21_21 DESIGN SIGHT「デザインの解剖展」

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

21_21 DESIGN SIGHTで現在開催されている
「デザインの解剖展」のレポートです。

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「きのこの山」、「明治ブルガリアヨーグルト」、
「明治ミルクチョコレート」、
「明治エッセルスーパーカップ」、「明治おいしい牛乳」
の5商品をデザインの視点で、解剖、分析した展覧会です。

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実際の企業の商品が題材ですから、
かなり実務的な展覧会です。

商品開発の裏側やロゴ、ネーミング、
パッケージの成り立ちを知ることができます。

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検証や微調整を繰り返して、ロングセラー商品に
なっていることが良くわかります。

中小企業や学生が見ても、
大企業の商品開発やデザインプロセスは
参考になる点が多いです。

かなり丁寧に分析しています。

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解説文もとても多い展覧会ですので、
すべて読むと2時間では足りないです。

準備にはかなりの時間がかかったと思いますし、
明治の協力は大きかったと思います。

ディレクターの佐藤卓さんとの関係も深いのでしょう。

技術や消費者ニーズ、競合の動向や企業の思いだけでなく、
商品の細かい成分や原材料を取り巻く社会背景なども
しっかり把握した上でデザインすることは素晴らしいです。

デザインの本来あるべき姿を見せていると思います。

佐藤さんのデザインへの思いもよく伝わる展覧会でした。

「写ルンです」の外装フィルムロールも
印刷工程を普段見ることのない私には興味深かったです。

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会期は2017年1月22日まで。

21_21 DESIGN SIGHT 雑貨展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

21_21 DESIGN SIGHTで現在開催されている「雑貨展
のレポートです。

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「雑貨」は女性に特に人気があり、
雑貨店が好き、雑貨店を開業したいと話す方がいます。

彼女たちが言う「雑貨」は
食器、置物やアクセサリーなどを指します。

バケツやシャベル、かご、たわしなどではないようです。

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街の雑貨店は少なくなり、
ホームセンターや100円ショップが増えました。

その過程で「雑貨」の範囲は
大きく広がったと思います。

きちっとした定義はないので、
なんでもありの展覧会という感じでした。

古今東西の美術性に優れた品物や民芸、工芸が
たくさん見られます。

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デザインコンセプトがバラバラなものが
多数置いてあるわけですから
鑑賞のポイントは人それぞれになります。

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私は、昔よく見かけた商品の素朴なデザインや
用の美を感じて楽しみました。

会期はあさって6月5日まで。

21_21 DESIGN SIGHT フランク・ゲーリー展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

21_21 DESIGN SIGHTで現在開催されている企画展
建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”
のレポートです。
http://www.2121designsight.jp/program/frank_gehry/

アメリカの建築家、フランク・ゲーリーさんの
アイデアの生み出し方に迫る展覧会です。

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フランク・ゲーリーさんは、
スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館、
アメリカのウォルト・ディズニー・コンサートホール、
フランスのルイ・ヴィトン財団美術館、
などの設計を手がけています。

帆船のような形であったり、
衝撃を受けてへこんだような形であったり、
ユニークで強烈な印象を残す建物です。

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まわりをぐるっと、ゲーリーの建築を
プロジェクターで投影した展示は、
迫力がありました。

建築は立体ですから、
このような空間を感じさせる展示はいいですね。

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ゲーリーさんのマニフェストが力強いです。
とてもカッコいいです。

一部を引用します。

まずアイデアが浮かぶ。
ばかげているけど気に入る。

模型をつくって嫌いになるまで見続けて、
それから違う模型をつくることで、
最初のばかげたアイデアを別の見方でみる。

するとまた気に入る。

でもその気持ちは続かない。

部分的に大嫌いになって、
再び違う模型をつくってみると、
全然違うけど気に入る。

眺めているうちに、すぐに嫌いになる。

直しているうちに新しいアイデアが浮かんで、
そっちの方が気に入るけど、また嫌いになる。

でもまんざらでもない。

どうするか? 

そう、また模型をつくって、次から次へとつくる。
模型を保管するだけでも膨大な費用がかかる。
でもどんどん続ける。

次から次へと進めるうちに、
ほら見ろ、最高傑作だ。

輝かしく、安上がりで、
今までに見たことがないものだ。

だから誰も気に入らない。


予算や期間を守りながら、施主に喜ばれ、
人々に刺激を与える建築をどうつくるか、
案を次々と出し続けます。

才能であり、果てなき執念のなせる仕事でしょう。

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ご自身で雑然としていると話す事務所です。

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でも雑然としているほうが
インスピレーションが沸くそうです。

たくさんの模型が展示されていました。

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魚などの生物にも強い関心をもっていて、
設計に反映されているようです。

仕事の合間に訪問したので、
じっくり見ることができなくて残念でした。

彼の仕事ぶりを見て、
あなたの仕事は、徹底して考え抜いたものですか?
と突きつけられたような気がして、
気が引き締まりました。

2月7日までの展覧会です。

21_21 DESIGN SIGHT 単位展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
21_21 DESIGN SIGHTで現在開催されている企画展
「単位展」のレポートです。

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単位という観点で、私たちの生活を取り巻く
さまざまな時間、長さ、重さなどを考える企画です。

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展示の雰囲気は「デザインあ」の世界に近い感じがあります。
子供も多く来場して楽しんでいました。

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遊びの要素もある、軽い内容の展示が多いです。

私の関心を惹いたのは、曲尺(かねじゃく)のコーナーでした。
大工さんの道具ですが、作業効率や数学的な工夫が詰まっています。
面白かったです。

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行った当日はトークイベントも行っていて盛況でした。

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ミュージアムショップとして開店している
単位コンセプトショップ「Measuring Shop」もにぎわっていました。

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コンセプトの視覚化を考えるには参考になると思います。
会期は5月31日まで。

21_21 DESIGN SIGHT 活動のデザイン展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

21_21 DESIGN SIGHTで現在開催されている企画展
「活動のデザイン展」のレポートです。夜に行きました。

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発展途上国の人々の収益モデルをつくるデザインや、
人々の行動・考えに影響を与えること狙ったデザインなどに
焦点を当てた展覧会です。

撮影ができますので、いろいろ写真を撮りました。

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その中で特に私の目に留まったデザインをご紹介します。

「プラスティック・ゴールド」という展示は、
アフリカ西サハラの難民キャンプで2度のワークショップを行い、
難民キャンプで入手可能なペットボトルと熱い砂をつかった
アクセサリーをつくりだすことに成功したことを紹介しています。

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展示には次のような説明が記されていました。

ペットボトルを素材に金色の糸をつくる→
大小様々な太さの棒を型にして編む→
熱した砂漠の砂の熱でネックレスが形成される

彼らの収入源につながるデザインです。

「マイン・カフォン」は地雷を爆発させるものです。

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風で転がる玩具から発想したそうです。
風が動力ですから、エネルギー補給に困ることはありません。

竹と金属でできた地雷除去ボールは今日も転がり続けます。

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「カン・シティ」という展示は、
移動式の鋳造機をつくり、ブラジル・サンパウロの
アルミ缶や廃油などの廃棄物を椅子にリサイクルする仕事を
生み出したデザインを紹介しています。

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他にもさまざまな展示がありました。

デザイナーの社会貢献として良い事例紹介だと思います。

厳しい環境の中でも突破口が開けることを見事に示しています。
よい刺激を受けました。会期は2月1日まで。

21_21 DESIGN SIGHT コメ展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

21_21 DESIGN SIGHTで現在開催されている企画展
「コメ展」に行ってきました。

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2年前の企画展「テマヒマ展-東北の食と住-」と似た雰囲気です。

植物、食品、産業、日本文化、日本の風土、信仰、
さまざまな切り口でコメを見つめた展覧会です。

日本人の生活、歴史を語る上で
外すことができないコメですが、
私の知らないことがたくさん展示されていました。

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約40分の映像作品もある一方で、
子どもが楽しむような
遊びの要素の強い展示もありました。

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藁も「しめかざり」や「ひも」「袋」など、
さまざまな使われ方をしていることを
あらためて気付かされました。

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太陽と大地と水、
そして先人が積み重ねてきた努力の恵みを
私たちはいただいているのですね。

コメについてたくさん学べます。
日本文化に関心がある方にもお薦めです。

私は展覧会を見て、コメを伝える、表現する方法に、
こんなものがあるのかと参考になりました。

別の何かのデザインに応用できそうです。

プロのデザイナーにとっては、
表現の幅を広げるのに役に立つ展覧会だと思います。

会期は6月15日まで。

日本のデザインミュージアム実現にむけて展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日は21_21DESIGN SIGHTの企画展
「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」のレポートです。

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展示内容は、2007年開館以来の21_21DESIGN SIGHTの
展覧会をまとめて整理したものが中心です。

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展覧会の入口には、三宅一生さんの朝日新聞への寄稿が
大きく貼り出されています。

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寄稿ではデザインミュージアムの意義を述べていました。

私も日本の先人たちの素晴らしいデザインを
保存・紹介することは、新たなデザインを作るうえで
大きな糧(かて)となります。

日本が昔から持っている精神性や風土といったものも
デザインから垣間見えそうです。

デザインミュージアムを作って、
過去から積み上げられた大きな知的資産を大切にすることは、
デザイン産業や日本文化の発展に寄与するでしょう。

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日本の企業が収蔵してきたさまざまなデザイン美術館と、
イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、韓国の
デザインミュージアムを紹介するスライドもありました。

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ソウルの東大門に2014年3月に開館するそうです。
アジアの中でも先を越されてしまいました。

日本にも開設される日がくるといいですね。
会期は2月9日までです。

21_21DESIGN SIGHT カラーハンティング展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日は21_21DESIGN SIGHTの企画展
「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」のレポートです。

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企画展のディレクター藤原大さんが生み出した
デザインリサーチの手法「カラーハンティング」は、
自然や都市に存在する現実の色を
水彩絵具を調合してその場で紙片に写し取っていくものです。

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自然界にある色を採取するという
ありそうでなかった面白い試みです。

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デザインという行為は色と向き合うケースが多いわけですが、
日々刻々と変わっていく色、光の見え方を
しっかり記録していくことは、
デザインの基礎力を養うでしょう。

写真をたくさん撮りました。いくつかご紹介します。

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毎日の空の色を写し取った「スカイダイヤリー」は、
ひとつとして同じ色のない地球の姿を再認識させられます。

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写真は朱鷺の色を写し取った作品です。
美しい羽の色です。

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下の写真は「みずいろハンカチ」という作品です。

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写真では分かりにくいのですが、
それぞれの地域の水はそれぞれ成分が異なるので、
同じように青を染めても色が微妙に異なることがわかります。

「カラーボキャブラリ」は人が言葉から連想する色の関係を
図に落とし込んだ作品です。

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「ワニ」が緑色のイメージを持たれていることは、
理解しやすいのですが、
「山中伸弥」に青、「ミラノ」にも黄緑のイメージが
あるのは私にとって意外でした。

また、「甘酸っぱい」のイメージカラーを分析すると
写真のようになるそうです。面白いですよね。

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言葉には色があると考えることができるかもしれません。

カラーユニバーサルデザインに関する展示もありました。

世の中には色を認識しづらい方も結構いらっしゃいます。
認識しづらいといっても、大きくいくつかのタイプに分けられます。

赤い紙をもってタブレット端末の前に立つと、
そこには違う色の紙に見えるものがあります。

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4つのタイプの人に、それぞれどのように見えるのかが
わかる仕掛けです。

その他にも遊べる内容の展示もあり、親子連れもいました。

展覧会を通じて、人と色との関わりや歴史を学べます。
会期は10月6日までです。

21_21 DESIGN SIGHT デザインあ展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「デザインあ展」のレポートです。

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「デザインあ」はデザイン的思考を育てる
NHKのEテレの教育番組です。

昨年のグッドデザイン大賞に選ばれています。

子供向けの体験展示が多く、写真撮影も可能な
21_21 DESIGN SIGHTでは珍しい展覧会です。

ものの分解、組み合わせ、成形、適切な大きさなどを
体感できます。

平日の昼間に行きましたが、賑わっていました。
子供連れが多く、遊べる展示で
滞在時間も長くなっているのでしょう。

休日は混雑しているようです。

多くの写真で展示内容の雰囲気をお伝えします。

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中小企業の経営に直接活かせる展覧会ではないかもしれません。

しかし、展示、表現の手法をわかりやすく学べます。
芸術的なセンスも磨かれるかもしれません。

会期は6月2日までです。

21_21 DESIGN SIGHT 田中一光とデザインの前後左右

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

21_21 DESIGN SIGHTで現在開催されている企画展
「田中一光とデザインの前後左右」に行ってきました。

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田中一光さんが取り組んだデザイン分野の幅の広さや、
それを支えた教養と社会洞察、美意識を知ることができます。

来場者もひとつひとつをじっくり見ていて、
滞在時間が長くなる展示会です。

それだけ見入ってしまうのでしょう。

企業のアートディレクションも数多く手掛けており、
それらが企業に合った上質なデザインばかりなのはさすがです。

力強さやキレのあるデザインが多く圧倒されてしまいます。

その質の高さゆえに、田中一光さんのデザインの試行錯誤まで
詳しく見られると良かったとは思いますが、
簡単に語りきれるものではなく、欲を言い過ぎでしょう、

会場には珍しく、撮影可能な作品がひとつだけありました。

田中一光さんが色を選んだ、色紙「タント」と
「カッティングシート」を使ったインスタレーションです。

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経営者が美的感覚を磨くにはもってこいのお勧めの展覧会です。
会期は1月20日まで。

21_21 DESIGN SIGHT テマヒマ展-東北の食と住-

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

21_21 DESIGN SIGHTで現在開催されている企画展
「テマヒマ展」に行ってきました。

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東北で手作りしている油麩や凍み豆腐とった食べ物や、
リンゴ剪定ばさみなどの道具を展示しています。

実物の展示もあるのですが、
作業をまとめた映像に特に注目してほしいです。

時間をかけて、もくもくと作業をしています。
作る人の思いが込められています。

自動化された工場での大量生産から遠い世界が映し出され、
見入ってしまいました。

実態を見せることに焦点が当てられています。

映像の中でわずかに流れている音楽が、
やや過剰な演出に感じられたのが残念でしたが、
現場の雰囲気はそのまま伝わってきます。

展示品の生産量はおそらく減っていると思います。
放っておくと消滅してしまうものもあるでしょう。

ただ、展示を見たからといって安易に、
自然環境や伝統、文化を強調し、今の生活を見直して、
昔からのやり方に戻ろうとは私は思いません。

コストや耐久性、利便性、健康面などでも、
今は優れたものがたくさんあります。

優れたものの消費量を減らすのは難しいでしょう。

しかし、展示されている食品や道具は、
長い時間をかけて、使う人のことを考えながら
作り続けられてきたものです。

発酵や素材の特徴が活かされたものがあります。
その土地、自然地理環境だからできたものがあります。

展示品や作業工程は、そうした先人の知恵が詰まって、
時間をかけて洗練されていったものです。

これらの知恵と自然に対する考え方、哲学を学ぶことは
これからのものづくりにも大いに役立つと思います。

来場者も手間暇かけて、じっくり見ることをお勧めします。
8月26日まで。

21_21 DESIGN SIGHT "これも自分と認めざるをえない"展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

21_21 DESIGN SIGHTで現在開催されている企画展
"これも自分と認めざるをえない"展に行ってきました。

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テーマは「属性」です。
ディレクターは佐藤雅彦さんです。

デザインとは少し異なる切り口のですが、
とても面白い展示会です。

私は男性であり、神奈川県民であり、経営コンサルタントであり・・
と人にはさまざまな属性があります。

指紋や虹彩といった個人を特定する属性もあれば、
住所や性別、職業などのグループにまとめられる属性もあります。

指紋、静脈などの個人を特定する属性データは、
データそのものを見ても味気ないものです。

他人のデータを見ても何にも感じません。

しかし、自分のデータが他人に渡るのは、
なにか気持ち悪いと感じます。

他者から自分を特定されたり、
データを悪用される恐怖があるからでしょう。

一方で、グループにまとめられる属性では、
人からどう思われているかがとても気になるものです。

場合によっては、他人に「私は○○だ」と
自分の属性を積極的に伝えることもします。

私も経営コンサルタント、中小企業診断士であると伝えています。
属したくないグループに括られることを嫌がる気持ちもあります。

展示のひとつに「属性のゲート」があります。
写真はポスターを映したものですが、以下のようなものです。

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例えば「男性」と「女性」、どちらかのゲートを選んで、
ゲートの前の立ちます。

そして、ゲートの前にあるカメラが顔を撮り、
コンピュータが属性を判定します。

コンピュータが「男性」と認識すれば、男性のゲートが開き、
「女性」と認識すれば、もうひとつの女性のゲートが開きます。

他の来場者の様子を見ていると、
女性ゲート前に立っていた(おそらく)女性が
「男性」とコンピュータに判断されていたりしました。

私もやったところ「男性」「29歳以下」と
コンピュータに判断されました。

コンピュータには私が実際より若く見えたようです。
ちなみに下の写真が当日の私の姿です。

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男女が逆であったり、年齢が実年齢と異なって反対側の
ゲートが開いたときは来場者も盛り上がっていました。

このような技術は実用化されつつあり、いたるところで、
属性をコンピュータが判断する時代に突入しています。

カメラで購入者の属性をカメラで判断し、
収集する自動販売機もあるのです。

便利な社会ですが、社会や技術と、
どのように付き合うべきか、
楽しみながら考えるきっかけを与える展示会です。

子供も楽しめますが、大人の方が楽しめそうです。

ただ、本展示会は体験型が多く、見るのに時間がかかります。
私は平日の昼間に行きましたが、2時間半かけて見ました。

並ぶ展示もあるので、
それらを飛ばせば1時間程度で見ることも可能ですが、
空いている時間帯に行くことをお勧めします。
11月3日まで。

「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日は21_21 DESIGN SIGHTで開催されている
「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展の訪問レポートです。

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フォッシルとは化石のことで、
今後の未来を見据え、化石燃料ではない「ものづくり」や
「デザイン」を考える展示です。

トレンド予測を仕事とするリー・エデルコートさんが
企画・ディレクションをしています。

将来、石油や石炭は枯渇してしまうかもしれません。

展示ではプラスチックなどがない世界を見せられます。
骨や皮、土や木などを材質につくられたものが多く並んでいます。

展示点数もいつもの21_21 DESIGN SIGHTの展示より多めです。

欲しい人に向けた造った商品デザインというより、見る人へ
メッセージを発する、かなり芸術的な要素が強い内容でした。

中小企業経営にすぐに活かせる内容とは
言いにくいところもありますが、
地球や人類の未来を考えるひとつのヒントがあります。

いわゆる文明の発展を見せるSFとは
異なる視点のSFの世界を楽しめるでしょう。

会期は27日の日曜日までです。

21_21DESIGNSIGHT「THE OUTLINE 見えていない輪郭」

こんばんは。中小企業診断士の山口達也です。

今日は21_21 DESIGN SIGHT
「THE OUTLINE 見えていない輪郭」展のレポートです。

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工業デザイナーの深澤直人さんがデザインしたものを
写真家の藤井保さんの撮影した写真と合わせて見る展示会です。

輪郭がテーマです。

深澤さんのデザインで特徴的な
表面の曲面や質感がクローズアップされています。

深澤さんは「もの」を周りとの関係で捉えることに
意識を置いているようです。

「もの」と背景・風景の関わりを
写真で見せている面白い展示会です。

展示物(製品)に触ることができると
もっと面白かったかもしれません。

写真という光を重視すれば、
触れないようにすることは良いですが、

工業製品を利用する人間と「もの」に着目すれば、
触ることができても良かったと思います。

実際に展示されているのはモックアップなどではなく、
実物の製品ですから、触ることができれば、
ひとつ切り口が加わったように思います。

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外には大聖堂の写真があります。
これが何を意味するかは会場でご覧になって、楽しんでください。

深澤さんのデザイン哲学を文章や写真から感じるだけでなく、
並んだ展示物に共通する点から見出すこともできる展示会です。

会期は1月31日までです。

21_21DESIGNSIGHT「骨」

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

今日の話題は、21_21DESIGNSIGHTの第5回企画展
「骨」展についてです。

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タイトルの「骨」の一字が、
生物の骨のような構造で書かれています。
無骨さを感じます。

写真右中央にライトアップされているのは、
日産フェアレディZの車体です。

展示会場の中にあるのですが、写真に一部映っています。
こちらは美しさを感じます。

今回のディレクションは山中俊治(やまなかしゅんじ)さんです。

「骨」というテーマは、デザインにとって
基本的なお題と言えるのではないでしょうか。

構造や強度、機能などの視点や
骨格や骨そのものの美しさや見せ方を考える展示会です。

骨は体の内部にあるので、美しくある必要性もないし、
美しくないか、と思いきやそうではありません。

美意識は人によっても違うでしょうが、
機能美であったり、長年の進化の過程で作り出された
「造形美」を感じることができます。

この「骨」展は、生物の骨だけを
展示しているわけではありません。
機械をはじめとした人工物の骨格なども展示されています。

デザイン入門者にも感じてほしい
デザインの基礎が学べるでしょう。

会期は2009年5月29日から2009年8月30日まで。

以下、特に私の心に残ったものを紹介します。

明和電機の「WAHHA GO GO」
「笑う」ことだけを目的とするロボットです。
笑いの動作を構造で表しています。

感情は全く持たないロボットですが、
見ているこちらが思わず笑ってしまいます。

横隔膜が動いて・・それから、という見方もできますし、
笑う行為を目の前にした時の人への影響力も感じます。

takram design engineering「Phasma」(ファスマ)
骨は、生物の「動き」を支えていますが、
その「動く」「走る」原理をまねした六足走行ロボットです。

蜘蛛のような形をしたロボットです。
「Phasma」とは魂や息を意味するラテン語だそうです。

こちらも走る姿に生き物の要素を感じられます。
「走り」そのものの原理を突き詰めた形とはどんなものか、
会場でご覧ください。

当ブログでは21_21DESIGNSIGHTの企画展は、過去4回とも
レポートをしています。ご興味のある方はご覧ください。
http://brand-design.seesaa.net/category/5183514-1.html

21_21 DESIGN SIGHT 「Second Nature」

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。
今日は21_21DESIGNSIGHTの第4回企画展
「Second Nature」(セカンド・ネイチャー)展についてです。

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21_21DESIGNSIGHTの企画展については
当ブログで訪問レポートをしてきましたが、
今回のディレクションは吉岡徳仁さんです。

三宅一生さん、佐藤卓さん、深澤直人さんの21_21DESIGNSIGHTの
ディレクター3人以外で初めての企画展となりました。

セカンド・ネイチャー展の狙いについて、
企画展や吉岡徳仁さんからのメッセージをつなげると
下のように説明できるのではないかと思います。

デザインとは、かたちを得ることで完成するものではなく、
人の心によって完成するものではないかと考えています。

また、自然の原理やその働きを発想に取り組むことが、
デザインの今後において大切なものとなっていくのでは
と感じています。

こうした中で、
テクノロジーや自らのアイデアを糧に、
新たな自然のかたち、すなわち”第2の自然”をつくり出す
ことに挑戦した展示です。

自然を表現するものであったり、
自然の原理を活かした作品が展示されています。

単なる自然が表現されているのではなく、人工的なデザインや、
自然に通じる概念が人工的に表現されています。

ですから、会場に行くと森や海のような自然とは
かけ離れた人工的な世界です。

自然らしさや自然の原理を伝えています。

しかし、人工的であるからこそ、
抽出された自然のある部分がよく伝わります。

アートに近いものがありますが、
自然が持つものをデザインに取り入れようと考えたとき、
前述の視点は、新たなデザインのヒントとなるはずです。

会期は2008年10月17日から2009年1月18日まで。

以下、特に私の心に残ったものを紹介します。

吉岡徳仁の「ヴィーナス-結晶の椅子」
結晶を成長させて椅子を製作しています。
ポスターにもなっています。

同じく吉岡徳仁の「Water block」
透明な特殊ガラスで雨の日には消えて見え、晴れの日には
光の屈折を感じられる椅子(ベンチ)です。

森山開次と串田壮史の「REINCARNATION」(リンカネーション)
輪廻転生をダンス映像で表現しています。力強さが圧巻。

デザイン・アートとして面白いですよ。

21_21 DESIGN SIGHT 21世紀人

おはようございます。中小企業診断士の山口達也です。

先日、東京ミッドタウン内の21_21 DESIGN SIGHT
第3回企画展「ⅩⅩⅠc.」(21世紀人)に行ってきました。

21_21 DESIGN SIGHTは、三宅一生さん、佐藤 卓さん、
深澤直人さんの3人のディレクターによって作られていますが、
今回の企画展で3人が一巡したことになります。


21世紀人は、人の身体とものづくりの関係を
モチーフにした展示で、かなり芸術的でした。

21世紀人

それぞれの作品をじっと見て、
作品に込められた思いを感じる展示です。

デザイン展より美術展に近い印象を私はもちました。

人の身体と環境を感じたい人は、楽しめると思います。
展示を最後まで見ると、さわやかな気分になれます。

21世紀人は7月6日までです。

21_21 DESIGN SIGHT「water」

21_21 DESIGN SIGHTの第2回企画展「water」に
行ってきました。

「water」は、グラフィックデザイナーの佐藤卓さんが
ディレクションをしています。

(参考:六本木経済新聞のサイト)
http://roppongi.keizai.biz/headline/1163/index.html

この日の天気は、この展示会にふさわしく(!?)「雨」です。

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客層は20~30代の女性が多いですね。

かけがえのない水のさまざまな様態が表現されています。
視覚、聴覚、触覚に訴えかけます。

前回の企画展「Chocolate」もそうでしたが、
21_21 DESIGN SIGHTに来ると多くの切り口を体感できます。
触発されます。

アイデアを探している方は湧きますよ!

今回の展示会は、水に関するお仕事をされている方や、
外食産業の方は、特に面白いと思います。

「Chocolate」より少し堅め(真面目)な内容という
印象を持ちました。

これは、地球環境や人体などを考えることが多かったことや、
チョコレートの甘い感じがないためかもしれません。

開催は来年1月14日まで。足を運んでみてはいかがでしょうか。

(おまけ)
佐藤卓さんについては、このブログで2本記事を書いています。
興味ある方はご覧になってください。
10月20日 情熱大陸 佐藤卓さんが目指すデザイン
10月21日 デザイン発注者の認識レベルも求められる

21_21 DESIGN SIGHT 「Chocolate」

今日は、東京ミッドタウンの 21_21 DESIGN SIGHT
第1回企画展「Chocolate」の訪問レポートです。

東京ミッドタウンは緑が多くて、とても気持ちがよいです。
21_21 DEIGN SIGHT の全景写真です。

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デザインの発信地として素晴らしい
ロケーションだと思います。

東京ミッドタウン内には、サントリー美術館もありますし、
国立新美術館も近くにあります。

六本木も上野のようなアートな地区になったように思います。


さて、この「Chocolate」については、
以前このブログで、企画のねらいなどを
ディレクターの深澤直人さんが話した内容を紹介しています。

参考にしてください。

4月8日の記事
4月11日の記事

入場料1000円を払ってチケットを買い、進むと
入り口でチョコレートをひとつ渡されました。

このあたりは、五感でチョコレートを感じるという
ところで面白いですよね。

IMG_0999blog.JPG
入り口の表札は控えめな感じ


展示作品には、商品化が近いようなデザインは
あまり多くありません。

チョコレートがもつもの、チョコレートから連想するもの、
チョコレートを作る過程にあるものが、
デザインされています。

どちらかといえば、ビジネスよりアートに近いと思います。

しかし、このような展示会が、
日本のデザインの発展に寄与するのは間違いありません。

この企画展を通して、デザイナーも、見る側も、
たくさんの視点をもち、そしてデザインする力を
磨くことができるのだと思います。

展示会は7月29日まで。

(参考)六本木経済新聞の記事

次回以降にも期待です。