やビジョンが人々をひきつけ、
ブランドやデザインを
つくっていることがよくわかります。

ブランドについて述べている
第18章の内容をご紹介しましょう。

シュルツ氏は
ブランドの確立を目標に掲げたことはない、
と述べ、
広告にまわす資金がなかった、とも述べています。

素晴らしい企業を築き上げること、
製品が本物であること、
社員が情熱を抱くことに価値を見出す企業を
目指したそうです。

コーヒーに情熱を燃やす社員の育成に投資し、
ブランドを社員に浸透させることから始めました。

社員の知識と熱意、社員が顧客と結んだ関係が
強いブランドを築き上げた秘密だと語っています。

本書はシュルツ氏の熱意がこもっているためか、
ページ数も多いです。

序盤はシュルツ氏の生い立ちや
スターバックスとの出会いの話もあります。

ノウハウ本ではありません。

経営に関する話だけを読みたい人は、
序盤は軽く読み飛ばしてもよいですが、
ななめ読みでも構いませんので全体を読んで、
細かいテクニックではなく、
本質をつかんでほしいです。

小倉昌男 経営学

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

ヤマト運輸が「宅急便」の値上げや
サービスの一部縮小を発表しています。

ヤマト運輸は「サービスが先、利益が後」
の理念を変えたのではないか、
と話題になりました。

そこであらためて、
宅急便の生みの親、小倉昌男さんの
「小倉昌男 経営学」を読みました。

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「小倉昌男 経営学」
小倉 昌男 日経BP社

経営者の自伝としてたいへん名高い一冊です。

中小企業の経営者にもぜひ読んでいただきたいです。

経営戦略やマーケティング思考、
「宅急便」というネットワーク事業への取り組み方、
組織運営や労働組合との付き合い方、
情報システムへの投資についてなど、

自分の頭でどう考えて、どのように取り組んだか
書かれています。

たいへん聡明な方と思いますが、
情熱的で論理的で気高さも感じられる稀有な本です。

ベンチャー、起業家精神と大企業の経営者の
両方の立場も感じられます。

さて、ヤマトは小倉さんの「サービスが先、利益が後」の
理念を変えたのではないか、という点ですが、

本書第7章には、まとめると以下のような記述がありました。
原文とは異なり要約しています。

サービスとコストは二律背反の関係にあり、
経営者の仕事とは、そのときそのときで
どちらを優先するかを決断することに他ならない。

すなわち、私は、「サービスが先、利益が後」は
ネットワーク事業を成功させるため、
郵便小包と差別化するために、
サービス水準をあげ、潜在需要を掘り起こそうと
小倉さんがわかりやすく発信したものだと受け止めました。

局面が変われば、判断は変わります。

小倉さんの精神を
ヤマトが捨てたわけではないと思います。

需要が急増している中で、社員の幸せや
社内体制の整備が遅れているのであれば、
経営者が取るべき判断は変えるべきでしょう。

本書には「社員が先、荷物は後」「車が先、荷物が後」
という標語もありました。

値上げとサービス縮小を続けていては
経営にならないことは、ヤマトもわかっているでしょうから、
社内体制を整備したうえで、
いずれ先進的なサービスを行うような気がします。

「ジュリスト」2017年4月号特集はブランド戦略と商標

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日は雑誌「ジュリスト」2017年4月号のご紹介です。
特集は「ブランド戦略と商標の活用」です。

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ジュリストは法律の専門雑誌です。
弁護士や企業の法務部などが読んでいます。

4月号の特集では以下のようなテーマの記事がありました。

・色彩や音などの新しい商標の登録状況
・商標的使用の論考
・アンブッシュマーケティングの現状と実務上の対策
・地域ブランド戦略と地域団体商標、地理的表示保護制度(GI)
・税関の水際取締制度の活用
・中国における模倣品対策の実務

私は、税関の取締制度や
中国の模倣品取締りなどの実務に関する情報を
特に関心を持って読みました。

専門誌ですので、法律の基礎的な知識が求められますが、
ご興味がある人は読んでみてはいかがでしょうか。

専門雑誌はインターネットにはない情報が
気軽に入手できるので好きです。

イノベーションと企業家精神

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
横浜も昨日、梅雨明けしました。暑くなってきました。
さて、今日は書籍のご紹介です。

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イノベーションと企業家精神
P.F.ドラッカー、(翻訳)上田 淳生、 ダイヤモンド社

書店に行くと、「もしドラ」がベストセラーになった
岩崎夏海さんの「もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら」
が売られていて、それをきっかけに
この本も近頃、注目されているようです。

私も同書をあらためて読み返しました。

同書はイノベーションの起こし方と
イノベーションを市場で成功させるための方法を
著者の鋭い洞察や経験などからまとめた本です。

大きく3部に分かれています。

第1部 イノベーションの方法
イノベーションの機会をどこに見出すかについて述べています。

第2部 企業家精神
イノベーションを起こす組織と企業家の役割を述べています。

第3部 企業家戦略
イノベーションを市場で成功させるための戦略を述べています。

第1部に記されている「イノベーションのための7つの機会」が
有名ですが、私は第2部の企業家精神も好きです。
少しご紹介します。

第13章の既存企業における企業家精神では、
組織の規模の大きさそのものは、イノベーションや
企業家精神の障害とはならないと主張しています。

最も企業家精神に乏しく
最もイノベーションの体質に欠けているのは、
むしろ小さな組織である、とさえ言います。

私はドキっとさせられました。

イノベーションを起こす大企業の例として、
ジョンソン&ジョンソンや3M(スリーエム)など
を挙げています。

イノベーションの障害となるのは、
官僚的な体質や煩雑な手続き、自己満足などではなく、
既存事業の課題対応に力を注いでしまうことだと言います。

既存事業に目が向くので、
新しく幼い事業にうまく注力できなくなるのです。

だからこそ、意識的な努力が必要であり、
学ぶ努力が必要であると主張し、

変化を脅威でなく機会とみなす組織をつくることや、
イノベーションの評価、組織の人事、
企業家精神にとってのタブーなどを述べています。

日本経済に成長戦略やイノベーションが
求められるのであれば、多くの人が読むべき本でしょう。

300ページ以上、濃い内容が詰まっています。

ただ、ドラッカーの本は少し難しいので、
同書のエッセンス版や
「もしイノ」から触れるのも良いと思います。

日経デザイン「中小企業にデザインの力を!」

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は日経デザイン7月号についてです。
特集は「中小企業にデザインの力を!」です。

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デザインに注力している中小企業が取り上げられています。

それぞれの企業の取り組みは異なり、
うまくいったポイントもひとつに
まとめられているわけではありません。

事例に関心のある中小企業には、ぴったりの特集です。

いろいろな気付きや感想があると思いますが、
私は外部デザイナーの活用の難しさを感じました。

次のような事例が掲載されています。

外部のデザイナーに依頼したことがあるが、
商品への思いが十分に表現できていないと感じて、
社長自らIllustratorやPhotoshopのソフトの使い方を
習得してパッケージデザインをした食品製造業。

過去にラベルをデザイナーに依頼したことが
数回あったが、いずれも想像の範囲内だった。
別のデザイナーとの出会いから
想像を超えたデザインが生まれた食品製造業。

CI(コーポレートアイデンティティ)や
ブランド戦略を推進するなかで、
インハウスデザイナーを採用して
デザイン部門を立ち上げ、広報に力をいれる製造業。

単にデザイナーに依頼すればうまくいくほど
簡単ではないと、あらためて感じます。

妥協なきデザインへの思いを中小企業が持って、
外部のデザイナーを何人も探したり、
自らデザイン技術を学んだりしています。

また、デザイナーの「作品」にならないために、
どの販路にどれくらい売るかという
提案ができるプロダクトデザイナーが
求められていることも感じました。

6月号はデザインの価格に関する特集でしたが、
7月号を読むと、応え切れていないニーズが
すこし見えるような気がしました。

日経デザイン「デザインの価格、デザイナーの価値」

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日は日経デザイン6月号についてです。
特集は「デザインの価格、デザイナーの価値」です。
(表紙には、デザインの「値段」と書いてあるのですが、
本編やwebには「価格」と書いています。)

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受発注サイトやクラウドソーシングで、
デザインの価格比較が容易になり、
デザインの低価格競争が進んでいます。

私から見ても、採算が心配になるくらいの価格も
見られます。

紙を対象としたグラフィックデザインの
webへの展開もよく行われるようになりました。

6月号では、デザイン事務所が進める
新たな価格メニュー体系の事例を紹介しています。

成果報酬型や、出資して配当を得る例が書かれています。

デザイナーに向けて書かれた内容ですが、
発注する側の中小企業も役立ちます。

誌面には、デザイナーが価格が安くても
引き受けたいと話す案件の例もありました。

こうしたポイントを知っていれば、
資金の乏しい中小企業でも頼み方次第で、
引き受けてくれるかもしれません。

発注者にとっては、
価格が安いに越したことはありませんが、
成果との見合いを考えることがもっと大切です。

コンピュータやインターネットによって、
グラフィックデザインは
一般の方でもやりやすくなりました。

器用な作業ができる技能の価値は相対的に下がりましたし、
インターネットで、参考となる美しい配色やレイアウトも
簡単に探せる時代です。

デザイナーに依頼するときは、
いままでのデザインの実績を見て、
人間性を見て選びましょう。

ちなみに私は、スキルより
デザイナーの人間性を重視しています。

打算的過ぎる人や自分のデザインに酔う人、
今までのデザインを新しく変えたがる
デザイナーも少なくないので注意しています。

依頼する側も、価格以外の点もしっかり見て、
発注できるようになりたいものです。

コーポレート・アイデンティティ戦略 デザインが企業経営を変える

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
先週に続いて名著をご紹介します。

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コーポレート・アイデンティティ戦略―デザインが企業経営を変える
中西 元男、誠文堂新光社

著者が取り組んできた仕事の回想録の趣きです。

しかし、コーポレート・アイデンティティ(CI)の構築が
どうあるべきか、数十年にわたる多くの実績を
もとに語っており、言葉にはかなりの重みがあります。

大企業での取り組みが多いのですが、
中小企業の実例もあります。

これらの取り組みで、
数十年前に作成されたロゴは力強く、
いまだにまったく古さを感じさせません。

デザインコンセプトがよく、
デザインの細部の調整まで丁寧にやってきた結果だと思います。

優れたCIによって、
企業業績を劇的に改善させた実例もあります。

CIによる業績改善が可能であることを
実証した記録として本書は貴重です。

社会科学の研究論文ではないので、
CI導入と業績の相関や因果関係を
定量的に示したわけではありませんが、
CIの第一人者が取り組んできた実績と証言から
学べることは多いです。

何度も読み返す価値のある一冊です。

戦略的ブランド・マネジメント第3版

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
書籍のご紹介です。

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戦略的ブランド・マネジメント 第3版

ケビン・レーン・ケラー、東急エージェンシー

私がブランド論の教科書で
一番優れていると思うのが本書です。

本書の良いところは、
ブランド論を偏りなく網羅的に、
体系的にまとめたところにあります。

ブランド戦略に唯一の正解はなく、
世界中の企業が自社にあった
ブランド戦略に試行錯誤して取り組んでいます。

業種や時代によって変わるところもあります。

また、ブランドに関するさまざまな調査や
研究結果もたくさんあります。

著者は、それらの多くの企業の実務や研究を
もとにしながら、
体系的なブランド論としてまとめています。

800ページを超える大著です。

ビジネススクールの教科書に使われています。

学生や研究者、コンサルタント向けですが、
企業の管理者にも役立ちます。

がんばって通読したほうが好ましいのですが、
中小企業なら、自社の課題に関わるところだけを読む、
辞書のような使い方も良いと思います。

顧客の心に何を残せているかに焦点を当てた
「顧客ベースのブランド・エクイティ」(ブランド資産)や、
「ブランド知識」という概念を学べます。

ブランド構築や、長期的な管理、
グローバルなマーケティング活動とブランドの関係などを
現在のブランド論がどのように考えているかが
この一冊で理解できます。

値下げしたくない会社はエーワン精密に学ぼう

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日はエーワン精密の創業者である梅原勝彦さんの
本を3冊ご紹介します。

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写真左から
経常利益率35%超を37年続ける 町工場強さの理由
梅原勝彦、日本実業出版社
日本でいちばんの町工場 エーワン精密の儲け続けるしくみ
梅原勝彦、日本実業出版社
「速さ」で稼ぐリーダー47のコツ
梅原勝彦、日経BP社

町工場強さの理由と
エーワン精密の儲け続けるしくみは
自らの生い立ちやエーワン精密の経営の特徴が記されています。

「速さ」で稼ぐリーダー47のコツ
は前述の2冊より仕事術や経営哲学が多めです。

エーワン精密は、徹底した短納期対応を可能にする
生産体制の強みがよく知られています。

毎年のように値引きを要請される町工場の世界にあって、
売値を維持し、材料費や給与の増加を
コストダウンで吸収して高利益率を長年続けた
経営手腕は素晴らしいです。

仕事で成果を出すために、
かなり合理的に考え抜かれています。

値引きしたくない企業はぜひ参考にしてください。

管理を必要最小限に抑えて、
短いリードタイム、低コスト生産を実現しています。

人材育成にも優れているのですが、
こちらもあまり管理しているイメージはありません。

どちらかといえば経営者や上司が自らの姿を見せる、
背中を見せて教える、というような雰囲気も感じました。

生産管理ではQCD、
Quality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)
を重視するのですが、Dを徹底的に磨いて
競争優位を築いています。

もちろんQとCも優れているので高収益になっています。
低コスト生産=安売り、ではありません。
低コストだから高利益率が実現できるのです。

お客様との関係を築く、でんかのヤマグチ

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日は昭島市商工会で「値上げ」をテーマに講演します。

本日のブログは、講演でもお話しする、
東京都町田市の電器販売店「でんかのヤマグチ」の話題です。
山口社長の本を3冊ご紹介します。

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写真左から
なぜこの店では、テレビが2倍の値段でも売れるのか?
山口 勉、日経BP社
でんかのヤマグチさんが「安売り」をやめたワケ
山口 勉、宝島社
よそより10万円高くてもお客さんが喜んで買う「町の電器屋さん」が大切にしていること
山口 勉、すばる舎

でんかのヤマグチの経営のエッセンスは、
いずれの書籍でもつかめます。

家電の小売業は、他の店でもまったく同じ製品が買えるため、
価格で競うことになりやすい業種です。

ヤマグチは「トンデ行きます」と宣言し、
地域のお客様に密着した徹底的なサービス、
御用聞きに集中して、安定した経営を実現しています。

裏サービスと呼ばれる家電販売とは関係ない
ちょっとした手助けも無料で引き受け、
遠くの親戚よりも近くのヤマグチ、
という関係を築いています。

御用聞きや顧客サービスを徹底して行うため、
顧客を絞っています。

また、仕入商品をパナソニックに絞り、
価格は安くしない、という大手家電量販店の逆を行く
経営戦略で成功しています。

その戦略を実行するための
組織運営、人材活用、おもてなしの心づかいは
本当に見事です。

ヤマグチの戦略を真似するのはやさしくないのでしょう。

店舗は駅から離れたところにあります。

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一般的な街の電器屋より店舗面積は大きめで、
リフォームやオール電化のコーナーや
卵や飲料などの飲食品も売っていました。

買物に来ているご夫婦様が
「ヤマグチさんは大好きなの」
と店員に話していました。

本当に愛されているお店です。

安くしないと売れないと決め付けないことです。
競争軸を変えればチャンスがあることを示す会社です。

ウラからのぞけばオモテが見える

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
書籍のご紹介です。

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ウラからのぞけばオモテが見える
佐藤オオキ/nendo・10の思考法と行動術
佐藤オオキ、川上典李子、日経BP社

日本を代表する若手デザイナーの
佐藤オオキさんの仕事を紹介した一冊です。

佐藤オオキさんのデザイン事務所はnendoといいます。

第2章のnendoの行動術は、
デザイン事務所経営についても書かれていて、
とても興味深く読みました。

第1章の思考法は川上さんが書かれているようですが、
思考ですから観念的な内容ですが、
それにもかかわらず、わかりやすくまとめています。

「面」で考える、という項目がありますが、
私はとても共感できました。好きですね。

その他の項目も佐藤さんのオリジナリティが感じられます。

文化に対する造詣も含め、かなり博識な方だと思います。
デザインの引き出しの多さには驚かされます。

クライアントや消費者をよく観察していますし、
論理や知識の裏づけがありながら、
どこか遊び心や柔らかさがあるデザインが
人気の秘密なのかもしれません。

思考法や行動術は、
問題解決をするデザインを支えるものです。

新しいことを考えたい人にはお勧めの一冊です。

今年、ダイヤモンド社から刊行された
「問題解決ラボ―『あったらいいな』をかたちにする『ひらめき』の技術」
も買ってみたいと思います。

センスは知識からはじまる

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は書籍のご紹介です。

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センスは知識からはじまる
水野学、朝日新聞出版

水野さんは、NTTドコモ「iD」や、
くまモンのデザインを手掛けています。

センスがある人とは、
どのような人かを語った一冊です。

水野さんは次のようにセンスを定義します。

「センスのよさ」とは、
数値化できない事象のよし悪しを判断し、
最適化する能力である。

そして生まれつき備わっている感覚、能力
のようなものではないと主張しています。

美的センスを中心に書かれています。

彼の主張は、センスとは知識の集積から予測、
判断するものだ、ということだと思われます。

センスを磨くために、具体的には
王道や定番を見る、流行を学ぶことなどを
勧めています。

名著「アイデアのつくり方」「思考の整理学」と
考え方は近いところがあります。

また、デザインにおいて、自分の好き嫌いから
離れるべきという主張は私も賛成です。

デザインプロセスを学ぶのにも有効な一冊です。