人は見た目が9割

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日から9月です。夏の宿題の読書感想文ではありませんが、
本日のテーマは「人は見た目が9割」という本です。

著者は竹内一郎さんです。
2005年に発刊した100万部ベストセラー本です。

この時期、新潮新書は「国家の品格」「バカの壁」と
立て続けにベストセラーを出して話題になりました。

お読みになった方も多いと思います。

ブランドとデザインがテーマのこのブログですから
記事を書こうと前から思っていました。

本の内容は実は雑学的で、漫画や演劇の演出の話が中心です。

何かノウハウを得たいという方は、
別の本を読んだ方がよいかもしれません。

この本が優れていると思うのは、そのタイトルです。

「人は見た目が9割」は、有名なメラビアンの法則を引用しつつ、
タイトルに使いました。

メラビアンの法則は、
コミュニケーションにおいて人が影響を受ける度合いが

視覚(表情など)が55%、
聴覚(声の質など)が38%、
言語の内容が7%

と言われているものです。

メラビアンの法則は誤解されて伝わっているとよく言われています。

前提となる実験の状況などが
正確に理解されていないのだそうです。

私も基になる研究論文などを確認していないので、
誤解されているかどうかはわかりません。

しかし著者は、言語の7%を除いた93%を
ノンバーバル・コミュニケーション
(言語を使わないコミュニケーション)の領域だとし、

演劇や漫画を主戦場としている著者としては、
「見た目が9割」といっても差し支えないのではないか
と記しています。(漫画には音声がないから?)

聴覚を「見た目」に含めて考える、著者の主張に
私は共感できなかったのですが、

タイトルとして、

言い切っている、数字を入れている、
インパクトがある、わかりやすい


言葉は人の心をつかむと感じました。

特に数字の威力は大きいですね。

メラビアンの法則がよく知られるのも、
意外性がある結論と、数字があるためでしょう。

キャッチコピーや、人の記憶に残したい時は
これらの要素が使えるかもしれない、と覚えておきたいですね。

「人は見た目が9割」は、本文中で事例を用いて
見た目の重要性を訴えています。

私もなるほどと思うものも多くありました。

私は、人は見た目が9割とは思いませんが、中身だけでなく、
見た目にも、もう少し力を入れた方が良いと思っています。

中身が良くても、見た目で損をしている
中小企業をたくさん見てきました。

そうした中小企業をブランド・デザインで支援したいと考えています。

風に吹かれて豆腐屋ジョニー

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
残暑お見舞い申し上げます。
まだまだ冷奴がおいしい時季ですね。

今日は男前豆腐店についての本の紹介です。

風に吹かれて豆腐屋ジョニー.jpg

風に吹かれて豆腐屋ジョニー 実録男前豆腐店ストーリー
伊藤信吾 講談社

このブログの読者ですと、
男前豆腐店をご存じの方は多いと思います。
伊藤信吾さんは、男前豆腐店の社長です。

このブログでこの本を紹介しようとずっと思っていたのですが、
遅くなってしまいました。
紹介するのにあたって、もう一度サッと読み直しました。


私が男前豆腐店を知ったのは2、3年前です。
目からウロコが落ちました。衝撃を受けました。

最初はネーミングやデザインで引き付けられました。
しかし、ブランド戦略も素晴らしいです。

豆腐のブランディングや差別化として、
大豆や製造法で他社と違いを出そうとは誰もが考えますが、

もはや豆腐の枠を超えて、
デザートとして食べてもらってもよいという考え方や、
独特の世界観を作り上げていった人はいなかったと思います。

あらゆる商品・サービスに、
まだブランディングの可能性があると気付かされました。

男前豆腐店は、私が中小企業のブランディングをする仕事を
選んだことに大きな影響を与えたと思います。

この本には、男前豆腐店のこれまでの軌跡が書かれており、
伊藤社長がどんなことを考えてきたのか、
顧客の反応がどうだったのかなどがわかります。

中小企業のブランド戦略の成功例として、ぜひ読んでみて下さい。
社内にデザイナーを置いている点も参考になるでしょう。

もしかしたら、伊藤社長の考え方が
好きになれない方もいるかもしれません。

それでも良いと思います。

万人に好かれるブランドなんて、めったにありません。
こだわり、個性、主張が優れたブランドには欠かせないので、
仕方がないのです。

しかし、中小企業にブランド・デザインで経営を変える可能性が
あることを実証した実録ストーリーです。
経営のヒントを多く得られます。

すごい名刺

中小企業診断士の山口達也です。
今日は本の紹介です。

「ビジネスが加速する!すごい名刺」ソシム株式会社
著者は堀内伸浩さんです。

ビジネスが加速する!すごい名刺.jpg

この本は、名刺というツールを使って
ビジネスを伸ばせることを書いています。

私も同じことを考えていましたので、
「我が意を得たり」と買って読みました。


本の内容も具体例を挙げながら、
「すごい名刺」の作り方まで書いています。

とてもわかりやすく、またステップを踏めば、
「すごい名刺」が作れるようになっています。


私のこのブログでも名刺について書いてきました。

1年前に始めたこのブログで
一番始めにお伝えしたテーマが名刺でした。

2007年3月25日の記事 「はじめまして」の名刺展
2007年3月26日の記事 名刺デザインを変えて販路開拓!

著者も私の意見とほぼ同じなのですが、
さらに名刺コンサルタントして踏み込んでいます。

新たに名刺を作ろうとしている方には、おすすめです。


しかし、紹介されている「すごい名刺」は、
情報量が多く、にぎやかで、笑いやいわゆる「つかみ」を
とるような名刺が多い傾向にあります。

シンプルで上品なブランディングを目指す方は、
そのまま参考にするのは難しいかもしれません。

この点は、この本で唯一残った課題かもしれません。


たかが名刺ではなく、
研究の余地は、まだまだある奥深い世界なのです。



政党が操る選挙報道

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は本の紹介です。

「政党が操る選挙報道」集英社新書
著者は鈴木哲夫さんです。

政党が操る選挙報道

この本では、政党が取り組む
コミュニケーション戦略(コミ戦)について
取材・検証しています。

2005年の総選挙(小泉首相による郵政解散選挙)
での世耕弘成参議院議員のコミ戦チームの活動や、
それをテレビがどのように取り上げ、
放送したかが書かれています。

世耕さんの広報PRの取り組みや考え方は、
世耕さんの著書「プロフェッショナル広報戦略」にも
詳しく書いてあり、先日ご紹介しました。

(参考)1月27日の記事
http://brand-design.seesaa.net/article/80969301.html


「政党が操る選挙報道」で、私がご紹介したいのは、

マスコミ(特にテレビ)をコントロールしようとする政党と、
テレビでの印象の良さによって支持率が
変わってしまう怖さです。


政治的な問題点は、同書の指摘通りだと思います。

私が伝えたいのは、マスコミをコントロールできるのは
政党だけではないということです。企業もできるのです。

情報の発信者が発信内容を整理し、注意を払うことで、
外部に伝えたいことが、
マスコミを通じて受け手にうまく伝わるのです。


政治的な論点や政策について、詳細に伝えなくても、
支持率が上下することが本書には記述されています。

そして支持率の上下は、テレビの放送時間や
画面から判断される好感度に左右される

ことが、同書では鋭く指摘されています。

もちろん選挙の投票行動にも影響を与えています。


このことがもたらす政治的な問題点は別にして、
このような現象が起こっていることを私たちは認識し、
企業経営にも活かした方がよいでしょう。


商品や技術の良し悪しではなく、情報発信の仕方で、
より多くの消費者に受け入れられる可能性があるのです。


商品や技術などは大切にせず、情報操作だけを行うのでは、
詐欺まがいですが、

情報発信の仕方、マスコミへの露出の仕方は
商品・技術と同等によく考えて行うべきです。


このブログの読者なら、すでにお気づきだと思いますが、

Web、グラフィックなどのコミュニケーションデザインや、
ブランドも、露出機会の増加や好感度に大きく影響し、
企業・商品の「支持率」を変えるのです。


同書を、国民全体を対象とした壮大な実験結果と考えて読むと、
読後には、ブランド・デザインへの投資の必要性が
感じられるはずです。

プロフェッショナル広報戦略

今日は本の紹介です。

「プロフェッショナル広報戦略」
著者は世耕弘成(せこうひろしげ)さんです。

プロフェッショナル広報戦略.jpg


著者は自民党の参議院議員です。
安倍内閣では首相補佐官も務めていました。

この本は、2006年1月(つまり安倍内閣が発足する前)に
出版されましたが、広報、政治に興味がある方は
必読だと思います。

この本は、2005年9月の郵政解散総選挙の時に、
広報本部長代理となった世耕氏の行動が中心に書かれています。

総選挙では、外部のコンサルタントも加えた
コミュニケーション戦略チーム(通称「コミ戦」)の
リーダーとして行動しています。

しかし、この本は単なる政治や選挙の裏話ではありません。

広報がどうあるべきかを書いた本であり、選挙は
その実例として題材となったと考えたほうがよいでしょう。

言い方を換えると、事例を通じて広報戦略を
学ぶことができる素晴らしい本です。

選挙には多くの人が関心を持ち、投票したのですから
とてもわかりやすいテーマが題材になっています。


世耕氏は、NTT入社の約1年後から広報を担当し、
報道担当課長の経験を持っています。

NTT時代にボストン大学のコミュニケーション学部大学院
に留学した経験もあります。

広報のプロであり、NTT時代や政界での広報への
取り組みは、学問を実践に活かしている好例でしょう。


本の中で、広報で最も重要なのはトップ回りの
コミュニケーション戦略だと主張し、
データを重視した広報戦略を行います。

内容はかなり具体的で、メッセージの選び方や
イメージ戦略、広報の組織づくり、
プロの広報マンに必要な要素まで書かれています。


もちろん、この一冊だけで広報戦略がすべて理解できる
ほど、広報も簡単なものではありませんが、
広報戦略の重要性はよくわかります。

自民党やNTTが題材ですが、
中小企業も使えることが多くあります。

本の文字も大きく、文章も読みやすいです。
ストーリー性もあり、引き込まれているうちに
2~3時間で読めました。

ブランディング、デザインのあり方としても
勉強になります。


創る魅せる超える

イチロー選手のアメリカのオールスターゲームでの
ランニングホームランとMVPは素晴らしかったですよね。

見ただけですが、とても爽快な気分です。
これもスポーツの良さなのかもしれません。

イチロー選手は、日本、アメリカにおける
大きなカリスマでありブランドと言えます。



本題に。今日は本の紹介をします。

中西元男さんの
「創る魅せる超える 『構造不況企業』突破への指針」
(出版社:きこ書房)です。
創る魅せる超える

中西元男さんは、CI(コーポレート・アイデンティティ)の
第一人者として有名な方です。
(CIは次回に説明します。)


この本も読むと、CIは、単なるロゴマークではなく、
企業理念や存立をあらわすものであることや、
イメージ・コントロールなどのマーケティング活動も併せて
行っていくことがよくわかります。

CIの歴史や、CI導入の事例なども書かれており、
史料としても意義があると思います。


日本や企業に向けて、ビジョンや文化を大切にすることも
主張されています。


しばらくぶりに、読み返しましたが、
私としても新たに気づくことがありました。

21世紀に入ってすぐの2001年1月に発刊ですが、
今読んでもまったく古臭さを感じません。

200ページを超え、骨太な中身ですが、
本の下半分が西新宿の定点観測写真ということもあり、
読みやすくなっています。

コーポレートブランドやCI、デザインのあり方についても
大きな示唆を与えてくれる1冊です。

中小企業診断士は本を読むことが多いですから、
このブログでも、今後はたまに
良い本の紹介をしていきたいと思っています。